- Amazon.co.jp ・マンガ (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063880045
作品紹介・あらすじ
□(シカク:詩歌句)街。そこは近代日本ぽくも幻想の、詩人たちが住まう架空の街。実在した詩人の自伝ではなく、萩原朔太郎や北原白秋らの作品から受けた印象をキャラクターとして創作された、詩人たちと近代日本の業と罪と狂気の物語。衝撃的な内容で話題の1巻に続き、近代日本の闇へ踏み込む第2巻登場!
感想・レビュー・書評
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個人的な2014年「このマンガがすごい」のダントツトップの作品です。近代詩(歌句)への愛と狂気を、現代社会に引きつけながら、マンガ的な文法で吐き出していく立派な作品です。あたかも中央銀行が貨幣をするかのように各人が言葉を発することができる環境が整った現代社会(そして当然ながらにおこる言葉価値のインフレーション=下落)において、100年ほど前かそこらの国で、この国が近代世界に適応して追い越そうとしてもんどりうった時代に、その言葉を選び吐き出すことに命を掛けていた人たちがいたことを、そしてのその彼彼女らの作品の価値を、現代の文脈で位置づけ取り戻そうとする試みになるのではないかと思います。
この巻は、白さんとチューヤくんの詩世界の造詣が対照的ですばらしかったです。遊郭の話も合わせると、この間はモチーフとしての女性について、白さん、ミッチー、コタローくん、ミヨシくん、チューヤくんといった作家の色々な異なる視点が伺えるようで面白かったです。完全に余談ですが、岩波書店は思い切ってタイアップして、岩波文庫の各作家の作品をもう一度フィーチャーするような企画をしたらいいんじゃないかと思います。とりあえず、我が家はこの作品のおかげで各種原作品にあたるために、10冊以上の詩集・随筆集を買いましたよ。笑
BLっぽいとかいう理由でこのマンガを遠ざけている人がいたら本当にもったいないと思います(Amazonで関連されている本がどうしてもそっち系が多いようなので)。所謂露骨なBLっぽい表現はありません、あくまで作品間の絡みとして類似するような表現がたまにあるかもですが、比較するなればそれよりも男女間の絡みの方(思に白さんによって)が圧倒的に多いかと思います。
(もし見ていたら)月刊アフタヌーン編集部の方、3巻以降はもっと過激な表現が出てくる(連載によれば)と思いますが、どうか自由に最後まで清家先生に書かせてあげる環境を作ってあげてください。どうぞよろしくお願いします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦争詩の影も見えてきましたね。
しかし本題は詩情と性欲問題。詩人にとって女とは詩情を与えてくれるモチーフでしかなく、栄養を吸い取るだけ吸い取って、ポイ捨てするのがまた快感なんですよね(怒らないで……)
しかしミッチーの気持ちもよくわかる。現実の女には違和感を感じ、本当は愛していないのではないか、肉体関係だけが愛なのだとしたら自分は女を愛せないのではないか。妄想の中で女をそれぞれの愛し方で愛するのがいいんです。
まあ中には詩にもならんようなクソつまんねえ女もいるわけで。いろいろ考えますねえ。 -
立ち止まるといつまでも読み進められないから意味のわからないところはそのままに楽しむことにする。
詩人たちとは真逆の姿勢だけれどそうしないとおかしくなってしまうし…… -
漫画の参考文献で西田税と一ノ瀬俊也ですよ?こんなん今まで読んだ事ないですわ!
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内容は凄いんですが、取り上げた時代が申し訳ないながら個人的に嫌いな時代なので評価下げ。
硫黄島とかその他、日本が関わった最近の戦争中心です。
半銀河鉄道風にいろんな時代に跳んでる室生犀星(でいいのか、犀さん)。
どうでもいいですが、白さんも大概病んでいる。
大好きな「金魚」題材に使われたのは嬉しかったです。 -
本文中の詩は実はナナメ読みしかしていないけれど、雰囲気を感じるだけでも面白い作品。
主人公の朔太郎はほんとに狂ってる。好き。 -
1巻の読後ダメージが強かったので積んでたけど3巻が発売したので読んだ。◻︎街の人々はどこか愛おしい。犀さんがどこへ向かっているのかが気になり始めた。
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だいぶ前に手元に置いてたけど、読むのにすごく気合と体力が必要なので今まで寝かせてしまった。
考えるんじゃない感じろ!で勢いで通して読んだけど、何というか、頭をぐわんぐわんに揺すられてるような感じがして、なんかもう、よく分からん。
一巻時にも書いた気がするけど、文学少女・文学ババアにはとりあえず読んでみて欲しい作品なのでどうぞよろしくお願いします。 -
裏舞台が見えてきてる? 白さんが壊すのかな。
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1巻は探り探り読んだ感じだけど、この巻で一気に引き込まれた。色恋沙汰と大戦の凄惨さ等々が入り交じり、時代やら精神世界やらを行ったり来たりと目まぐるしい。
そして安定の朔。病みに病んで狂ってるけど時々的を得た事を言う。けどやっぱり狂ってる。
空襲の中、敗戦を経験した作家と日本の敗戦を知らない作家(正確には作風を擬人化した者)が集まっているシーンが感慨深い。