へんな西洋絵画

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065134115

作品紹介・あらすじ

可愛くない子どもたち、どう見てもおかしな動物……偉大な西洋画家たちが描いた”へんな絵”で、笑って学ぶアート入門。

感想・レビュー・書評

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  • キューピーのようなキュートな髪型とくろぶちめがね、スーツに蝶ネクタイ。小洒落た雰囲気で口を開けばその博識に驚かされる。
    子供のころからよくテレビでおみかけしていた山田五郎さん。
    本業は美術評論家だったのですね。
    氏の美術評論家としての知識と、テレビで観ていて感じるのと同等の毒舌家ぶりが楽しい西洋絵画の本。

    あえて狙った「へん」さではなく、いわば「天然」ものの「へんな西洋絵画」を集めてあります。
    よく出てくるのがデュ-ラ-とルソー。
    デュ-ラーはドイツのダヴィンチと呼ばれている画家。
    絵はとてつもなく上手なはずなのにどうしてこんなに「へん」なのか。
    逆にルソーは「絵が下手」らしい。
    下手、、、というか、なんというか、独特。
    現に19世紀までは「下手」として笑われていたが、20世紀に入り、ピカソら若い画家に見出だされ、「個性」と絶賛されたそうだ。

    この本も『西洋絵画なんか、つまんない』という方にもヒットするような気がします。
    絵画鑑賞ビギナーの自分には、最近こういう変わった切り口の絵画本がたくさん出版されているのは喜ばしいかぎり。
    興味をそそられます。

    美術史もちょっと学べてお得です。

  • 本当に「へんな」絵画ばかり集めて面白い切り口でした。表紙からしてインパクトがあります。
    思わずクスリと笑ってしまう解説もいいです。

    西洋画に対するハードルが下がりました。

  • 意図して描かれたへんな絵ではなく、真面目に描いたへんな絵を取り上げている。まあ、西洋絵画って、結構へんなのが多いけどね。日本人の感性と違うところが多々ありというところかな。まずは聖母子像の幼子キリスト。変に威厳を出そうとして、おっさんみたいになったり、エロ顔だったり、怖かったり、薄笑いしてたり、最高に面白い。聖母子以外の子どもだって、変なのが多い。単に、子どもを描くのが下手っていう人もいるけど。次に、ロマネスク絵画の古拙なおかしさ。そして、画家が想像やまた聞きだけで描いたすんばらしい生き物。遠近法無視の人物。無茶苦茶描かれているものが多かったり、偏執狂的に細かかったり。うわあ、って叫んでしまうよ。題材が変なやつ、最後に自画像。いやはやと言いながら、堪能してしまった。西洋絵画って尽きせぬ魅力が満載だよ。

  • 山田先生のYouTubeチャンネルから本書に辿り着いた。西洋美術史やジャンル(印象派とか)の図解や絵そのものをじっくり観れるという面では動画よりも本書の方が良い。先生の博識と分かりやすく絵画を楽しんでもらおうという意図が感じられる。
    先生の動画でもルソーとセザンヌは推されていた(あと俺たちのドガとか)が本書でも扱いは大きい。この2人、私の愛読する漫画『ZERO』でも取り上げられていたが本書でより深掘りされた楽しみを得ることができた。

  • 大爆笑です。
    全く可愛くない聖母子像、みたことのない未確認生物のようになってしまっている犬など、絵の変さと山田五郎さんのツッコミのコメントが絶妙です。

  • 西洋絵画というと美術館で鑑賞する高尚な芸術作品というイメージ。
    でも中には、見方を変えると、なんでこんなのが描かれてるの?と思える作品が結構ある。
    そんな観点で集めた作品を独自の視点で紹介している本作。
    山田五郎氏の軽妙洒脱なトピックと解説が楽しめる。例えば表紙の少女はルソーの作品で、これには『空気椅子に座らされています』と題してます。思わずクスっと笑えるものかを満載。

  • BS日テレで放送中の『ぶらぶら美術・博物館』の進行役も務める山田五郎氏が、「へん!」という切り口で西洋絵画を紹介するユニークな書。カバーはアンリ・ルソーの作品(横浜美術館で開催中の企画展に出展されている)で、なにが“へん”なのか一目瞭然だ。番組同様の楽しくわかりやすい解説でニヤニヤしっぱなしだった。

  • 今でいうアウトサイダーアーティストのアンリ・ルソーはともかく、「格式高い」イコン絵画やマニエリスム、セザンヌらを『変な~』と一括にしている姿勢が面白い。
    しかも、『変な~』中にもいろいろと理由があり、なるほどと思わされるものが多数。展覧会を見る際の楽しさがまた一つ増えた。

  • (2021/9/19読了)
    偶然、図書館で見つけてそそられて借りました。
    いろんな変があって、しかしちゃんとした理由があるへんもあって、想像した以上に面白かったです。
    マリアやイエスの絵に小さな大人か遠近法もなく描かれているのは、その絵の依頼主で、偉大なるマリア様と同じ大きさに描いては失礼とのことだったり、わざと必要以上に大きさを変えたり、醜く描いてるのには、何かしらの意味があってのことだったり。
    ひとり?ふたりかな。ヘタで変な画家さんも。
    ルソーは、地面に立っている足が描けなくて、宙に浮いてるように見えます。草で誤魔化したりしてても、角度や長さがへん。ここまでへんでも自分に自信を持てる精神は素晴らしいと思います。
    もうひとりのセザンヌは、ルソーと違って自分でヘタを認識していて、《自然をそっくりに描けないなら、描ける形に作り直してしまえばいいという逆転の発想…平たくいえば絵は描く対象に似ていなくてもよくなったとあうこと。…絵として成立してさえいればそれでOK》(引用)
    いつも借りる本とは違う分野の本でしたが、借りて正解でした。

  • 評論家でTVでもよく見かける山田五郎による、中世~近現代の西洋画の「へんな」部分に着目して解説、論評した本。

    うっかり見逃してたり、ま、こんなものか、とやりすごしてしまうような絵画の変なところと、それがなぜそうなっているのかの著者独自の解釈が面白い。

    全く可愛くない子供たち、未確認生物(UMA)、遠近法を全く無視、単にヘタ(笑)、等々さまざまな視点で有名無名の絵がたっぷりと紹介されている。

    個人的にはロレンツォ・ロット:聖マリアの誕生、アンドレア・マンテーニャ:キリストの神殿奉献、クエンティン・マサイス:醜女の肖像がお気に入り(ぜひ画像検索してみてください!)。

    あと、ちょっと残念だったのはUMAコーナーで、UMAの宝庫のピーテル・ブリューゲルのUMAが取り上げられていなかったこと。続編作成して、ぜひ取り上げていただきたい。

    あ、それから、表紙に使われている女の子の顔が、マンガ「進撃の巨人」に出てくる巨人のような顔なのも面白かったです。

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著者プロフィール

山田五郎(やまだ・ごろう)
1958年、東京都生まれ。編集者・評論家。東京国立博物館評議員。AHS(英国古時計協会)会員。上智大学文学部在学中にオーストリア・ザルツブルク大学に1年間遊学し、西洋美術史を学ぶ。卒業後、講談社に入社。『Hot-Dog PRESS』編集長、総合編纂局担当部長等を経てフリーに。現在は時計、西洋美術、街づくりなど幅広い分野で講演、執筆活動を続けている。『ぶらぶら美術・博物館』(BS日テレ)、『出没! アド街ック天国』(テレビ東京)など、テレビ・ラジオの出演も多い。主な著書に『知識ゼロからの西洋絵画入門』『知識ゼロからの西洋絵画史入門』『知識ゼロからの西洋絵画 困った巨匠対決』『知識ゼロからの近代絵画入門』(以上、幻冬舎)、『ヘンタイ美術館』(共著・ダイヤモンド社)、『へんな西洋絵画』(講談社)など。

「2022年 『第2期:5巻セット 〈白の闇〉篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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