いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(3) (モーニング KC)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063885224

作品紹介・あらすじ

原子炉建屋。2014年夏、最前線にはじめて足を踏み入れる。

作者が見てきた「福島の現実」に反響続々の原発作業員ルポマンガ、
2012年~2014年編がついに完結。

2014年夏、首都圏で覆面作家として活動しながら1Fでの職を探す竜田のもとに急な電話。ふたたび廃炉作業員として働く次の職場はなんと1号機原子炉建屋だった。あと10メートルのところにある格納容器本体。竜田は未知の「最前線」に足を踏み入れる。

感想・レビュー・書評

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  • 描いている人にも時は経つ。最後まで読むと「たったひとり」で「いちえふ」に通った「竜田一人」という人の拍手したくなる。過酷な現実はつづいている。忘れない!!福島を知らなくても、阪神大震災の10年後を知っている人間は忘れない。

  • とりあえず完結らしい。
    あの原発処理状況については、本・新聞・週刊誌・TV等沢山有るが、この漫画が最も良いと感じる。
    活字と写真だけでは、やはりリアルには伝わらない。
    TVなどの映像が流れるのは、次から次へと流されるだけで、人間にはツーと流れていくだけ。
    その点漫画は素晴らしい媒体だ。作者が伝えたいことが判るし、動きもある。
    未だに収束は見えないが、それでも一歩一歩進んでいることが判る。
    しかしこのような最前線に東電は影も形も見えない。
    全て下請け的な会社に押し付けているのであろう。

  • 沈黙の発電所 そういう誇張を入れちゃうとデマで煽ってる連中と同じ穴の狢だな でも断られたままで帰るのも業腹ごうはら ドス・カラス→メキシコの名レスラーでドスは「2」カラスは「顔」を意味するスペイン語だ だが1Fや作業員に対する腫れ物に触るような雰囲気に風穴を空け、もう少し自由闊達に語れる空気を作りたいそんな思いもある。これは謂わば俺なりのルチャ・リブレ(自由への闘い)なのだ。 規制庁(原子力規制委員会)の認可 おーまた名物待機地獄か? 放管さん(放射線管理員) 3Dスキャニング 遠隔操作のロボット 遮蔽体を戻す仕事 サンシャイントマトソフトクリーム 凄艶な美しさ メヒカリ唐揚げ定食 古関裕而先生 芋煮会 軽微な犯罪欄 除染作業員万引きで逮捕 海からの霧に煙る広野火力の煙突の幻想的な風景は変わらないが スパリゾートハワイアンズ 蟹洗い温泉めっちゃオーシャンビュー

  • 原子炉建屋。2014年夏、最前線にはじめて足を踏み入れる。 作者が見てきた「福島の現実」に反響続々の原発作業員ルポマンガ、2012年〜2014年編がついに完結。(Amazon紹介より)

    あの震災から間もなく8年が経ちます。最近は原発関連のニュースを聞くことも少なくなりました。それは、大きな問題もなく工事が進んでいるということだと私は思っています。
    私は、福島第一原発が今どのような状況かを知りませんし、そこで働くということがどの程度危険なのかも知りませんでした。作者曰く、今(2014年現在)は、線量の高いところ以外は普通のマスクですごせるそうです。自分の中にある全身防護のイメージとのギャップに驚きました。
    この国に暮らす者として、福島第一原発のリアルというのは知っていなくてはならないことだと思います。他人任せで申し訳ないですが、作者には是非また最新の情報をレポートしてもらいたいです。

  • 皆が読むべき。特に若い人達。

  • 知らない事だらけでした。
    とりあえず一度読んでください。
    そしたら復旧が遅いとか言えなくなります。

  • 借りたもの。
    井上きみどり『ふくしまノート』( https://booklog.jp/item/1/4812494001 )同様、こちらも最終巻。

    廃炉に向けて現在進行形であり、まだ解決に至っていない原発事故。
    2012~2014までの1Fの作業と、著者による『いちえふ』連載、出版までの経緯について書かれている。

    廃炉に向けた作業に携わり、それをどの様に表現するかの苦悩、連載時の反響、出版後の取材での一コマなど。
    1Fでの作業は、その重大性ゆえか寧ろ清潔(!)だったり(「もんじゅ」と大違い?)、実際に現場で働いている人が読んでいて特許技術に関わる部位を指摘されたり(!?)、作者は現行途中で作業現場へのオファーがかかったり(!!)と、怒涛の展開もあった模様。

    1Fで人間が入れない所はロボット(殆どラジコンみたい)を活用する話、それを原子炉建屋に向かわせるにはやはり人の手が関わること等、テレビや他のマスメディアでは報道されない事を伝えてくれる。
    敷地内の線量低下、汚染水(RO濃縮水)が漏洩リスクが少ないタンクに更新され、リスクはほぼなくなった等……

    以前の巻に描かれていた、震災後まもない頃にあった瓦礫の山が撤去されていたり、生活を取り戻そうとしている人々や自然の息吹を感じる描写がある。

    最後に著者が就労時に巡った福島にある温泉ガイドにほっこり。
    何気に福島も温泉街だった。知らなかった。

  • 少しずつ、少しずつ…
    作業は進んでいるようだけど、先は見えない。

    地味な進捗は、外部には伝わらないので、この漫画の意味は大きいと思う。

  • 報道ではいまいち伝わらない作業内容等がとてもわかりやすく描かれていて、完結は少し残念な気もします。
    近いはずなのにどこか遠い他人事のような気になっていた福島原発のこと。
    この漫画を読んでなかったら関心の度合いも全く違っただろうなと思います。
    「2012~2014年編完結」とあったのでいてかその続きが読めれば、そしてその時には゛いちえふ゛やその周辺の環境がより良くなっていてほしいな…と願います。

  • 今まで政治的に偏ってしか描かれてこなかった原発作業員の実際を,変に歪めることなく伝えてくれる素晴らしい作品だった。
    作者が経験したのは「被曝労働」という意味では「平時の」作業員よりもずっと苛酷な仕事であるはずなのだが,登場人物にそんな悲哀は見られない。もちろん決して条件に恵まれた仕事というわけではないけれど,皆誇りをもってやってるし,現場の状況や自分達に対する世間の誤解を鼻で笑ったりもしていて,そこにはちゃんと人間がいるんだなという気持ちにさせてくれる。
    地道で地味で単調な作業の中でも,「線量を食わない」ための現場の工夫の成功に喜びあい,見事な月と建屋の瓦礫のミスマッチに感じ入る。作業員同士の軽妙なやりとりや,趣味の歌など現場を離れてのささやかな楽しみも描かれる。
    政治的にバランスがとれた,というよりひたすら虫の目に徹したところがこの作品の真骨頂だし,高く評価される所以なのだと感じた。『いちえふ』は三巻でひとまず完結とのことだけど,原発事故後を伝えるメディアは,ぜひ今後もこういう生の声を伝えていって欲しい。風化を恐れるあまり,煽りやデマになってしまうのでは本末転倒なのだから。

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著者プロフィール

大学卒業後、職を転々とし、東日本大震災後、福島第一原子力発電所の作業員となる。

「2015年 『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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