決してマネしないでください。(3) (モーニングKC) (モーニング KC)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063885651

感想・レビュー・書評

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  • <「ガリレオの拓いた古典力学とマクスウェルの電磁気学を両立させるためにアインシュタインが特殊相対性理論に辿り着いたように・・・」。わかり合える日はきっと来る・・・!>

    理系クンの恋を応援しながら、アブない実験を行い、かつ偉人たちの業績(+悪行)を紹介する怒濤の学習コミック3巻目。

    この巻の中心はロボットコンテスト(通称ロボコン)。
    物理学部の掛田クンは、意中の人、生協食堂の飯島さんとロボコンを見に行きたいのですが、「デート」と構えすぎてうまく誘えません。頑張りつつも方向が間違っている掛田クン。
    コンテストに登場するのは、トランプを手裏剣のように投げてニンジンに突き刺すロボット、紙から紙飛行機を折って連射する装置、ルービックキューブ完成機、テンキーで数値を入力すると、そろばんで計算してくれるロボット、と役に立つやら何やらよくわからない世界。
    このあたりは実際に作製された装置がモデルになっていて、笑いつつもその情熱と着眼点に感心させられます。

    偉人ネタでは、フェルマーの定理に関わる話や、意外に肉食系だったキュリー夫人の話もなかなかおもしろかったですが、電話発明者のグラハム・ベルが意外な2人を繋いだ話が興味深かったです。
    ベルの父は発音学者、母は難聴のピアニスト、妻は耳が不自由という家族構成で、ベルは音声学と聾唖教育の第一人者でもありました。そこに舞い込んだのが「目と耳が不自由な娘に教育を受けさせたい」という依頼。依頼者はヘレン・ケラーの母。ベルが家庭教師として紹介したのが、他ならぬアン・サリバンだったのだそうです。
    ベルという人は人柄も温厚で新しいものへの情熱も深かったそうで、機会があれば少し詳しい評伝を読んでみようかなと思います。

    主要登場人物である工学部の有栖君と留学生のテレス君。2人併せると「アリストテレス(有栖とテレス)」だというのにようやくこの巻で気が付きましたw
    ・・・いや、それより「ニュートリノ」の語源が、「neutro-」(中性)+「ino」(小さい)だというのに「おお!」と感動しました。何となくニュー・トリノなのかと思っていたので(新しいトリノって何だ(^^;))。や、勉強になりました。

    さて冒頭のひとことは、掛田クンが飯島さんに精一杯の告白をした際のセリフ。それに対する飯島さんの答えは!? ここまでの実験と学習が十分に生きたものでしたよ。
    決して泣くところではないと思いますが、私、うるっとしてしまいました。
    そう、違いはあっても互いへの関心があれば、乗り越えられる。
    エンタメに仕上げつつも、「知らない世界」へのキラキラした瞳で、科学の世界へと読者を誘ってくれる本シリーズ。「愛」は興味と関心を持つところから始まるのです。読後感のよさはそんなところから来ているように思います。


    *笑いながらいろいろと勉強になった本シリーズ、何とこの巻で完結なのだとか。
    確かに掛田クンには春が来そうな気配ですが・・・。
    えー、もったいないなぁ・・・。発行部数や知名度は「日本人の知らない日本語」シリーズには及ばないとは思いますが、負けず劣らずおもしろいのに・・・。
    と思ったら、アンケートはがきが入っていて、「続編が発売されたら購入しますか?」の質問が。もちろん、もちろん。花丸付けて返送します♪

    *作中に掛田クンが飯島さんへの恋心を分析した論文が登場しますが、そういえば、リアルでも論文でプロポーズというのが昨年ニュースになりました。「謝辞」に、協力を感謝したうえで、"Will you marry me ?"( Brown, C.M., and Henderson, D.M. 2015. Current Biology, 25: 1641–1648)。お相手の答えはYesだったそうです。よかったですねw

  • 理系男子・掛田くんと給食のおばさん・飯島さんの恋愛もついにクライマックス!掛田くんが飯島さんの本質を好きになったように、飯島さんもまた掛田くんの言葉の奥にある誠実さを感じ取っていたのが素敵だった。しかも、これまでの実験を経て、科学のこともすっかり好きになっていたようで何より。あのかけ合いをラストに持ってくるのは憎い演出だよね。白石先生の「結果より過程を大事にしたほうが自信はつく 結果は水ものだが努力したという事実は確かだろ 揺らいだ時は揺らがないことを思い出せ」という言葉も好き。

    偉人エピソードもキレッキレだった。ぶっちぎりに人嫌い過ぎて、その功績が伝わったのが死後だったキャベンディッシュ。人から認められるためではなく、自分の好奇心でその道のりを辿っていった孤高の姿がカッコいい。でも、周りからしたら「言ってくれ!」となるよね(笑) 九歳までほぼ何も話さなかったアインシュタインが大成した話も興味深かったし、キュリー夫人の功績と不倫エピソードも強烈で面白かった。

    ニュートリノの解説もわかりやすくてよかった。どれくらい小さいのか例えてあったけど、ほんとによく見つけたよなあってサイズで驚いた。これは見つけ出すだけですごすぎるね。まだまだ世界には解明されていない謎がたくさんあるんだよね。科学者たちの挑戦は続いていく。それを楽しく応援できるようになる作品だった。

  • 完結したのがすごく残念です。
    理系のちょっとしたネタがツボにはまって、声を出して笑ってしまうマンガでした。

  • まずは帯で驚かせてくれる。
    「堂々完結!…したらクレームの嵐!! 円城塔懇願『このマンガは現代の日本に必要な作品だと思います』」
    つい円城氏のツイッターで確認してしまった。氏も大学は物理学科だったものね。これからは掛田君とイメージがちょっと重なるかも。

    それはともかく、完結しちゃったのね~。残念。かなり楽しませてもらった。毎回科学者ヘンテコ話が特に楽しかった。今回のキュリー夫人も、あらま、そうだったの!こりゃあ伝記には書けないわなー、という暴走ぶり。でもまあ、一家で六個もノーベル賞をもらってるような方たちなのだからして、凡人は何も申すまい。

    このマンガは、そういう理系ネタの新鮮な面白さに加えて、メインストーリーである掛田君の恋の顛末も、共感を呼ぶところがとてもいい。大事な人とつきあうってことは、掛田君と飯島さんのように、お互いに少し歩み寄って変わっていくことだよね。

    小ネタでは素数大富豪がお気に入り。今度やってみようと思う(が、できるかな?)。Tシャツシリーズでは、最後に出てきたテレス君の「要冷蔵」が傑作だった。

  • 超ひも理論とか、スーパーカミオカンデとかなんかいい。世界一雑なニュートリノ解説も良かった。
    想像の何兆倍も小さいなニュートリノ
    とりあえず、JーPARCのURLを貼っておこう。
    https://j-parc.jp/c/index.html

    最高の漫画だった。続刊していないのが非常に残念。

著者プロフィール

ゲーム会社にてコピーライター兼デザイナーとして勤務後、独立。フリーライター兼イラストレーターの時代を経て、絵と文を同時に書けばいいのではと遅まきながら気付き、漫画家の道へ。著作に『決してマネしないでください。』、『天地創造デザイン部』(原作)など。

「2021年 『傀儡戦記(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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