失われた足跡 時との戦い (ラテンアメリカの文学 (3))

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制作 : 牛島 信明  鼓 直 
  • 集英社 (1984年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784081260034

失われた足跡 時との戦い (ラテンアメリカの文学 (3))の感想・レビュー・書評

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  • カルペンティエルはこれが3冊目、初めて面白いと思えた。というよりカルペンティエルのやりたかったことが初めて理解できた。

    『失われた足跡』
    博物館館長の依頼で、ラテンアメリカのジャングルの中に原始的な楽器を探しに旅立った音楽家の旅行記の体裁をとった小説。
    旅は当初、普通の旅と同じく、空間の移動であったが、次第次第にそれが時の移動、時代の遡行へと性質が変じてくる。その過程で、主人公自体も文明の中で身に付けた知識、価値観を一つ一つ剥いでいき「裸」の状態へと帰っていく。
    しかし結局、主人公は「こちら」側の人間ではなかった。一度「遡った」河への入り口は、そこを去った後ではもう見つからない。
    主題となってる時の扱い方はもちろん、ラテンアメリカの驚異的な現実が実に自然にさりげなく表現されているのにも感嘆するし、単純に冒険譚としても面白い。また都会人、現代人の抱える病理をも描き出している。
    カルペンティエルの描き出した世界の中に、時間を遡る旅に、すっかり自分も夢中になってのめりこんだ。
    この本自体、見事な魔力を備えている。★★★★★

    『時との戦い』
    数編の短編からなる。本書では「聖ヤコブの道」「種への旅」「夜のごとくに」「選ばれた人びと」の4編を収録。
    標題が示しているように、様々な時間の扱い方をした作品が並ぶ。「聖ヤコブの道」「夜のごとくに」は円環的な時間を、「種への旅」は時間の遡行を、「選ばれた人びと」は過去と現在の共通性を、それぞれ枠組みにしている。
    この枠組みを使うことで、きわめて短い個別的な出来事を、普遍的な意味合いを持たせることに成功している。この構成の巧みさには唸らせられる。★★★★

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カルペンティエールの作品

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