海に沈んだ大陸の謎 最新科学が解き明かす激動の地球史 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065020210

作品紹介・あらすじ

我々がよく知る6大陸のほかに、もうひとつの大陸が存在する! その名は……。
好評既刊『地球を突き動かす超巨大火山』の著者による、地球ミステリー第2弾! ミクロな物質から地球史を復元する壮大な謎解きを、地学の知識がない読者に向けて解説します。

【幻の大陸の伝説】
かつて多くの少年少女を夢中にさせた「ムー大陸伝説」。それは、はるか昔の太平洋に存在し、古代文明とともに海に沈んだ「幻の大陸」の言い伝えです。ハワイ諸島やイースター島は沈没を免れた大陸の一部だ、とも言われます。大西洋のアトランティス大陸の伝説も有名です。「幻の大陸」などいかにも怪しい話ですが、簡単にウソと言い切れるものでしょうか。
我々がよく知る6つの大陸の分布は永続的なものではありません。およそ1億8000万年前、6大陸はくっついていて、1つの超大陸「パンゲア」を形成していました。じつは、大陸の合体と分裂が長い時間をかけて何度もくり返されてきました。そのようなダイナミックな変動が起きていたならば、地球の長い歴史上、一度は誕生しながら姿を消した大陸があってもよさそうなものです。もしかすると、幻の大陸の伝説はそうした存在を語り継ぐもので、あながち単なる“お話”ではないのかもしれません。

【伝説の検証】
幻の大陸の伝説を検証するならば、地球の歴史やしくみを解明してきた地球科学が役に立ちます。地球科学は、地表を覆う岩板=プレートの生成メカニズムや運動の様子を明らかにし、プレートテクトニクス理論を確立しました。それは、地形形成や火山・地震活動の原因の統一的な説明を可能にしました。上記の大陸の変動も、地球科学が明らかにした事実です。
じつは、現代の地球科学では海底に大陸があってもおかしくない、と考えられています。実際に、地球科学者たちは調査船に乗り「海に沈んだ大陸」を探しています。本書の著者もそのひとり。といっても、大陸を見つけるには、広い海のどこで何を探せばよいのでしょうか? 大陸が海底に沈んでしまったとすれば、それはいつのことで、どんな理由があったのでしょうか?
本書は最新研究を紹介しつつ、これらの謎に大真面目に挑みます。どうやら、岩石を構成する小さな鉱物に含まれる微量元素が、大陸形成史解読のカギを握っているようです。

感想・レビュー・書評

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  • 本屋や図書館や古書店、とにかく膨大な書物の波間を彷徨うのがたまらなく好きである。
    そのタイトル、表紙のデザイン、装丁の拘り、紙の手触りなど、小さな一冊一冊がそれぞれ息をしているかの様で、手にとる度、命に触れた様なときめきを感じてしまう。
    ところで、今回はその「手にとる」についてちょっと考えさせられた。
    世の中の未だ解明されていない未知のゾーンに踏み込んだテーマは大好きな分野で「失われた大陸」が本当にあったのかどうか?その真価を問う内容に惹かれ、献本に応募させて頂いたのだが、どうも本と自分の気持ちがかみ合わない。
    面白くない訳では決してないのだが、どこだろう?なぜだろう?しっくりこないまま読み進んでゆくと、著者の思いが綴られていた章で、そのワケがはっきりわかった。
    「ムー大陸やアトランティス大陸の伝説が広く興味を持たれている理由は大陸が沈んだという現象よりも、天変地異によって国や文明が滅んだという悲劇をはらんでいるからでしょう…etc」
    そうか。私の興味も一万年以上も昔、今より優れた文明を持つ都市が一夜にして滅んだ、というミステリアスに惹かれ、強く知りたいのはその情報だったのだ。
    だが、地質学者である著者が明らかにしたかったのは、
    海底調査を行い、地質を調べた上で『本当に海に沈んだ大陸はあったのか?』という真実であった。
    専門的な内容に苦戦はしたが、読者に違った切り口で伝説の一端を知って欲しいという著者の熱は、本を「手にする」間口を広げてもらった様な新鮮な読書体験となった。

  • 地球科学に興味を持ったので読んでみた。
    岩石や分析の部分はあまり理解できなかったが結論が分かりやすく書かれていたので内容はわかった。
    全体を通して面白い内容で分かりやすく解説があり良かったです。

  • 地質学も気になるので手にとってみた。
    途中、岩石の話と、科学記号は
    やっぱり頭に入ってこなかった(泣)
    これが入ってこんようだと、
    この分野には進めないなぁ(泣)

  • ムー大陸伝説から入って、この伝説の地質学的検証をする形で、地殻やらプレートテクトニクスやらを解説。

    最近の研究成果を織り交ぜてくれてるし、少し難解なところもあったけど、わかりやすく説明してくれてます。

    著者の専門と違うけど、モアイ像が体を揺すって歩いていたという伝説を伝説と紹介していたけど、最近、ほんとに揺すって歩いていたことが実験されたはず。歩くわけではなく、移動させてたんですが、左右に揺らしながら、進ませたようです。

  • 請求記号 455.8/Sa 66/2021

  • 失われた「ムー大陸」は本当にあったのか? 長年にわたる海底調査から幻の大陸がその姿を現した。地球科学最大のミステリへようこそ。

  • 先日のプレゼントでいただきました。 ありがとうございます。 久しぶりの紙本です。

    失われた、海に沈んだ、心惹かれる形容詞です。地球の謎は、まだまだ深く存在しているんだなぁ、と思いました。 ムーなのか、アトランティスなのか、はたまた、ジーランディアなのか。 きっと私は正解を、真実を知ることなく生を終えると思いますが、誰かがずっとこの研究を続けていってほしいなぁ、と思う。
    できれば、ずーーーーっと探していられる謎であるといいなぁ、と思うw 謎は謎のまま、というのが一つであるほうがロマンティックじゃないかと思う。だって追いかけるものがなくなったら、つまらないでしょう。

  • この書籍はブクログが主催した献本企画で読まさせて頂いたものです。
    内容としては、すごく読みやすくて幻のムー大陸や大陸の成り立ち、火山についてなどとても詳しく分かりやすい文章でまとめられていて勉強になった書籍でした。

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著者プロフィール

1968年、静岡県生まれ。1997年、東京大学大学院理学系研究科地質学専攻博士課程修了。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員などを経て、国立科学博物館地学研究部鉱物科学研究グループ長。専門は火山学および岩石学で、主な研究対象は超巨大火山。

「2022年 『日本の気候変動5000万年史 四季のある気候はいかにして誕生したのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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