ジュニア版ファーブル昆虫記 3 セミの歌のひみつ

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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784082310035

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  • (2014.08.24読了)(1999.05.04購入)
    副題「セミの歌のひみつ」
    副題は、「セミの歌のひみつ」となっていますので、まずセミについて書いてあります。
    その他、アリマキ、チョウとガについて書いてあります。
    セミは、生涯の大部分を土の中ですごしますので、その様子を調べるのは容易なことではありません。ファーブルは、いろんな工夫をするとともに、農民の協力をえながら実態に迫ろうとしています。
    アリマキについては、いろんな天敵を調べて書いています。たくさん生まれるけれど、多くは、天敵の餌になって死んでゆくということです。
    蝶々については、どうやって食べ物を見分けているのかを調べています。
    蛾については、オスは、どうやってメスの居場所にたどりつくのかを調べています。
    目で見て、見つけているわけでも、メスの発する音でもなさそうです。どうやらメスから発せられている臭いのようなのですが、臭いの物質を特定することまでは、至らなかったようです。現代では、フェロモンと名付けられています。
    マツノギョウレツケムシは、マツノギョウレツガになるようなのですが、その毛虫のときの生態を調べています。
    移動するときは、糸を出しながら移動し、巣にもどるときは、その糸をたどりながら戻るということなのですが、ファーブルは、その糸を円環状態にするとどうなるかを調べています。ファーブルのすごいところは、虫が死んでしまうか、自分たちで何とか解決策を見つけて、窮地を抜け出すまで、何日でも手出しをしないで、見守り続けるところです。

    【目次】
    はじめに
    1 セミの歌のひみつ
    2 アリマキと天敵たち
    3 オオモンシロチョウとキャベツ
    4 オオクジャクヤママユの超能力
    5 日光の中のヒメクジャクヤママユ
    6 カレハガの昼間の結婚
    7 マツノギョウレツケムシの行進
    昆虫って何だろう3
    年表(ファーブルの生涯)

    ●セミの幼虫(49頁)
    色のうすい、地中の幼虫は、外に出てきた幼虫よりも体が大きい。まるで水ぶくれのようにぶくぶくふくれている。つまんでみると、体からピュッと水が出る。
    セミの幼虫は土を掘りながら、土におしっこをしみこませ、乾いた土の粉を、粘り気のあるセメントのような泥に変えていたのです。そうして、お腹を左官屋のコテのように使い、ぐいぐい塗り付けて壁を固めるわけです。
    ●幼虫の水飲み場(52頁)
    セミの幼虫のトンネルをとても注意深く掘ってみると、底のほうに何か固いものがありました。木の根です。もちろん、生きた木の根で、切ると汁が出ます。
    この生きた木の根が、幼虫の水飲み場だ
    ●前幼虫(92頁)
    セミの幼虫は、脱出用の袋の中に入っているのです。これを前幼虫と呼んでいます。
    前幼虫は、外に出るとすぐに脱出用の皮を脱ぎ捨て、一齢幼虫になります。その一齢幼虫には、触覚や、長い肢や、土を掘るためのツルハシのような前肢がちゃんとあります。
    ●鱗翅類(123頁)
    学問的には、チョウとガを合わせて鱗翅類、つまり「翅に鱗のある昆虫の仲間」といっています。翅の美しい粉を顕微鏡で見ると、魚のうろこのように並んでいるからです。
    そうして、その鱗翅類の大半がガで、ごく一部のグループをチョウと呼んでいるのです。
    日本語ではチョウとガといい、英語ではバタフライとモスといって区別していますが、フランス語ではチョウもガも、パピヨンとい言っています。
    ●幼虫の食べ物(135頁)
    オオモンシロチョウは、目で見て、触覚で触っただけで、簡単に幼虫の食べ物(アブラナ科植物)だと見抜いてしまうのです。植物はそれぞれひどく違っていて、人間なら長い間植物学を勉強した人が、「この花は何の仲間だろう?」と迷ってしまうようなときでも、チョウならいっぺんに見分けるのです。
    ●ビュリダンのロバ(269頁)
    昔の哲学者のたとえ話に、「ビュリダンのロバ」という話があります。このロバは、二つの飼葉桶の、ちょうど真ん中のところに連れて行かれると、右に行きたい気持ちも、左に行きたい気持ちも同じくらい強いので、結局、どちらにもいくことができず、お腹がすいて死んでしまったというのです。

    ☆関連図書(既読)
    「ファーブル昆虫記 1」ファーブル著・奥本大三郎訳、集英社、1991.03.20
    「ファーブル昆虫記 2」ファーブル著・奥本大三郎訳、集英社、1991.05.15
    「ファーブル『昆虫記』」奥本大三郎著、NHK出版、2014.07.01
    (2014年8月24日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    幼虫時代にキャベツを食べるモンシロチョウの仲間は世界中どこででも見られる。キャベツはもともと地中海の沿岸地方にはえていた野生の植物だった。それを人間がおいしい野菜に改良し、全世界に広めたために、これらのチョウも、それについて分布を広げたのである。しかし、数の多い、じょうぶなそのチョウにも、驚くほど多くの天敵がいる。ひとつの生物だけが繁栄しすぎることは自然が許さない。

  • 2013.4.15
    むかし理科の授業で青虫を飼って観察日記をつけた。数日後に今までいた青虫がいなくなり、代わりに汚い小さな虫がいた。嫌になってすべて捨てたけど、寄生バチの類だったのかもしれない。小さい頃に読んでいたら良かったな。

  • 昆虫だけのお話かと思いきや、人間社会への教訓的なようなものもあり、楽しく読めた。

  • 「うたうのはメスを呼ぶためだと決めれない。
    この生きものたちはむしろ、この世界に生まれた嬉しさと、自分がこうして生きていることの楽しさを表すために、うたっている気がするのだ」
    というファーブル先生の考え方が印象的でした。

  • おぼえてない

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著者プロフィール

奥本 大三郎(おくもと だいさぶろう)
フランス文学者、随筆家。昭和19年(1944)大阪生。
東京大学文学部仏文学科卒、同大学院修了。
埼玉大学教授、大阪芸術大学教授などを歴任、埼玉大学名誉教授。
1991年より2010年まで日本昆虫協会会長。
現在NPO日本アンリ・ファーブル会理事長、ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」館長。
著書に『虫の宇宙誌』(読売文学賞)、『楽しき熱帯』(サントリー学芸賞)、
訳書に『完訳版 ファーブル昆虫記』(全10巻)など多数。

「2022年 『スリナム産昆虫変態図譜1726年版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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