- Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063884678
作品紹介・あらすじ
【研修医〈後編〉】鴻鳥のもとで働く2年目研修医の赤西ゴローは、街で心肺停止して倒れている妊婦に遭遇する。近くにあったAEDを使い、妊婦は一命をとりとめ病院に運ばれたが、そこで再び心肺停止を起こしてしまう。聖ペルソナ総合医療センター一同が取った選択は“究極の心肺蘇生術”!! 他シリーズ【インフルエンザ】【出産予定日】を収録。
感想・レビュー・書評
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テレビドラマ化もされた人気シリーズの第9巻。
「ペルソナ総合医療センター」の産科を中心に、妊娠出産、赤ちゃんとお母さんを巡る悲喜劇と、主人公サクラ先生を中心とした群像劇が、綿密な取材に基づく圧倒的なリアリティと現場感を伴って語られます。
この巻には「研修医〈後編〉」「インフルエンザ」「出産予定日」の3編が掲載されています。
第8巻で登場した赤西ゴロー先生がほぼ主役を張っています。全体的に妊娠出産に関する啓蒙と、群像劇に登場する多くのキャラクターの成長が描かれている作品の中で、伸び代しかない新人研修医は成長を描きやすいからか、この先の巻でも主役級の活躍を見せることもあるようです。
扱われている症例で印象的なのが「死戦期帝王切開」。字面だけ見ると厨二病っぽいこの術式、「心肺停止となった妊婦を分娩させ母体への血流を回復させる」「究極の心肺蘇生術」だそうです。
以下、各エピソードに一言ずつ。
「研修医〈後編〉」
ゴロー先生が街中でAEDを使って心肺蘇生させた妊婦。ゴロー先生が付き添ってペルソナに搬送されましたが、再び心停止を起こしてしまいました。
まず、「死戦期帝王切開」の描写が漫画の長所を最大限に活かしている感じで、ドラマチックです。これまで登場したペルソナの医師が全員登場しているオールスターキャスト、「無茶でも無理でもやるんだよ」「お前も産科医の息子だろ」と言い放つ四宮先生、加瀬先生の「動けよ‼」からの心電図「ピッ」そして「来た―――――――‼」。お約束多数とは言え、医療モノの見せ場をたっぷり味わうことができる展開です。
「あいつ本当に医者になりたいのかな」と言われていたゴロー先生ですが、このことで初めて「医者になってよかったなって」思うことができたようです。サクラ先生と話しながら見せる笑顔、サクラ先生を誘ったバーでピアノを弾くエピソードで「嬉しそうな音を出してる」と言われる姿が印象的です。
そしてその後の、ゴロー先生の実家の産婦人科から部分早剥の妊婦が搬送されたのを機に、開業産科医である父の働きぶりや気持ちを周囲から間接的に聞かされて産科医になることを決心するエピソード。初めて医者になってよかったと思った、の続き、今度は医者の中でも産科医になるかどうか、です。
庶民にとって「医者の息子が医者になること」を想像するのはあまり簡単ではありません。他にもたくさん「社会的使命の重い職業に就いている親と、その職業に就こうか悩む子」や「父との葛藤と和解の物語」がある中、大学入試の大変さ、高い学費、親からのプレッシャーなどを潜り抜けたゴロー先生が、ようやく産科を目指すことを決意したエピソードは、『悩んだけど家業を継ぐことにした』わけで、頭ではわからなくはありませんが、自分のような庶民にとって共感するのはなかなか難しいものがあります。
医者同士だとよくある話なのでしょうか。
あと、ゴロー先生をJr.って呼んでいた四宮先生もJr.。後の方の巻で四宮パパも出てきますが、登場人物のバックグラウンドが徐々に明かされていくこういう展開は好きです。
「インフルエンザ」
妊娠中のインフルエンザ予防接種について啓発しつつ、「医者の不養生」をコミカルに描くエピソード。自分のところは妊娠中には2人で、出産後は家族全員でインフルエンザの予防接種、受けています。大きい病院だと、産科で説明を受けて、「なら打ちます」「じゃ内科で打ってきてくださいね」って難しいですよねえ…あとあれ、特別に痛い気がします。自分だけ?
それにしても医療職って今でもここまで忙しいのでしょうか。もう少し人数を増やすことは難しいのかなって、こういう「忙しさ」エピソード読むたびに思います。
「出産予定日」
予定日になっても陣痛が来ないお母さん2人を取り上げて「出産予定日」について啓蒙する内容。今回はお父さん向けに仕上がっているように思います。
予定日とは単に40週0日のことで、きっちりその日に産まれてくるわけではありませんってのは説明されれば頭ではわかりますが、でも仕事をしているお父さんにとっては、やっぱりお休みを取るためにいろいろと調整が必要なわけで、そうすると、仮置きではあっても予定日を中心にお休みを取るわけで、そうすると予定日に生まれてきてくれないかな〜って考えてしまうんです。本末転倒なのにね。
自分のところは予定日は土曜日、父は単身赴任中だったので、予定日に生まれると都合がいいね〜と話していたらきっちり予定日に生まれてきてくれました。生まれたときから親孝行な子どもです。自分のところ仕事は有無を言わさず休むつもりでしたが、相談されて何時とは予定の立たない出産立会に何だかんだ言いながら気持ちよく送り出してくれる川上さんの上司GJです。
あと、よく分からない迷信みたいな言い伝えを振り回す外野、凹まされてこっちもGJでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
だいたい泣いてします話しがある。
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【推薦者】
体育学部 健康学科教員 三瓶 舞紀子
【学生へのメッセージ】
COVID-19流行下では、「10代の妊娠」「望まない妊娠」「貧困」の問題がよりクローズアップされました。産婦人科医&謎のピアニストでもある主人公が、様々な妊婦のお産に向き合います。この漫画に登場する様々な生命から、子どもたちを育てる社会の責任とは何か、全ての学生と特に教員を目指す学生にお薦めします。
▼配架・貸出状況
https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00539355 -
おもろい
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