尾崎左永子の古今和歌集・新古今和歌集 (わたしの古典4)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784081630042

作品紹介・あらすじ

降る雪に、きらめく露に、散りゆく桜に、人の生の光と翳を詠いあげた、王朝びとの息づかい。現代の感性がすくいとった、馥郁たる名歌の世界。

感想・レビュー・書評

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  • 尾崎左永子
    古今和歌集 新古今和歌集

    講義録みたいな本。わかりやすい

    ざっくりとしたイメージは、古今和歌集は 源氏物語の世界。新古今和歌集は 芭蕉世界につながる滅びの美学という感じ。

    450年前の万葉集から始まり、300年前の古今和歌集を経て、王朝和歌の集大成として 秀歌を集めたものが 新古今和歌集という流れ。

    特に 新古今和歌集が面白かった。写実短歌や単純な色恋歌と違い、本歌取りの二重構造、万葉集の変形、名詞止めの心地よさ など 手がこんでいて 洗練されている印象


    新古今和歌集の世界
    *王朝の美意識〜華麗で文化的な虚構の美を保存
    *政治権力を超えて心ある者にしか見えない雅、知性、感受性
    *詞に現れぬ余情、物語的世界
    *調べのよさ、流れる響き

    夕しぐれ
    夕暮れのさびしさと人の世の無常を秘めた〜薄明かりの美〜儚いものへの憧れと愛着

    露の美学
    *微妙に移り変わる季節の中で、水に関する気象条件が文学に影響する
    すべてが朧ろに見えるほど水分が多い。薄明かりの美とは朧ろの美
    *露=秋=木の葉が散り、草の枯れる時期→命の儚さ、移りゆくもの、盛者必衰の観念、滅びの美学に結びつく


    著者の言葉は心強かった「古典は〜しっかりとした骨格とゆたかな肉付けを持っている〜読者の力に応じて受け入れてくれる〜自由に気楽に近づくのがよい」

    角川ソフィアの入門書読む予定。

    古今和歌集の世界
    *翳、余情、弱さ、心の傷み
    *通ってくる男を待つ女

    在原業平 と 小野小町 の歌は 源氏物語の世界そのまま
    *出自がいいのに政治的敗北者。美男子の在原業平
    *ミステリアスな美女。夢の中でも男を待つ小野小町

    良かったのは 凡河内躬恒「春の夜の闇はあやなし梅の花 色こそ見えぬ香やはかくるる」
    *春の夜の闇はわけがわからない、梅の花を隠しても香りまで隠せはしないのに
    *闇の擬人化し、お前のすることはわからん→どうせなら花も見せてくれればいいのに

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著者プロフィール

一九二七年東京生まれ。歌人。作家。歌集『さるびあ街』(松田さえこ名義)で第四回日本歌人クラブ賞受賞、『源氏の恋文』(求龍堂)で第三二回日本エッセイストクラブ賞受賞、第六歌集『夕霧峠』(砂子屋書房)で迢空賞受賞、『新訳:源氏物語1~4』(小学館)等の活動により神奈川県文化賞受賞。その他、著作多数。近刊に『自伝的短歌論』(砂子屋書房)がある。また「合唱組曲・蔵王」他、多くの作詞を手がける。

「2019年 『神山三輪山歌集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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