コウノドリ(2) (モーニング KC)

著者 :
  • 講談社
4.25
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本棚登録 : 916
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063872422

作品紹介・あらすじ

「何度読み返しても涙が止まらない。産科医が言葉を尽くしても伝えられなかった命の葛藤がリアルに描かれている。このマンガは日本を救うかも」女性産婦人科医・宋美玄
出産は病気ではない。だから通常の出産に保険はきかない。産科医療は怪我や病気を治す訳ではない。なので通常の出産に産科医は必要ない。だが、何かが起こりうるから産科医は必要なのだ──。年間約100万人の新しい命が誕生する現場の人間ドラマ、開幕!
モーニングで大好評だった「人工妊娠中絶」「無脳症」「被膜児」「喫煙妊婦」を収録。

出産は病気ではない。だから通常の出産に保険はきかない。産科医療は怪我や病気を治す訳ではない。なので通常の出産に産科医は必要ない。だが、何かが起こりうるから産科医は必要なのだ──。年間約100万人の新しい命が誕生する現場の人間ドラマ、開幕!モーニングで大好評だった「人工妊娠中絶」「無脳症」「被膜児」「喫煙妊婦」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 産科を舞台に妊娠出産にまつわるドラマを圧倒的なリアリティを持って描く人気シリーズの第2巻。
    「未成年妊娠」「無脳症」「被膜児」「喫煙妊婦<前編>」の4編が掲載されています。

    中絶や妊娠中の喫煙といった身近なテーマが扱われている一方で、「無脳症」のようにお母さん(妊婦さん)とお父さん(パートナー)に重大な決断を求めるエピソードも。ハッピーエンドばかりではない現場発のプロットが多いからなのでしょうか。
    そして、当事者に重大な決断を委ねなければならない、出産においてはあくまでも脇役である産科医のサクラ先生の言う「助けられないとわかっている赤ちゃんのために 医者はその家族と一緒に悩むことはできない 僕ら(産科医)は無力だ」という言葉にものすごいリアリティを感じます。
    無脳症をお母さんに告げる直前にサクラ先生が自ら頬を張って気合を入れてから臨まなければならなかったように、産科医のお医者様は日々こんな状況に直面し、こんなことを考えながら仕事をしているのでしょうか。月並みな言葉ですが、頭が下がります。
    そして、妊娠出産って、いつ自分たちが同じように決断を求められることになるかわからなかったってことで、そういう場面に遭遇しなかったのはやっぱり奇跡だったな、って思うのです。

    この巻から助産師の小松さんともう一人の主人公と言ってもよい3人目の産科医四宮先生が登場して、徐々に群像劇の色を濃くしていきます(この巻では端役で、利益と訴訟回避のことしか考えていないように描かれている院長にすら後でドラマがあります)。そして、時には熱く時には冷静に対立するサクラ先生と四宮先生のやり取りは、今後の名物です。

    それにしても1巻にほぼ1回ずつ、読んでいて涙がこらえきれないシーンがあります。ネカフェなどでは読みにくい本です。

    以下、各エピソードに一言ずつ。

    「未成年妊娠」
    出生数が100万人を切ってなお減り続けるという報道を見ました。一方で、この巻では人工妊娠中絶が20万人とされています。最新のデータを調べると平成28年度で16万件だそうです。
    自殺者数が2万人、交通事故で亡くなった方が3千人。がんで亡くなった方が37万人。
    単純に数を比べてることに意味はありませんが、でも16万というのはそれくらいの数字です。ちょっと粛然とします。

    中高生の妊娠はドラマ等でもよく取り上げられる(確か「3年B組金八先生」にもありました)テーマですが、このエピソードは産婦人科医や妊娠させた男性とその父の視点に踏み込んでいて貴重です。元気に育っている赤ちゃんの中絶をしなければならないサクラ先生の心中が「赤ちゃんに胸を張れるくらい幸せになってくださいね」との一言に見事に言い表されていると思います。
    実際の現場で、一組一組の中絶希望者にここまで丁寧に対応するのかどうかはわかりませんが、そうしたい、という気持ちは取材元になった人たちはきっと持っているのでしょう。
    あと、お湯を入れたての「ポヤングソース焼きそば」をチラ見するサクラ先生の視線が悲しいw。

    「無脳症」
    症例としては「ブラックジャック」で読んだ覚えがあります。ただ、こちらは症例そのものではなく、医師にも救いようがない赤ちゃんの中絶を決断する母とそして父がテーマ。
    無力さを自覚するサクラ先生、どうにかして赤ちゃんを救う方法がないかと必死で模索するお母さんに挟まれて、この漫画では普段影が薄いことが多いお父さんの悩みが描かれます。生きていくことができない赤ちゃんを中絶しなかったがためにお母さんにもしものことがあったら「自分の子供をずっと憎んで生きていかなきゃいけないんだぞ」。だから中絶して欲しい。
    そんな気持ちをお母さんになかなか素直に伝えることができなくて、サクラ先生に背中を押されてそれを伝えようとする直前、玄関の暗がりで、まだ赤ちゃんが男の子かどうかわからないのにテンションが上がって買ってきてしまったグローブを胸に抱いて涙するお父さんの姿。自分のお腹を痛めることができないだけに、かえってその涙は胸に迫ります。
    1巻で同じことを書きましたが、やっぱり涙腺崩壊。

    そして、再び語られています。
    「多くの妊娠出産を見れば見るほど思う 出産は奇跡なんだ」。

    「被膜児」
    助産師の小松さんと四宮先生登場。
    サクラ先生の駆け出し時代に珍しい症例の「被膜児」でお世話になったベテラン助産師の小松さんが聖ペルソナ産院に帰ってきました。
    そして、もう一人の産科医「四宮先生って笑うんだ」と言われる四宮先生も登場します。

    「喫煙妊婦<前編>」
    ちょっと調べてみたら、平成22年の女性の喫煙率は、20台12.8%、30台14.2%。一方、同じ年の妊婦さんの喫煙率は5%。こういうデータの読み方をしていいのかどうかわかりませんが、妊娠を機に禁煙した人は相当程度いると言っていいのでは。
    そこには人間ドラマはないのかもしれませんし、この漫画でもTVドラマでも語られませんが、でも、頑張って禁煙したお母さんに拍手。

    そして、頑張っても禁煙できない妊婦さんを通じて、妊娠中の喫煙が胎児に与える影響が語られます。やっぱり夫婦揃って禁煙しないとダメだよね。

    そして、そんな妊婦さんに冷然と「タバコを止めない妊婦は 母親になる資格がない」と言い放つ四宮先生。サクラ先生も、彼が笑ったところを5年間見たことがないそうな。
    でも、そんな四宮先生も、病室のベッドで優しい表情で絵本を読み聞かせする一面があるのでした…。で次巻に続きます。

  • ほかのところで教材として
    使ってほしいといっていたけど
    保健室においていてほしい。
    中・高校においてほしいぐらい。

    最初の未成年の妊娠をテーマにしたものが
    とても秀逸すぎます。
    中絶をするにもこの子の場合は
    費用もよりかかってしまう中期中絶だったのです。

    この中絶は何かはわかることでしょう。
    死の出産です。
    殺すための出産です。

    ほかの作品では
    特殊な異常を扱っています。
    特に無脳児に関しては…
    生きていけないのです。
    脳みそが存在しないため。

    その苦しみはそうなってしまった
    本人しかわからないのです。
    わが子を当たり前に抱けるわけではないのです…

    3巻目はしばらくあとに。

  • 未成年の妊娠ってドラマなどで見かけたりもするけれど、現実だと出産に至るまでも厳しい問題なんだろうな…と思いました。中絶は決して簡単なことではないし、一生心に残ることなので、しっかり知識を持っておくことは大切だと、改めて感じました。

  • 【あらすじ】
    高校生同士のカップル……。妊娠していると知った彼女は、中絶手術を受けるために単独で病院へ向かう。しかし、未成年者の場合、パートナーの男性と両親の同意書が必要だと知る。ぶつかり合う二つの家族。中絶か出産か、決めるのは親か子か、産科医が出来る事とは!? <収録作品>「未成年妊娠」「無脳症」「被膜児」「喫煙妊婦<前編>」

    【感想】
    今回もいろいろと考えさせられた。どんな出産でも、100%安心な出産なんてないんだと知った。お母さんは自分の命を懸けて、自分の子どもを産んでいるんだと思ったら、自分の命がすごく大切なものに思えた。

  • 12週から死産という定義は、つまり「お産である」ということなのだと今さら気づきました。

  • 【最終レビュー(読破冊数含まない・ネタバレなし)】

    ツタヤレンタルコミック貸出にて。

    秋クール連ドラ鑑賞作品『コウノドリ(金10・TBS系)』―原作本ー

    〈メインとなるテーマ〉

    *未成年妊娠(出産)・人工妊娠中絶・中絶に関する手続き等・母体保護法。

    「上記の家族全体での直接的な関わり方」

    「産科医としてどう向き合うか」

    *無脳症

    産科医と家族の距離感

    *被膜児

    *喫煙妊婦・前編

    様々な、奥深い闇を抱えながらも、最終的判断は

    《『本人・家族の問題』ということ》

    が土台となっています。

    出産だけでなく

    〈ネット(SNS)依存症〉の著書でも同様、依存症の原因の背景にある一つに

    [上記との《共通項(本人~)》]と

    《日常と密接にガッツリと繋がっている》

    決して他人事ではないことを…。

    2巻では、これらを切実に、自身の中で感じ取りながら、読み進めていきました。

  • 少しずつ楽しめるようになってきました

  • 産科医療について学ぶのに本当にいいマンガ。未成年妊娠、無脳症、被膜児、喫煙妊婦の話し。中期中絶はお産と同じだということは知らなかった。出産は病気じゃない、奇跡なんだという言葉が心に入ってくる。

  • フィクションだと言い聞かせて自ずから鼻白むこともできるのだけれども、やはりセリフの一つ一つが重いので感じ入らずにはいられないよね。という話

  • いろいろ考えさせられたり、感動で胸がいっぱいになったりする特別な漫画です。全巻集めたいと思います。

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著者プロフィール

1973年、山梨県生まれ。大学卒業後、ロックミュージシャンを目指したが、突然、漫画家の道へ。2007年『東京フォークマン/都会の月』が第52回ちばてつや賞準入選。2010年『えびチャーハン』が第57回ちばてつや賞入選。その後、週刊漫画雑誌『モーニング』(講談社)で、短期連載を行った『コウノドリ』が人気となり、2013年より週刊での連載がスタートした。2015年10月には綾野剛主演の連続ドラマとして放送。2017年10月に第2弾となる連続ドラマが放送された。2020年5月、『モーニング』での連載最終回を迎え、10月23日発売の単行本32巻が最終巻となる。単行本は、累計(電子版含む)800万部の大ヒットとなった。

「2020年 『コウノドリ はじめての妊娠・出産ガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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