花井沢町公民館便り(1) (アフタヌーンKC)

  • 講談社
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063880410

作品紹介・あらすじ

2055年。わたしたちの町・花井沢町は、あるシェルター技術の開発事故に巻き込まれ、外界から隔離されてしまいました。どこにも行けず、誰もやってこない。遠くない未来、いずれ滅びることが約束された町で、わたしたちは今日も普通に生きています。『BUTTER!!!』『HER』『ドントクライ、ガール』など多彩な作風で知られるヤマシタトモコの最新作!

感想・レビュー・書評

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  • 久々に震えた一冊。

    生物を通さない、見えない膜に囲まれた小さな町。そこに住む人たちの物語です。



    全員が全員の名前を知っている世界。
    そして、決して逃げられない世界。
    個人的には考えただけでゾッとするのですが、花井沢町の人々はそれを日常として(一種の)明るさを持って生活しています。
    しかし、狭い世界だからこそ蹴落としたり裏切ったり様々なことが起こります。

    そして、私たちが生きている学校や職場なども、登場人物たちが生きている「とても小さな町」と同じなのかもしれません。

  • 全巻通しての感想。何だか怖かった。シェルターの開発事故により、生体反応があるものは花井沢町へ入れず、出ることも出来ない。その閉ざされた小さな街、花井沢町で起こる出来事はどこそこの誰があんなことした、という些細なことだったり、泥棒が入るみたいな事件だったりするんだけど、どれもよくある日常として描かれていながら、背景には誰も入れず出られないという異常な事態が横たわっているので静かな恐怖を覚えた。街の誰もが主役になれるようなエピソードたちは全体的にほのぼのとしているけど、淡々と世界の終わりに向かっていくような静けさが隠れてて、何だか怖かった。

  • アレに似てるからもっと考察しないとアレ程は面白くない

  • 「生命体を通さない膜」で、見えながらにして外界から隔絶される
    ことになってしまった町に住む人々の物語。
    「隔絶された場所」でのドラマは他の人の作品にもあるけれど、
    これほどまでに痛く厳しいお話はあまり見たことがない。
    『WHITE NOTE PAD』での「人格入れ替わり」といい、
    ヤマシタトモコさんの描く状況ドラマは「甘さ」を許してくれないなー。

  • 何も予備知識無しで読んだらSFでびっくりした! 今から40年以後、実験が失敗して生命体を通過させない膜で覆われた小さな町での災害後の住民達の日常。色々科学考証的には? と思わないでもないけど、シミュレーションマンガとしては面白い。

  • 外の世界から遮断されてしまった町。一見、何気ない日常の風景のようだけど、やはりどこか歪んでいて町の住民は蝕まれていっているようだ。三巻で完結のようだけど救いはあるのだろうか

  • 花井沢町という、とても特殊な状況におかれた町のふつうの人たちの日々の短編集。
    風景の、人々の、空気のふつうさが、言葉やシンプルな絵柄によって強調されていて、それがより緊張感を誘う。

    だからどうしても自分の日々を思わずにはいられない。
    私の毎日は?私の大切な人の日常は?明日も同じように来るのかな?と

    三巻完結でよかった。最後まで一気に読めて心からよかった。

  • シェルター技術の開発事故により、「生き物を通さない膜」によって外界と隔てられた花井沢町。
    しかし物は届くし電気もインターネットも繋がるわけで、人々は普通に生活しているし、それは別に、どうしようもない絶望ではない…のだけど。
    「一生出られない小さな町で暮らす」。
    それゆえに起こる…ちょっとしんどいことが、町のいろいろな人々の視点で見える短編集。
    うん。どうにもちょっと…最終的にしんどいことになる話ばっかりでなかなかずっしり来ます…。

  • 新技術の事故で突然ドームに覆われ、生きているものを通さない壁に閉じ込められた花井沢町の住人たち。外の物資に頼り優遇されながら、滅びゆく町の中で、生きて行く一話完結のそれぞれのお話。

  • シェルター技術の事故で透明の壁ができ、生きているものの出入りが物理的に不可能になった花井沢町の住人達のオムニバス。
    第1話の冒頭は何のことか分からないまま物語に入り込んだら、一気読みだった。
    第3号はあのまま解決するかと思えば直後のページに言葉が出なかった。
    第5号のおしゃれ男子の顛末は息苦しい読後感。
    第6号のストーカー女性の気味悪さもだけど、町の中で何が起こっても外に真相を漏らさない怖さもあった。
    最後の1人である彼女は、あの町で誰にも看取られることがないということだよね。
    事故の前後の世代の価値観が興味深い。

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著者プロフィール

1981年5月9日生まれ。 2005年のデビュー後、すぐに「ねこぜの夜明け前」で講談社「アフタヌーン」主催の四季賞、夏・四季賞を受賞。 19年には「違国日記」がマンガ大賞4位に入賞する。主な作品に『BUTTER !!! 』『ひばりの朝』『さんかく窓の外側は夜』(本書原作コミック)『花井沢町公民館便り』などがあり、幅広い層の支持を得ている。

「2020年 『さんかく窓の外側は夜  映画版ノベライズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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