人はどのように鉄を作ってきたか 4000年の歴史と製鉄の原理 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
2.85
  • (0)
  • (9)
  • (14)
  • (8)
  • (3)
本棚登録 : 268
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065020173

作品紹介・あらすじ

鋼、玉鋼、錬鉄、銑鉄、溶鉱炉、転炉、平炉、反射炉、たたら……
古代から現代までの製鉄法と、その技術を探る。

 人類が鉄を作り始めて4000年。「鉄」ほど人類の社会と文明に影響を与えた物質はない。温度計もない時代に、どのように鉄を作ったのだろうか?
「鉄鉱石を炉に入れ加熱すれば、鉄は自然にできてくる」とうわけではない。鉄鉱石から鉄を作るには、厳密に温度を管理し、含まれる炭素の量をコントロールし、リンやイオウなどの不純物が混ざらないようにしなければならない。温度計すらない時代から、鉄を作ってきた人々は、それらをどのように知り、何を目安に鉄を作ってきたのだろうか。
 アナトリアの最古の製鉄から現代の製鉄法、さらに日本固有の「たたら製鉄」の技術を解説しながら、鉄づくりの秘密に迫る。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 全19章のうち、第2章「鉄を作る」とはどういうことか が、唯一理解できる章だった。
    「焼入れ」と「焼鈍し」の原理を理解出来ただけでもよしとしよう。。

    鉄と炭素の組合せの妙、熱処理のやり方次第で硬くも柔らかくもできると言うのはすごいことだ。
    あまり意識したことなかったけど、世の中に多目に存在する原子は、ヘリウム(質量数4)同士による核融合の結果として生まれているので、質量数はだいたい4の倍数である、というのは、なるほど、だった。炭素12、酸素16、ケイ素28、硫黄32、カルシウム40、鉄56、銅64、とか。

  • 他の方もかかれてるように、マニア向けです。
    歴史上の製鉄法を分かりやすく解説してくれる一冊かと思いきや、分かりやすくない!図が少ないし分かりにくい…。既に製鉄に精通したマニア以外はまず言葉から装置を想像することもできず、置いてきぼりになります。

  • 子供の頃から製鉄にかなり興味を持っていたという工学博士による本。多くの製鉄の方法やその歴史を掘り下げている。

    学者らしく成分や製法についてかなり詳しく書かれており、工業系に興味を持つ人や製鉄マニアは楽しめそうだ。しかし私はなかなか興味が持てず、「科学研究のない古代からよくぞ製鉄技術があったものだ」と感心するにとどまってしまった。

  • カーボンニュートラルの理解を深める上で、二酸化炭素排出量の多い製鉄業、高炉メーカーによる水素還元鉄を勉強しようと思った。

    鉄中の炭素濃度を高めると融点が下がり、より低い温度で製鉄する事ができて、リン濃度も低くなる。強く送風する事で脱炭が起こり、炭素濃度が下がってしまう。炉を高くして、浸炭領域を長くする事が重要。ブードワー反応による、一酸化炭素での還元。この過程で二酸化炭素が排出されるという事。

    化学成分分析が出来なかった時代でも、理屈にあった物づくりが出来ていたという事実は面白い。何故、インドのデリーの鉄柱は錆びないのか。陰謀論のような話もあるが、原理を知る事が重要だ。

  • 「グプタ朝期に建てられた鉄柱」とはデリーの鉄柱である。一般的にアショーカ・ピラーと呼ばれているようだが誤り。アショーカ王碑文が認(したた)められているのは摩崖・洞窟・石柱である。
    https://sessendo.blogspot.com/2021/06/16004000.html

  •  製鉄に関するトピックを羅列した本。章立てがやたら多く、各章の関連が断絶しているところがちらほらしていることや、全体的に筋が通っていないことから、著者が編集委員をやっている雑誌の記事を抜き取ったものと察する(実際あとがきに「連載の一部で構成した」とある。初出時は編集委員だったかは不明)。つまり、タイトルに合った内容ではない。
     ひどい点はたくさんあるが、3点あげておく。まず、製鉄とは鉄鉱石など鉄原子を含む鉱物から鉄単体を分離することと読み取れる説明(反応式出してるんだからそうでしょ)をしているにもかかわらず、その説明が一貫していない。そもそも鉄の単離に関して一切触れられていないし、それは人類が求めた物質ではないことについても言及がない。この点は本書全体を支離滅裂にしているし、致命的である。
     2点目、問題設定と結論がない、又は最後に結論だけで終わってしまっている。各章で閉じているとしても「だから何だ?」としか感じようのない話ばかりである。中間で全く関係ない話を展開し、章のタイトルと同じことを言って締めくくっているような章もある。エッセイならいいかもしれないが、エッセイとしてもはっきり言ってつまらない。
     3点目、実況見分調書を読まされているような単調な文章と図表、写真のまずさ。本書はいっときの事件や事故の証拠を並べているのではない。写真も本文で使わない記号がそのまま入っていたりと、使い回しが目立つ。価格のことは言いたくないが、新書にしては高い部類なのだから、魅力的な記述と資料による補強をしていただきたい。
     鉄は現代の生活には欠かせないし、人類の発展に寄与したことは疑いようもない。その割に、どうやって作っているのか、どのような試行錯誤の上に製鉄技術が生まれたのか解説された本はほとんどない。だからこそこの本を手に取ったのだが、残念で仕方ない。
     最後に、これから本を買うときは、1はしがきを読んで雑誌の抜き取りじゃないか確かめる、2参考文献は入手可能なものが挙げられているか、3(解説書・入門書なら)全体像をつかむ理論的で入手可能な図書が挙げられているか、の3点はこれからよく検討しようと思う。
     星一つは、立ち読みすればダメだとわかるこの本を買わされた、「一本取られた」という意味である。読む価値がないとは言わない、木下是雄『理科系の作文技術』と併せて読むと、科学技術的なエッセイの書き方が上達するのではないかと思う。
     ほかに感想を書きたい本がたくさんあるのに、頭にきてこんな記事を書いてしまった。端緒はともかく、ひとつ創造に至ったという点で、著者と講談社に感謝はしておく。

  • 実際に製鉄の実験をしており面白い。

  • 人類は鉄によって文明を作り、文化を創造してきた。数千年にわたり、人類が営々と積み上げてきた製鉄の歴史と、その技術を振り返る鋼、玉鋼、錬鉄、銑鉄、溶鉱炉、転炉、平炉、反射炉、たたら……
    古代から現代までの製鉄法と、その技術を探る。(出版社HPより抜粋)

    ◆◇工学分館の所蔵はこちら→
    https://opac.library.tohoku.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=TT22074043

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

永田和宏(ながた・かずひろ)京都大学名誉教授、京都産業大学名誉教授。歌人・細胞生物学。

「2021年 『学問の自由が危ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

永田和宏の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
トマ・ピケティ
ジャレド・ダイア...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×