- Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063880342
作品紹介・あらすじ
明治三十六年、満洲へ「好太王碑」調査に訪れた安積亮は、帰国後に諏訪大社の巫女・翠と祝言をあげた。日露戦争が始まり安積も国家の思惑に翻弄される中、安積は四世紀末・神功皇后の時代の夢を見る。確かに神功皇后の渡海はあり、皇后の子の父親は海人族の若者だという夢。日露戦争終結後の明治三十九年、日本政府が朝鮮支配へと乗りだす中、天皇家に抗おうとする革命勢力の陰謀に、安積は巻き込まれてゆくのだった。
感想・レビュー・書評
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5巻目までネットカフェで読み終えました。
かつて安彦良和が古事記をテーマにマンガを書き出したのを読んだ時はビックリした。古事記のプロットをなぞりながらも、考古学な成果を取り入れた服装と社会描写、そして神話的ではない「国造り」。
ガンダム等のアニメーターから出発して、マンガの世界ではギリシャ神話、近代日本など一貫して「歴史」ものを手掛けて来た。その思いは、このシリーズの何処かにあとがきで書いていたが、「現代につながる歴史」を描いておきたいということであった。だから、古代国家成立と近代国家の没落の始まりを描く本作は、著者の集大成なのかもしれない。
彼の絵はアニメーターとして鍛えられた動きのある絵である。それに、絵巻物かのように筆書きの台詞を入れる。思うに、このスタイルだけで、彼のマンガは一目みてオリジナリティにあふれることになった。
あくまでも、自分の現代史観を表現するための「歴史」なので、針小棒大はある。特に、権力闘争に筆を割きすぎているとは思う。しかし、こういう描き方もあるのだ、と私は納得している。もちろん、私が描いたら古代はこうはならないだろう。世界は戦いだけで出来ているのではない。でも大いに学び楽しんだ。あと数年は著者の新作を読めそうだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示