ニッポンの主婦 100年の食卓

制作 : 主婦の友社 
  • 主婦の友社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784074224685

感想・レビュー・書評

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  • “大正6年、豊かで自由な空気の中で 雑誌『主婦之友』が生まれました。新しい女性層「主婦」誕生の瞬間でした。”

    大好きなムックを久しぶりに再読。
    料理記事を中心に、子育て、家電製品、インテリア、ファッションなど当時の生活記事、昔の表紙絵や付録も紹介されていて、どのページを読んでも楽しい。主婦のあゆみから見る日本の近現代史。素晴らしい読み応えです。


    《メモ》
    ●創刊の思い
    「結婚して子どもが生まれたら、知りたいこと、教わりたいことは山ほどあるはず。主婦たちの切実な要望にこたえたい」
    →良妻賢母記事が多い。
    →「主婦の体験記」もひそかな人気。良風美俗に反すると発禁処分になるほど過激な手記も!
    「よりよく生きたい」という女性の願いにこたえて新しい価値観や暮らしの知恵を紹介し、一方で俗っぽいひそひそ話をこっそり共有してくれるような構成が人気の秘密だったのかな。

    ●昔の付録にうっとり♪
    p.20 昭和7年3月号付録
    「道具いらずに出来るお菓子の作り方百種」
    和洋のお菓子100種類の作り方が、蛇腹折りの誌面にぎっしり。ワクワク!

    p.22 昭和8年新年号付録
    「おそうざいカレンダー」
    1年分の献立(!)が、日めくりカレンダー式に。

    p.102 昭和7年12月号付録
    「子ども向けカード」
    可愛い~♡
    猫の母娘のお菓子作り風景がメルヘンタッチで描かれたカード。「オサタウ ヲ イレスギヌヤウ ゴホンヲ ヨク ミマセウ」だって。
    p.108には素敵な晴れ着のお正月カードも♪

    ●子育ての考え方の変化
    p.50で紹介されている昭和33年の特集記事「子供はどこで遊んでいるか」にビックリ。昔の子供すごい。

    ●激動の戦中戦後、主婦之友も時代に染まり、戦意高揚記事を強力に発信し続けたかと思えば、終戦後は一転、アメリカ民主主義を称賛する記事に変わる。その辺りの変遷もしっかりと見せてくれる。
    物のない時代、家族になんとかして着せ、どうにかして食べさせていた主婦たちの苦心が、戦時下の特集記事からも窺える。


    《もくじ》
    はじめに 「主婦」は誕生100周年です

    Part1 主婦たちの100年
    ・主婦が誕生! 大正時代
    ・主婦の時代到来 昭和初期
    ・主婦受難の日々 戦中戦後
    ・プロ主婦登場 高度成長期
    ・主婦は多様化 昭和から平成へ

    Part2 あの人の料理と『主婦之友』
    ・親子3代『主婦之友』に登場
    堀江泰子さん 堀江ひろ子さん ほりえさわこさん
    ・西洋料理を家庭の味に 城戸崎愛さん
    ・定番料理の革命家 小林カツ代さん
    ・読者から料理研究家へ 藤井恵さん

    Part3 人気料理の100年史
    ・100年前から心ときめく カレー
    ・どう焼く?どう食べる? パン
    ・冷蔵庫の普及あればこそ サラダ
    ・西洋うどんが原点? パスタ
    ・いつのころから肉食系? カツレツ
    ・お菓子作りはステータス 洋菓子

    column あの頃の食卓② 山本直味さん
    (当時の珍レシピ紹介がめちゃくちゃ面白い!)

    Part4 子どもと楽しむ行事食
    ・晴れ着で迎える お正月
    ・永遠の女子会 ひな祭り
    ・戦後に誕生した こどもの日
    ・祝ってほしい 母の日・父の日
    ・年中行事に定着
    column あの頃の食卓③ 岸朝子さん

    あとがきにかえて
    参考文献

  • 「主婦休みの日」をご存知ですか? 1月25日・5月25日・9月25日、年3回「この日はゆっくりしてね」とする記念日で、2009年に制定されたとか。(もっと広まれ★)
     この「主婦休みの日」1月25日、たまたま話題に合ったムックを発見。しかも、とてつもない読みごたえと資料的価値が認められたため、感想を残します。
     主婦の友社・編『ニッポンの主婦 100年の食卓』です☆

    『主婦の友』と言えば、大正7年創刊し平成20年まで歴史を刻んだ、婦人向け家政誌。「主婦」なるワードは、一般には大正初期から使われ始めた比較的新しい日本語で、『主婦の友』に代表される女性向け雑誌を通じて、急速に広まっていったらしいです★
     令和の世では、「主婦」と呼ばれると違和感を覚える女性が多いかもしれません。今日、「主婦」もしくは「奥さん」は、ご主人(この言葉も違和感が…★)に隷属している意味合いに聞こえてしまうのですが……?

     日本の主婦の歴史を紐解くこのムックによると、当初、主婦の地位と力は社会にも認められるところだったよう。同雑誌が扇動していた向きもありそうですが、大正辺りの主婦は力強くいきいきして映ります★
     一家の運営をまかされ、地域活動でも実権を握り、輝いた女たち✧ 家事従事者のイメージが下がったのは、むしろ現代に近づいてからかもな疑惑も……?

     手料理にたっぷり手間ひま愛情をこめることに、主婦たち自身も誇りを感じていた気配がうかがえます。誇らしげに料理の腕を振るったのも、決して社会的弱者ではなく、確立された存在だったからかもしれません。(単純には語れないのですが。事実、女性の家事労働負担は大きすぎたわけだし……★)

     家電が普及して豊かさと華やぎを増した食卓もあれば、貧しさに耐え抜いて家族を食べさせた食卓もあった。女を中心に視た日本の生活史100年は、きわめて興味深く、得られるもの多し。

  • 主婦100年、雑誌の時代でもある。ともかく楽しい。これができちゃうところが主婦の友のすごさだなあ。

  • 近現代の家政文化学を学ぶのにとても役立つ本でした。戦時中の扇動的な記事のことも逃げずにきちんと書かれています。家電や家庭料理の歴史が日本の歴史と連動していることが視覚でよくわかるようになっています。
    記事にある、城戸崎愛さんや小林カツ代さんの有難い言葉が身に沁みます。
    あと、昭和の料理写真がやばい・・萌える。ストロボ写真の不自然さがそそります(/О\) 
    紹介されていた、山本直味さんの『温故知新で食べてみた』という本に関心を持ちました。昭和初期当時のレシピを再現。だいぶ斬新なルックス。。美味しいという価値観も時代によって変わってくるのですね。。。

  • 雑誌「主婦の友」100周年記念のムック本。
    大正~平成期の1100冊から“主婦”の、暮らしの変化を紐解く。
    Part1 主婦たちの100年・・・大正~平成期まで、100年分の紙上から
         浮かび上がる、暮らしや衣食住、子育て、考え方の変化。
    Part2 あの人の料理と『主婦の友』・・・それぞれの時代を代表する
                女性料理研究家たちの料理と想いを綴る。
    Part3 人気料理の100年史・・・定番料理のカレー、パン、サラダ、
        パスタ、カツレツ、洋菓子はどのようにの変化してきたか。
    Part4 子どもと楽しむ行事食・・・お正月、お節句、クリスマス等、
                   紙上で見る行事食の変遷と時代。
    継続は力なりだなぁと、しみじみ思う一冊。
    大正6年の創刊号から平成20年の最終刊号までの1100冊の歩み。
    創刊以来、ずっと“主婦”を対象に作られた雑誌です。
    理想の“主婦”へ、衣食住へのの憬れと夢は、
    時代を経るにつれて変化し、戦中の窮乏生活での工夫、
    電化或いは近代化につれ紙面はより身近になり、
    読者と同じ目線になることで、参加型の企画が増えていきます。
    特に料理は、かつての憬れがいかに主婦の元に届けられ、
    今はあたりまえの家庭料理となったかの変遷が見られて、
    感慨深いものでした。関係した女性料理研究家たちについても。
    時代は変わっても、“主婦”と生活、衣食住の繋がりは、
    変わりなく続くのでしょう。

  • 雑誌「主婦の友」の変遷、社会にとっての「主婦」がどう変わってきたか・・・ビジュアルたっぷりにまとめられたムック。
    周年記念発刊本はたいてい内輪の内容がほとんどだが、黒歴史も隠さず自分ツッコミも辞さない、なかなか愉快な内容である。

  • 古い写真の中に、今一つあか抜けない料理が並んでいる。
    料理も地味だけれど、盛り付けもイマイチ。
    それもそのはず、
    写真に登場する料理は、大正時代から昭和初期にかけて撮られた
    『憧れの西洋料理』なのだ。
    どの時代の料理も当時はきっと、おしゃれで手の込んだ料理だったのだろう。
    こうしてみると家庭料理の進化のスピードに
    驚かされるばかりだ。

    100年前、いやおそらくもっと前から続いていたであろう家庭の『主婦』という仕事。
    地味だし、誰も褒めてくれないし
    やってもやっても延々と続く毎日の家事を
    今より遥かに重労働であったはずの
    100年前の女性たちはどうやって、どんな気持ちで切り回してきたのだろう。
    時代や食卓にのぼる料理は変わっても
    家族を思い家族のためにとがんばる姿は
    きっと永遠に変わらない・・・いや、変わらないでいてほしいと思うのでした。

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