高次元空間を見る方法 次元が増えるとどんな不思議が起こるのか (ブルーバックス)
- 講談社 (2019年9月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065172834
作品紹介・あらすじ
4次元空間や5次元空間‥‥といった高次元空間は、数学や物理学はじめ、現代では科学の多くの分野で研究されています。また、経済学や数理ファイナンスの分野でも、高次元空間というのは基礎のひとつとなっています。何故、多くの学問で高次元空間の考え方が基礎であるかといえば、数学では多変数の関数や方程式、そして多値関数を考える場合が多いためです。その際の有効な手段として、グラフを考え、現象を分析することが必要になりますが、そのグラフは高次元空間の中の図形として描かれるため、自然と高次元空間の中の図形を扱うことになります。よって、様々な学問で高次元空間が基礎だと言うことができるのです。
本書では、1次元、2次元、3次元と身近な次元の中の図形から考察をはじめます。次元を1つずつ上の次元に広げていく考え方からイメージを膨らませていきます。例えば、1次元の直線(ある領域)を1つの点の周りに回転させると、2次元の中では円になります。次に2次元の平面(ある領域)を1次元の直線の周りに回転させると、3次元の中では円柱になったり球になったりします。この考え方をもう一歩進めて、3次元の立体を2次元の平面の周りに回転させると、4次元の中で立体ができます。条件によっては4次元の中の球になります。このように、次元を1つずつ上げていく考え方を、身近な次元で考えたり練習したりすることで、高次元への応用を考えていきます。
また逆に、高次元の中の図形を、少ない次元に影を映す「射影」という考え方も、高次元の中の図形を調べる手段としては有効な考え方ですので、射影についても基礎からわかりやすく解説していきます。
現代科学にとって重要な考え方である高次元空間の図形を、読者のイメージをふくらませ、基礎からわかりやすく解説していきます。
感想・レビュー・書評
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同じ著者の「多様体とは何か」には当たって砕けてしまったが本書はわりと理解できた。
低次元の話から始めて、だんだんと次元を上げていき、最後にはn次元まで一般化することを目指す。
ひもの結び目が、次元をひとつ増やすことでほどかれるという話、かなり面白かった。し、頭の体操にもなった。普段使わないところを使った感じで新鮮な疲れ。
逆に、別の次元でひもを結ぶこともできる。これ、わかったときの喜びがすごく大きい。
それからもうひとつ、右手系の座標軸と左手系のそれは、次元を上げることで区別がつかなくなるという話も感心しっぱなし。よくもこんなこと考えついたものだ。
これって要は、次元を増やすことで、高次元球面を裏返すことができるということなのかな。裏返すという表現はもはや使えないけれども。
こういう技、超弦理論の研究なんかでも当然駆使するのだろうな。尊敬する。
ところで、内容も興味深かったが語り口がくすっと笑えた。
なんか数学の話なのに、"気合い"で想像してくださいとかよく言っていて、しかもよく読者を励ましてくれる(笑)
本書のあっさりとした結びも気に入った。
「著者は現在(2019年9月)、共著(…)をすでに書いたことのあるカウフマンとコバノフ(リプシッツ・サーカー)・ステイブル・ホモトピー・タイプについて、どうやら新しいことが見つかりそうで、研究を進めています。乞うご期待。」
ちなみに、本書を読むと著者が高次元について語る際の"書法"がよくわかるので、「多様体とは何か」を読む前に本書をあらかじめ読んでおくといくらか理解の助けになるかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
難しいけど、まあこれくらいなら自分でも理解できたかな、という感じ。
3次元のものを4次元に引っ張ったら、3次元の人間からしたらそこが途切れるみたいなイメージ。4次元で何かを施して3次元に戻せば、3次元の人間からしたらあり得ないことが起こったように見えるって感じ?
2次元人間をイメージして、3次元人間の我々が彼らに何ができる?って考えるとしっくりくる。 -
小笠英志『高次元空間を見る方法』。数学では高次元を扱うことがあるがこわいイメージを持ちがちだけど、それを「コワクナイヨ」する本。実際けっこういける感じがする、け、ど…、CW複体が登場するあたりから完全に置き去りにされた。また読み返してみるともうちょっと先を読めるかもしれない。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB28875309 -
高次元初心者ですが、なんとか最後まで読みました。イメージ図のおかげで4次元までは見えました。それ以上になるとやはり直感理解は難しい。著者は結び目が専門のようだが、まず、そんな専門があるのか!
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高次元空間とはどういうことか考えてみたかった。途中で根気が尽きて議論においていかれてしまったがとにかく読み通した、という感じ。ただ、それはこちらの理解力の問題で、内容自体はとても面白く理解しやすいように配慮されている。おぼろげに言いたいことは理解したと思う。読んで感じたのは、高次元空間での結び目を考える過程て出てくる図形の動きはどことなくDNAから情報が転写されていく風景にどことなく似ているという事。
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二次元、三次元での現象のアナロジーから、高次元空間を「見る」ことを目指す本。中盤辺りから、「直感で理解してください」との無茶振りが連発して、オイオイと思ったが、まぁしょうがないと言えばしょうがない。特定の(三次元上ではほどけない)三次元結び目が四次元空間上に持ち込むことでほどける、というのはへぇと思った。
本書とは関係ないことだが、人間に四次元が理解できないのは何故だろうとふと思った。私たちが三次元空間に住んでいるのは確かだが、それは果たして理由になるのだろうか? -
4次元以上のイメージのしかた(3次元空間でほどけない結び目を4次元空間でほどく方法とか)を少し知ることができた。あと結び目理論は興味深い。その2つについてもう少し深い解説が読めたらもっとよかったのだが。やさしい話と超難しい話が多くて中間がない。
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191222.パート3くらいで置いてかれた。悲しい授業の思い出が蘇った。
3次元に様々な値を付加することで次元が増えるというのは分かったが、そのあとからのネジレだとかからはもう。。
動画も見てみたけどあっさりしすぎてて置いてけぼり。
これが分かる人ってのはなんなんだ!!