集英社ギャラリー 世界の文学 (18) アメリカ3 その日をつかめ/ビール・ストリートに口あらば/酔いどれ草の仲買人

制作 : 川村 二郎  原 卓也  篠田 一士  菅野 昭正 
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (1284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784081290185

作品紹介・あらすじ

現代社会における宙吊りの人間状況に光を当て、人間性の回復を希求するユダヤ人作家・ベロー。アメリカ社会の原罪とも言うべき人種問題を通して、人間性の本質に迫る黒人作家・ボールドウィン。現代人の虚無感を直視して、前衛性に富むメタフィクションを生み出した・バース。

感想・レビュー・書評

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  • この中に収録されているジェイムズ・ボールドウィン の「ビールストリートに口あらば」を読みたくて図書館で借りた。
    これは映画「ビールストリートの恋人たち」の原作。映画はほぼ忠実に原作を再現している。
    小説もティッシュの一人称で語られていく。
    作家自身が黒人でマルコムXらとも親交のあった人物。当時は黒人差別に対する反対運動が盛んにされていたと想像するが、この作品は黒人の恋人同士とその家族の暮らしを描くが、そこに激しさや、怒りはあからさまには描かれない。

    実際に起きた事件をモデルにしているということだが、白人の警官に恨まれたことにより、無実の罪を着せられ、逮捕された青年を救おうとする、彼の恋人とその家族の姿を淡々と描く。
    彼の生き方に理解を示さないその母と姉たち、彼女たちと対立する父親。恋人であるティッシュ、娘のために彼の無実を晴らそうと奔走するティッシュの母と姉。
    彼の無実を晴らそうと努力するものの、孤立無援な白人弁護士。

    現実の世界がそうであるように、ヒーローが現れて彼の窮地を救うようなこともなく、彼をはめた白人警官が裁きを受けることもない。
    ただそこには恋人を思い、愛情と不穏の中で揺れる女性と、その家族の普通の姿があるだけ。そこに肌の色や容姿による差はない。黒人も白人の家族と同じように生きているのだということを描いている。

  • 『黄色い家』を読んでみたい

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著者プロフィール

Saul Bellow.
1915.6.10.‐2005.4.5.
ロシア系ユダヤ系移民の子として
カナダ・ケベック州に生まれ、
のち、アメリカに移住。
全米図書賞(3回)、
ピューリッツァー賞、オー・ヘンリー賞、
ノーベル文学賞を受賞。

邦訳に
『宙ぶらりんの男』(新潮文庫:太田稔訳、新潮社、
1971年、角川文庫:繁尾久訳、角川書店、1972年、
野崎孝訳、講談社、1976年)、
『犠牲者』(新潮文庫:太田稔訳、新潮社、1973年、
大橋吉之輔・後藤昭次訳、白水社、1979年)、
『オーギー・マーチの冒険』(渋谷雄三郎訳、
早川書房、1981年)、
『その日をつかめ』(新潮文庫:大浦暁生訳、新潮社、
1971年、角川文庫:繁尾久訳、角川書店、1972年、
集英社文庫:宮本陽吉訳、集英社、1978年)、
『雨の王ヘンダソン』(中公文庫:佐伯彰一訳、
中央公論社、1988年)、
『ハーツォグ 上・下』(早川文庫:宇野利泰訳、
早川書房、1981年)、
『モズビーの思い出』(徳永暢三訳、新潮社、1970年)、
『ソール・ベロー短編集』(角川文庫:繁尾久訳、
角川書店、1974年)、
『サムラー氏の惑星』(橋本福夫訳、新潮社、1974年)、
『フンボルトの贈り物』(大井浩二訳、講談社、1977年)、
『学生部長の十二ヶ月』(渋谷雄三郎訳、
早川書房、1983年)、
『盗み』(宇野利泰訳、早川書房、1990年)、
『ベラローザ・コネクション』(宇野利泰訳、
早川書房、1992年)、
『埋み火』(真野明裕訳、角川春樹事務所、1998年)
などがある。

「2018年 『ラヴェルスタイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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