東京パパ友ラブストーリー

著者 :
  • 講談社
2.73
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065136607

作品紹介・あらすじ

パパ友どうしの恋。
ゴーギャンにはなれない、おまえも、俺も。一度きりの人生を、後悔して生きていく。後悔したことさえ忘れて。

有田豪儀と鐘山明人は、同じ保育員に子どもを預けている。とはいえ、豪儀はファンドマネージメントのCEOで多忙を極めているため、朝、娘の亜梨を保育園に送っていくだけ。対して明人は、妻が美砂がタレント議員でこれまた多忙のため、ワンオペ、育児かつ家事全般を請け負っている。
互いに顔見知り程度だったが、ある日、明人はLINEで豪儀を飲みに誘う。「お互いイクメンとして妻の悪口を言い合おうよと」。その晩、ゲイ不倫という地獄の釜の蓋が開いたのだったーー。
これは復讐なのか? 完璧な妻に対して、自分より稼ぐ妻に対しての。

ミソジニー、嫉妬、仕事ができない焦り、不公平感……ゴーギャンになりきれなかった男たちの思いが炸裂し、疾走する!

感想・レビュー・書評

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  • もっとプラトニックな、駆け引きのある恋愛小説かなと思ったら、いきなりフルスロットルの肉弾戦だったのでちょっとびっくりしました。
    ノンケの人が一気に男同士の恋愛にドはまりするかは経験無いので分からないですが、自分に置き換えるとあり得なさにちょっと引いた瞬間も有りました。
    同じ章の中で色々な人の心の声が入り乱れるので、小説としての出来はどうなのかなと思ってしまう所はありましたが、正直一気読みしてしまいました。
    お互いの妻と子供もいてどろんどろんのドロドロなので、面白いながらもおっかないなあとも思いました。

  • 性表現が秀逸です。
    官能小説のような直喩的な淫表現は取り扱わず、あくまでも間接的な表現で男性同士の官能を表現しています
    男同士で契り合うときの言い訳の狡さ、衝動は目を惹きます
    一番好きなシーンは平日の昼間からラブホテルに入るシーンです
    後ろめたさと抑えられなかった衝動が禁欲さと熱を表しています
    笑ったのは不倫がバレたときの嫁の豹変っぷりですね
    彼女の祖先はサイヤ人なのでしょう
    不倫した旦那と同衾したくない、湯船に浸かりたくないという生理的嫌悪感が生々しかったです
    バリキャリ面の嫁だったため尚更女々しく悩む様が印象てきでした
    同人上がりの妄想だけで突っ走るBL作家とは違い、ちゃんとした“小説家”の人がしっかり書いた同性愛表現のある不倫小説で、とても読み応えがありました

  • イクメン同士がパパ友の関係から恋人に。
    著者ならではの悪ふざけっぷりというか露悪趣味というか、そのあたりががむしろ爽快。
    でも読者を選ぶと思うのでこの装丁はちょっと罠かも。

  • 初の樋口毅宏さん。タモリ論(未読)の作家さんだったのか。
    志村貴子さんイラストの表紙からは想像しなかったドロドロ感。生々しい単語。ここまでがっつり男性同士の恋愛だとは思っていなかった。
    読みごたえはあった。各章のはじめの登場人物それぞれのふりかえりというか、そこでちょっと一呼吸つける感じ。あれがないとしんどすぎるかも。
    中盤の「女性問題ではなく男の性処理問題」辺り、男性ではないわたしにはあまりに遠い感覚、ちょっとした衝撃、少々不快、でした。
    けれどラストはさわやかラブストーリー風で、不思議な読後感でした。
    この不思議感がこの作家さんの特色だとしたら、他の作品も、とはちょっとなりにくいかも。

  • ゲイの恋愛話はたまに聞くけれど結婚していて子供もいるパパ友どうしの恋バナは新鮮でした。

    30歳の若さでファンドマネージメント会社のCEOである有馬豪。

    娘が通う保育園で、おっさん建築家、52歳の鐘山明人と出会い飲みに行ったその晩、明人に唇を奪われてしまいそこから恋愛はスタートする。

    タレント議員の妻の為に建築家としての仕事をセーブして育児と家事をこなす明人が感じる不公平感と悶々とした思いは共感出来る。

    また豪の妻、まなみの計算高く利己主義な存在は不愉快だ。

    ドタバタ感はあるが豪と明人の純な気持ちにはちょっとやられた。

  •  誰かのせいにしたかったが、自分の顔しか思い浮かばなかった。
    (P.206)

    「ゴーギャンにはなれない、おまえも、俺も。一度きりの人生を、後悔して生きていく。後悔したことも忘れて」
    (P.209)

  • この本を手に取った時は、「パパ友ラブストーリー」とは言うものの、タイトルがそう匂わせているだけで、内容はパパ友の友情物語?的なものだと思って読んでみたらガッツリ恋愛しててびっくりしました(笑)
    パパ同士の不倫。設定は新しくて面白いなと思いました。同性愛だとか専業主夫、女性の社会進出とか、今の時代に沿った問題が描かれているところは良かったと思います。
    不倫は不倫なので、泥沼修羅場もあるので読んでいて気持ちのいい話ではないし、綺麗事では済まされないのが現実なのかなとちょっと思ったりもしました。

  • 子育てまで時間が回らないつまらない妻と自分の仕事を減らしほぼ子育て状態の旦那の夫婦といい
    「あなたの子を産みたい」と言われて結婚。とかなんか既視感ある展開に「あれ?これってcakesの樋口さんのコラムだっけ?」とクラクラしてると
    多様性を受け入れる風潮なんか○ソくらえ!とばかりに「で、ほんとは?」とこちらを追い込んでくる。
    襟を掴まれてグラグラグラグラ揺らされ、首がもげそうな感覚の中でも物語は進んでいき疲れ果てるこちらと登場人物達。そして最後に…
    久しぶりに読んだ樋口作品、相変わらずエネルギーが強くその世界に引き込まれてしまう(肌が合う)

  • 怒涛の展開にびっくりして一気に読んだ。引き込まれて面白かったけれど、どの登場人物にも共感出来ないので星2つ。

  • この二人が惹かれ合った切っ掛けとか過程が全く不明。
    恋愛小説ならではの見せ場がない。
    二人の関係が公になってからの崩壊ぶりはリアルですけど。

    ホモ不倫がばれたらこうなりますよ。
    参考にはなりますね。

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著者プロフィール

東京都豊島区雑司ヶ谷生まれ。出版社に勤務したのち、2009年『さらば雑司ヶ谷』で小説家デビュー。11年『民宿雪国』が山本周五郎賞と山田風太郎賞の候補作となり話題に。著書に『日本のセックス』『テロルのすべて』『二十五の瞳』『タモリ論』『ドルフィン・ソングを救え!』などがある。

「2023年 『無法の世界 Dear Mom, Fuck You』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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