下鴨アンティーク アリスと紫式部 (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社
3.64
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感想 : 149
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086800044

作品紹介・あらすじ

京都、下鴨。高校生の鹿乃は、両親を亡くし、今は兄と下宿人の慧と三人で、古びた洋館に住んでいる。ある日、鹿乃は「開けてはいけない」と言われていた蔵を開けてしまう。次々に不思議なことが起き…!?

感想・レビュー・書評

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  • 舞台は京都・下鴨。
    高校生の鹿乃が、お蔵の中の祖母の着物を虫干ししたことから巻き起こる不思議なできごと。

    着物・古典・猫ちゃん…好きなものばかりです。
    特に鹿乃がテーマを決めてコーディネートする着物が素敵。
    大好きな『鏡の国のアリス』をモチーフにしたり、
    お能の舞台を観に行くために、市松柄の小紋とかわいらしい猫の帯をお獅子に見立てたり。
    どんなんだろう…と想像するだけでウットリ。
    そして、そのあつらえにすぐ気づいてくれる慧もいい。

    #アリスと紫式部
    源氏物語の葵の上・六条の御息所・源典侍
    車寄せの「あべこべ」。わぁ、なんて粋な思いつき!

    #牡丹と薔薇のソネット
    住む世界が違うからと、あきらめなくてはならなかった恋。
    ”恨み”であってもいいから思い続けていてほしいなんて、せつなすぎる…。

    #星月夜
    これが一番好きです。
    夫が好きで、好きで、どんな顔をしてそばにいればいいのかわからなかったおばあちゃんの恋物語。
    意地っ張りなおふじさんが、とてもかわいらしい。
    好きな人のそばにいるだけで、見慣れた景色も光り輝くもの。
    そうでした。しばらく忘れてましたね。
    そして表紙のシロ猫ちゃん、やっと登場。
    リリィ・白玉のタマ・白楽天…好き勝手に呼ばれてます。

    続編があるようなので、ぜひとも読みたいです。
    白露ちゃんが、また蔵から抜け出てくれることを期待して。

  • 古い着物を大事に着てる、おばあちゃん子のヒロインには好感しかない。古い洋館で暮らす麗人たちが、オカルトチックな謎を解決するお話し。
    ほのかな恋心も読んでて楽しい。

  • 長編で疲れた私を毎夜癒してくれたアンティーク着物ファンタジー。
    舞台は京都、下鴨。登場人物イケメン多し♪ 古典文学、恋愛、美味しい食べ物…女心をくすぐります。

    蔵の中の着物から憎悪や無念、溢れんばかりの恋心が飛び出して次々と不思議な現象を起こしていく。鹿乃は着物の持ち主を調べ、着物の思いを優しく鎮めていく。執着する人の思い、怖くもあり、羨ましくもある。

    3話目『星月夜』が好き。意地っ張りのおばあちゃんの恋物語。「今宵はじめて見そめたる心ちす…」好きな人と一緒に見る景色はきっといつもと違う。

    京ことばっていいな。豆大福を食べたいな。野々宮家のご飯にもよばれたいな。

    ミステリや事件を求める人には物足りないかもしれないけど、可愛い話、ほのかな恋心が好きな人にはオススメ!

    • 杜のうさこさん
      けいたんさん、こんばんは~♪

      私と知り合って、ブクログが楽しいなんて言ってくれて、嬉しいです(*^-^*)
      もちろん私もそうですよ!...
      けいたんさん、こんばんは~♪

      私と知り合って、ブクログが楽しいなんて言ってくれて、嬉しいです(*^-^*)
      もちろん私もそうですよ!!!

      この本、私のお気に入りがいっぱいじゃないですか!
      京都、イケメン(笑)、古典文学、美味しい食べ物~♪
      (恋愛がない…笑)
      これは絶対読まなくちゃ!
      2015/10/15
    • あいさん
      杜のうさこさん♪

      いつもありがとう(*^^*)
      本当に嬉しいです!

      この本は一応恋愛と書きましたが、ほとんど恋愛はありません(...
      杜のうさこさん♪

      いつもありがとう(*^^*)
      本当に嬉しいです!

      この本は一応恋愛と書きましたが、ほとんど恋愛はありません(誇大広告、笑)
      ほのかな恋心です。
      恋愛は苦手なのでこれくらいがちょうどいいです(*≧艸≦)

      ダークな私はもう少し事件が起こってもいいかなと思ったけど、紹介した皆さん凄く気に入ってくれてよかったと思いました。

      杜のうさこさんはどうかなぁ〜
      気楽に読める本なのでいつか時間がある時にぜひ!
      2015/10/16
  • 祖母の残したアンティーク着物にまつわる不思議な出来事、その謎を解くことで着物を浄化してあげるミステリー。
    女子高生鹿乃が着るアンティーク着物のコーディネートが可愛いです。着物姿で過ごす休日、そしてイケメンのぐうたらお兄ちゃんと密かに想いを寄せる下宿人であるイケメンの大学準教授の慧ちゃん。このキラキラした状況は久しぶりの感覚です(*^^*)
    舞台は京都、下鴨を中心に巡ります。京都って華やかで賑やかなイメージもあるけれど、一本道を違えれば不思議なことが起こってもおかしくないそんな雰囲気にさせられる場所のように思えるのです。そんな京都が好きですね。慧ちゃんの勤務する大学は作者である白川紺子さんの出身である同志社大学今出川キャンパスがモデルでしょうか。あのキャンパスの雰囲気大好きなんです♪
    今回謎は3つありましたが、最後の『星月夜』が一番キュンときてファンタジックな展開で良かったです。
    謎はアンティーク着物をめぐるものだから、過去の出来事が絡んできます。だからなのか謎自体が奥ゆかしい、密やかなものでした。そこにこれから現代を生きる鹿乃の恋の行方なんかも絡んでくるのでしょうか。楽しみです。

  • 京都・下鴨──。旧華族である野々宮家の高校生・鹿乃は、古びた洋館に住み
    休日には、祖母のおさがりの着物を着て過ごすほどのアンテークな着物が大好き。
    同居している兄・良鷹と下宿人の慧、そして鹿乃との三人が
    アンティークな着物を巡って織りなすミステリー。

    着物好きにはたまらないですね♪
    ましてやアンティーク...ヴィンテージ...ノスタルジー...セピア...古風...。
    そんな空気が漂うこれまた大好きな世界観の中に、古典文学が絡むという
    摩訶不思議なゆる~いホラーストーリーがファンタジックで味わい良くて♪

    京都弁に猫。
    それにお祖母ちゃんなところもいいです。
    カバーデザインとイラストも...

    すべてに心くすぐられます。

  • 京都の下鴨を舞台に、アンティーク着物をめぐる謎を解くファンタジックな物語。
    かわいらしくて、好みに合う要素がいっぱい!

    野々宮鹿乃は、高校3年生。
    旧華族の家柄で、祖母の遺した家に、兄とその友人と住んでいます。
    兄の良鷹は古物商だが、家でぐうたらしていることが多く、無駄に?顔と頭だけはいいという。
    兄の親友・八島慧は近くの私立大学の准教授で、離れに下宿しています。
    兄同様に友達は少ないらしいけど、頭がよく物静かで、鹿乃のよき理解者。
    鹿乃のことはまだ子ども扱いしているけど‥?

    土蔵にある着物を虫干しすると、思わぬ出来事が‥!
    「アリスと紫式部」だなんて、そそる章タイトルですこと。
    六条の御息所は、興味を惹かれる人物ですよね。
    「牡丹と薔薇のソネット」
    あきらめたはずの恋、でも思いはそこに‥?
    「星月夜」
    意地っ張りな祖母のほほえましい恋心。
    ひそやかに登場した白猫ちゃんの存在が、心地いい。

    高校生にしては珍しく?着物好きな鹿乃は、家では週末などに着物を着て、それもテーマを決めた見立てを楽しんでいます。
    着物は好きなのでかなり、ありありと目に浮かび、とっても楽しい。
    イラストや装丁も合っていて、うっとりと味わえる綺麗なお菓子のような世界です☆

  • 表紙に惹かれて買ったまま積読になっていた本。
    毎回 私の心に刺さる表紙で刊行されているのは知っていましたが、積読のままでした。それが完結したと知り、さすがに買ってある1巻を読むことにしました。

    おもしろかったです。一気に読めました。
    「着物の柄をめぐるアンティークミステリー」という
    フレーズの通りです。祖母の遺した着物とその着物をめぐる想いの謎を解いていく連続短編集です。

    参考文献を見た感じだと、きちんと時代背景も汲んでいるようで勉強にもなります。
    ただ、私には着物に関する知識がなく、模様や種類の名前が難しいと感じてしまったので、評価の☆は4つにしています。

    アンティークな柄って可愛いですよね。
    着物 着てみたいなって思いました。
    あと慧ちゃん好きです。

  • 集英社オレンジ文庫ですよ!!
    しかも、新刊ですよ!!

    も~~~~!! 本がキレイ!! 何度ニオイをかいじゃったか!! ヤメなさいよ・・・

    でも、新しい教科書の匂いがするの~!! フンガー!


    さて、この本はかなり前に本屋パトロールをして「読みたい本リスト」に、いれていたのだけど、当時この集英社オレンジ文庫という文庫そのものが新しかったのか、図書館には全然蔵書がありませんでした・・・。

    でも最近は椹野道流氏の「時をかける眼鏡」シリーズも蔵書に増えていたし、チョイチョイ増やしていってくれていたようやけど、図書館のサイトの「新刊リスト」を、見ていて(この本を)見つけました!

    ちょっともうあきらめていたちゅうか忘れていただけに、めちゃくちゃうれしい!!
    ソッコーでリクエストしたら、すぐきました。すぐ!!



    ちゅうわけで、かなり前のめりで読み始めたところ、・・・大好きなお祖母ちゃんの形見である着物を虫干ししていたら、

    着物の柄がひとりでに変わっている

    と、いう・・・。


    また、別の章では桐箪笥になおしてある

    長襦袢から女性のすすり泣く声が聞こえる

    という・・・。


    なんだこの本、何ジャンルやねん!? と、なった。


    結局、読んでいる最中にスルスル引き込まれてめっちゃくちゃ面白かったんやけど、「アンティーク着物をめぐるミステリー」ちゅう触れ込みやったので、こっち方面のミステリやとはまったく想像しておりませんでした。
    あー、びっくりした(笑)。


    旧華族である鹿乃ちゃんと、そのお兄ちゃんが二人暮らしの洋館に、お兄ちゃんの友だちが下宿をしているという設定。
    お兄ちゃんもその友だちも当然イケメンやし、お兄ちゃんは古物商、友だちは大学の准教授ちゅう設定。

    鹿乃ちゃんは女子高育ちで
    「ごきげんよう」
    とかいうちゃうような世界の子で、なんやろうもう

    80年代前半の少女漫画の設定がすべてつまっている

    ちゅう具合。さすが、コバルトの流れ!! 笑

    この少女漫画設定だけでも、正直楽しい。非現実すぎて、楽しいー!
    最近こういうの好きやなー、私。なんか、振り切れたんか(笑)。

    しかも、予想通り鹿乃ちゃんとお兄ちゃんの友だちは、キュンとする間柄っちゅうね・・・(まだ当人たちの気持ちも自覚していないけれども、どう見ても両想い)。両想いてなつかしいフレーズきたなこれ。いやエエねん80年代の少女漫画やから、両想いで。両想い。


    続編も数冊出てるみたい。
    図書館に蔵書がないのでもちろんまたリクエストをかけるけど、果たして買うてもらえるかどうか・・・。

    でも、アンティーク着物だけでそんなにようけの話が作れるのかしら。
    また、お兄ちゃん(=良鷹)のお商売の話とか、良鷹とその友だち(=慧)の関係とか、出会いとか、そのあたりもじわじわ書いていってもらわれへんかな!

    チラッとしか見せてもらえてないキャラにもすっごい興味があります!

    わりと鹿乃ちゃんはまっすぐないい子のよう。
    そういえば「三条のホームズ」の葵ちゃんと清貴も女子高生と大学院生ちゅう年の差カップル(・・・古っ)やねんけど、あちらのふたりとはちょっと違う。

    男子がややこしいという点では同じやけど、ちょっと違うね!
    でも、カテゴリ的には同じ

    ほんで、同じものを見ても違うとらえ方をするなら、二倍のとらえ方ができてお得じゃない? と、鹿乃ちゃんが慧にいうていた。
    慧はそんな鹿乃ちゃんに苦笑しちゃうんやけど、こういう柔らかい発想はいいなあと思う。

    価値観が同じであることは大切やけど、だからってすべてが一緒である必要もないよね。
    大切なのは、違う価値観であってもそれを認めることかな。
    ま、それが難しいんやけどね・・・。


    あと、私は源氏物語の六条御息所は、被害者やと思って読んでおりました・・・。(;^ω^)
    この方、気の毒やんね、あんなややこしい男に惚れてしまったばっかりに・・・(そこまでいう)。

    富貴子さんと健次郎さんの話もよかった。
    日記なんて、なんかもうキュンキュンしながら読んだよ(笑)。こんな時代からツンデレはあったのね(笑)。

    ほんまこの本、アンティーク着物ミステリというよりは少女漫画ミステリやな!


    装丁もすごい可愛い。
    扉絵なんかも凝っていて、「大人のぬりえか!」と、思った。
    こういう凝った装丁も
    「少女漫画~!!」
    ちゅう具合で、なんかもうキュンでおなか一杯ス! (*´ω`)

    女子になれた感じ。なんやそれ


    あー、続編読みたい!!!

    (2016.04.29)

  • 読みやすくて、面白かった。特に難解の本を読んだ後だったので、余計にそう思ったのかも。恋愛が絡んできて、続編も気になります。

  • 蔵にしまわれたいわくつきの着物の謎を解くミステリー風味のファンタジー。『後宮の烏』からたどり着いた作者だが、文章が柔らかいせいか非常に読みやすい。息抜きにちょうどいいライトな内容ながら、アンティーク着物と文学を絡めるという組み合わせも好みだ。年の離れたお兄ちゃんサンドという設定もおいしい。

  • <集英社オレンジ文庫>という事で、若い子向けのラノベなのですが、“アンティーク着物をめぐるミステリー”との呼び声(?)と、京都が舞台という事もあり、いい年こいて手を出してしまいました。
    瀟洒な洋館に暮らす主人公の少女・鹿乃と、イケメンの兄・良鷹、そしてこれまたイケメンの下宿人・慧とのわちゃわちゃしたやり取りは、いかにも少女漫画チックで、つい遠い目になってしまいます。
    蔵にしまわれている、曰く付きの着物に絡む不思議な出来事の話なのですが、紫式部やシェイクスピア等の古典がちょいちょい絡んでくるのが良いですね。
    まあ、“ミステリー”というより“ファンタジー”な感じです。
    個人的に、第三話「星月夜」が好きですね。右京太夫の和歌が素敵で、美しい星空が目に浮かぶようでした。

  • ツイッターなど至る所で目にかかり、私も購入。
    装丁も可愛いくてとても好み。

    着物が大好きな鹿乃がさまざまな着物に関する不思議事件を解決していくお話。
    着物のことが詳しく書かれていて、合わせ方など真似して見たいと思った。
    着物はたくさんは持ってないですが…

    シェイクスピアのソネット集のところはなんとなく素敵だなあと思った。
    着物から古典や洋書など幅広い関連性があってなかなか読み応えある。
    次巻も早速購入。

  • 夜は短し歩けよ乙女の映画を観て、京都繋がりで手に取った本。
    映画との繋がりは下鴨くらいしかないけど。(笑)

    古物商の兄と、兄の友人で同志社大学准教授の慧と3人で暮らす鹿乃。
    とあるきっかけで、亡くなった祖母が管理していた蔵から現れる不思議な着物の謎の解明に挑む。

    旧華族ということで、立派な屋敷に蔵、下宿用の部屋もあり、沢山のアンティーク着物。
    これぞ京都!っていうイメージ通りの優雅な空気が流れていて、バリバリ京都弁の鹿乃。
    全員そうだと読みづらいけど、慧が標準語なので、適度なアクセントに感じる。

    日常の謎というには、着物や旧華族と言った身分制度の話がバリバリ出てきてあまり身近じゃないし、ミステリーといっても着物がすすり泣いたりするしな~と思ってとりあえずファンタジー扱い。
    そして、読み進めて思ったのが、携帯がない時代の話だなということ。家電で異性の家に電話する描写が、あぁ、昔の高校生はそうやって距離を縮めるのかぁと、朝ドラを見た気になった。
    3話目の祖母の日記を読んでこっちもドキドキする。というか日記の描写にすんごくキュンとした。
    このほのかなキュンの入れ処がさすがオレンジ様。

    着物の柄や文学の一説を謎解きの素地にしてるので、読むたびにへぇーと思いながら、教養をつけたいなぁと思う。源氏物語の解釈の話は面白かった。

    そして慧の過去や鹿乃の両親について何も触れられてないので、続きが気になる。ふたりの進まないじれじれ恋愛模様も今後のお楽しみって所かな。
    1回目 2017.4.9読了。

  • 舞台は京都の旧華族、野々宮家。高校生の鹿乃が屋敷の蔵に仕舞われた着物を虫干しする所から物語は始まる。
    兄の良鷹、下宿人の慧と協力し、着物を取り巻くファンタジックな謎に挑むが――。

    短編3部作。
    なぜか謎解きと謳われているが、謎解き要素は一切ない。これはファンタジーでは?
    さらさらとして重みがない分、爽やかさと心地よさを感じさせてくれる。
    読者をうっとりさせる要素が盛りだくさんで、読後、まるで自分が女性としてレベルアップしたかのような気分になる。もちろん気のせいですが。
    これはエステ小説かもしれない。読んでよかった、と手放しで満足できる良作。

  • 装丁が綺麗で、京都と着物の絵柄、猫、文学が合わさった和の世界観を感じさせるものである。全体的に読みやすく、京都を舞台に、旧華族の暮らし、着物から紐解く謎解きなどもきちんと出ていて良かった。着物の模様などから浮かび上がってくる謎解きもそうだが、随所に和のテイストが盛り込まれていて、それらが文学と融合されているのが良かった。普段着物を着ることがないので着て生活する光景が素敵だと思い、憧れるものである。それぞれの話に出てくる鹿乃と慶は時折焦れったさを感じ、もどかしいと関係だが、進歩してうまくいくといいと思う。

  • 妹より譲り受け本。
    初めて読む作家さんです。

    京都が舞台
    高校生の鹿乃、年の離れたお兄さん(古美術商)、兄が連れてきた慧(大学准教授)。

    亡くなったお婆さんの残した着物(、時に文学書も)をめぐるミステリーです。

    こういうタイプの小説は自分では選ばないので、新鮮でした。

    キャラ設定もしっかり済み、続刊出ますかねー
    出たらきっと買うな、妹が。

  • 初めましての作家さん。
    舞台は京都。メインキャラは高校生の鹿乃。
    年の離れた兄。ぐーたらだけど美形で骨董商。
    兄が10年ほど前に連れてきた美形の友人の慧。
    3人が住まう野々宮家は旧華族。母屋は古い洋館で、
    大正時代にイギリス人建築士の設計で建てられた。
    ある日、祖母が蔵にしまっていた着物を出したことで
    不思議な現象が起きる。
    着物の柄をめぐる3つのアンティークミステリー。
    軽くて読みやすくて楽しかったです。

    「星月夜」が一番好き。
    お祖母ちゃんとお祖父ちゃんの若かりし頃のエピソード。
    ウルっとするくらいキュンキュンしました。
    着物の柄に想いをのせるってのが粋ですねぇ~
    センスの良さが窺えます。
    それをちゃんと理解できてるお祖父ちゃんもステキ

  • 白川紺子さんは大好きな少女小説作家さんで、思わずいつも作者買いしてしまう作家さんの一人です。
    とにかくその、丁寧で読みやすい柔らかな筆致と、乙女な世界観に、いつも魅了されてしまいます。
    一般書というか、コバルト以外からの本は初めてだと思うので、作風とかどうなるのかなと思いましたが、心配することもなく、いつもの紺子さんのテイストでした。なんという安定感……!

    京都の下鴨。
    旧華族の家柄の娘である野々宮鹿乃は、両親を早くに亡くし、骨董商である兄の良鷹と、下宿人の若き大学准教授、八島慧と暮らしている高校生だ。
    祖母に育てられた鹿乃だが、その祖母の着物をしまっている蔵を整理していていたら、着物に不思議なことが起きて……??

    というあらすじから始まる連作の短編集です。
    読んですぐに、「あ、これ私の大好きな紺子さんの「リリー骨董店に似てる! というかその日本版」と思いました。

    主人公の鹿乃ちゃんの京言葉がたまらなく可愛く見え、挿絵はないけれど、着物姿も可愛いのだろうなと思わせる子で、好感度高いです。脇を固めるふたりの男性、兄の良鷹といい、同居人の慧ちゃんといい、いい味出しています。特に紺子さんは、兄キャラを書かせたら光るな! と今回確信しました。良鷹お兄ちゃん、いい味を出しています。

    題名の、アリスと紫式部って組み合わせってちょっと意外だなと思ったのですが、この本には、アンティーク着物の他に、和洋様々な文学作品がモチーフとして出てきて、これ、本を読む女の子なら、たまらないお話だろうなあって思いました。紺子さんの乙女な世界観、大好きです。
    ほのかに少女小説テイストなところもあり、鹿乃と慧ちゃんの微妙な距離感とか、鹿乃のおばあちゃんとおじいちゃんのエピソードとか、たまらなかったです。気の強い女の人にはまってしまいそうです。
    個人的には、もっとこのキャラたちのお話を読みたいって思います。
    続編を希望するような、そんな素敵なお話でした。
    おすすめです。

  • 何となくタイトルで読んでみたけど、案外面白い話だった。
    短い話がいくつかあって、読みやすかった。
    私も着物が好きだから、着物に関する謎解きが楽しくて、さらりと読み終えることが出来た。

  • 2023.2.2 読了。
    亡くなった祖母の影響でアンティーク着物を愛する鹿乃は両親を早く亡くし、兄の良鷹と共に祖母の家で兄の友人の慧を下宿人に迎え暮らしていた。祖母に「開けてはいけない」と言われていた蔵を開けたことで次々と不思議なことが起こるアンティーク着物をめぐるミステリー小説。

    設定がとても自分好みだったし主要な登場人物が皆美形でありアンティーク着物や住んでいる洋館などの描写も美しく想像しながら読んでいくのが楽しかった。知らない文学も出てきたがふりがなも適度にふってあるし説明も端的にされているので読みやすかった。ドロドロ系やイヤミスではなく摩訶不思議という世界観。
    続編では鹿乃と慧の関係がどうなっていくのか、慧が育ってきた環境なども気になる!

  • 契約結婚シリーズで作者さんを知り、こちらは京都を舞台に、古文や着物、アンティークに関連した事件を解決しつつのファンタジーだと知り、興味が湧いて購入。
    表紙がとても好みで、素敵!

    京都が舞台だけあって、言葉つかいや景色、習慣に、京都らしさを感じる。
    ただ、作者さんの作品では、さきに契約結婚シリーズを読んでいたので、こちらは少々あっさりめというか、ちょっと物足りなさのようなものを感じた。

    着物を使った事件や、それらに関連する歌の謎などは面白いと思ったが、なんとなく主流、先が読めてしまうかな。

  •  現代の京都、下鴨を舞台に、旧華族の娘が古い着物に纏わる不思議な現象の謎を解いてゆく、アンティークミステリシリーズ第1弾。
     謎解きと言っても、厳密な推理物ではなく、着物を題材としたファンタジーといった部類のライトノベル。
     歳月を経た古きモノには、神や魂が宿るという付喪神信仰を下地に、ほのぼのテイストで手軽に読める作品。
     ヒロインと年上の幼馴染とのほのかなロマンスが横軸となって、彩りを添えている。

  • 少女マンガのような雰囲気でさくさく読めるので、軽めの読書をしたい人向けかな。

    京都に住んでいたことがあるので地名を見ると、「あー、あの辺りかな。」と想像できて楽しかった。

  • もともと京都が好きで手にとってみた本で、それを完結まで一気に読了。
    登場人物達を丁寧に描かれているのが印象的でした。
    鹿乃と慧の微笑ましい恋を見守りながら、美しい着物と人の優しさに触れることができる本ではないでしょうか。
    それに比べて、良鷹の関わる事件は不気味さが増すというか凄惨というか…。鹿乃が関わった事件とのギャップには驚かされました。
    個人的には「真夜中のカンパニュラ」と「羊は二度駆ける」が好みです。

  • 主人公の野々宮鹿乃は着物が好きな高校三年生
    兄は古美術商で良鷹
    兄の友人の大学で准教授をしている慧(下宿人)と3人で暮らしている

    旧家の家柄で蔵に昨年亡くなった祖母の着物があるということで探すことになる
    が、他にも人からもらった着物があり、その着物が泣き出しり、柄がかわったり、奇妙なことが起こりそれを解決するはなし

  • とても読みやすい話でした。
    休み毎にお着物で過ごす高校生、とても粋だし素敵だなと思うけれど、実生活ではなかなか現実的には感じられない。浴衣ならわかるんだけどね。
    シリーズ改めて読みます、で星4つ

  •  緩やかに流れる日常とはんなりとした京都弁が素敵。アンティーク着物をはじめ、乙女ゴコロをくすぐる設定やら登場人物やらで気軽に楽しめます。
     シェイクスピアのソネットを使って想いを伝える、なんて現代では気障ったらしい以外の何物でもありませんが、家柄が大切だった時代では実らなかった恋ということも含めてロマンチックね。
     お祖母ちゃんの日記は年甲斐も無くドキドキしました(*´∀`*)ツンデレ…最高。
     主人公のお兄さんは古物商ということで、それこそ思いの宿った品物を扱った話がスピンオフで読めると楽しい。

  • 子供の同級生のお母さんが好きなようで…一度、どんなもんか…と買ってみました。アリスに紫式部…の取り合わせも私には魅惑的でした。

    読んでいくと…そこは異世界!京言葉に京都の旧家!着物を着る高校生の少女!現実世界との余りの距離感を感じるが…。でも好きな世界です。なるほどねー…て感じ。

    さてはて、本書は分類的にはライトノベル…みたいですが、内容は源氏物語やシェークスピア等、古典のエピソードを描いている。←ま、そこらへんがオトナ女子が読むのにも自己満足、自己陶酔できるわけですが…。3話の星月夜は和歌がモチーフになっている。右京大夫を検索したら、平安時代!平清盛の時代!平家物語の時代…1話の源氏物語モチーフと何だが「対」な感じもするなーと。そして、星月夜の白猫は、丁度1念前のドラマ、スミカスミレを彷彿とさせる!あのドラマのキュンキュンした感じに通じる乙女感♡。まあ、ここらへんがラノベーな感じかな。

  • シリーズで出てたので気になって借りてみた一冊。
    私、実は着物を普段着に着てみたいという憧れがあり、この主人公の可愛い着物を見てみたくて仕方なくなりました!

    時代は繰り返すじゃないけど、着物いいと思うなぁ。柄や帯にストーリーがある。というのもとてもいい!!

    内容もさることながらそういう着物視点で楽しめた一冊。

    着物にまつわる幽霊退治?みたいなのがストーリーの核となっており、どうしたら成仏するのかー?みたいなそんな可愛いらしい幽霊退治?のやうな作品でした!

    読みやすく可愛い!!表紙もオシャレで、なんだかとっても女心を刺激する一冊です!

  • 着物を着たくなった。美味しいものもたくさん出てくるし、文学も骨董も……なんて盛りだくさんなんだ!全く予想外に面白かった。描写も良かった。

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著者プロフィール

三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌「Cobalt」短編新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞受賞。主な著書に『下鴨アンティーク』『契約結婚始めました』「後宮の烏」シリーズ(集英社オレンジ文庫)『三日月邸花図鑑』『九重家献立暦』(講談社タイガ)などがある。

「2023年 『海神の娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

白川紺子の作品

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