下鴨アンティーク 祖母の恋文 (集英社オレンジ文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086800518

作品紹介・あらすじ

高校生の鹿乃は、蔵にある“いわくつき"の着物や帯の管理を亡き祖母から引き継いだ。ある日、祖母が懇意にしていた骨董店の店主から、祖母が祖父に宛てて書いた「恋文」の存在を知らされて!? 第3弾。

感想・レビュー・書評

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  • おお。暗い。ラストの話が結構深刻で引きずってる。途中にも春野の毒牙?にかかりそうな鹿乃の話もあって、ドキドキ。。。
    京都のじとつく夏が全部おかしくさせるのだと思う。そういや京都にはバラ愛好家多い気がするなぁ。

  • シリーズ3冊め。いよいよ筆が乗ってきた感じです。作中の季節は夏あたり、のよう。鹿乃ちゃんの着こなしも涼やかなものが多いです。本当はもっと堅い本やSFを読みたかったのに、これを選んだのは、少し疲れていたせい。綺麗で優しい世界で、童話が読みたかったのかもしれません。そう、この本に収められているお話の少女のように。

    鹿乃の過去や、青年たちのなかにざわめく、鹿乃をめぐってのほのかな恋も楽しいし美しいですが、メアリ・ポピンズや蜜柑のシャーベットの方が恋しいって何事でしょう。寂しいから、なのかな。風鈴草のおはなし。一番好きでした。あまり参考にならなくてごめんなさい。

  • 蔵に眠るいわくつきの着物の管理を、亡き祖母から引き継いだ高校生の鹿乃が
    季節に合わせた着物を蔵から取り出して、新鮮な風に当ててあげましょう
    というお話も三作目。どうやらその季節は夏のようでした。

    鹿乃が蔵から取り出した着物は、これまで静かに眠り続けていた目を覚まし
    久しぶりに陽の目を見たその眩しさが故なのか、鹿乃たちに
    不思議な謎かけを投げかけてきます。

    満寿(まんじゅ)さんが
    朱の金魚を見た時の懐かしさは
    こと格別だったことでしょう....お顔が目に浮かぶようでした。
    そして鹿乃の亡きおばあちゃん。そのお人柄が少しずつみえてきて、あら..
    結構やりますのねぇ...なんて思いつつ(笑)おじいちゃんがまた
    なかなかとっても素敵な人で、微笑ましい羨ましい限りのラブラブご夫婦。
    それから今回は鹿乃ちゃんの二人の親友についても語られていて
    一話一話のお話が進むにつれて、鹿乃の周囲の人たちの人間人生模様にも
    より深みが増してきて、今後の展開もますます楽しみになります。

    蔵に眠る摩訶不思議な着物には
    必ずや、それに纏わる文学や芸術・音楽というものが絡んでいるもの....と
    季節の移ろいに咲く花や風習、芸術文化などをさりげなく織り込ませつつ
    京都のはんなりとした穏やかな佇まいをも心地よく味わわせてくれる
    「下鴨アンティーク」

    あの三人が作るご飯もいい味添えています。^^

  • 物語は真っ直ぐには展開してはくれない。
    蔵の着物の謎解きを軸にして
    物語は末広がりに紡がれ始め
    野々宮家の兄妹や慧に繋がる人たちが
    紡がれた羅紗の綾模様のように現れては消える。

    作者はどこまでの広がりを
    この物語に用意しているのだろうか。

    心地よさに読み続けてきた物語の色合いが
    玉虫の羽のように 光と影の中で変化してゆく。

    深い。底知れぬ深さに
    今さらながらに身震いがとまらない。

    話は変わるが。

    野々宮家で3人が交代で作る夕食が興味深い。
    季節の野菜の彩りだけでなく その下処理や
    調理法まで 食べることへの敬意と造詣を
    感じさせる。間違いなく美味しいだろう。
    下鴨アンティークを読み続ける 私の
    もう一つの楽しみである。

  • おばあちゃんのかわいすぎるツンデレに、春野のロックオン、慧の事情の幕開け等々、着物の謎とともに描かれる人間模様にドキドキしたが、最終話はきつかった。長年にわたりこじらせた暗い恋情と煙草の煙によどんだ部屋には、やはり強引に光と風を入れる人間が必要なのかもしれない。

  • 金魚の着物
    人の気持ちは変わる

    おばあちゃんからおじいちゃんへの恋文はほっこりした。嫉妬罪深い。けど愛感じる。

    従兄弟同士で恋人を争ってた話。戦争とかで2人とも帰ってこないという可哀想な話だったけれど。着物では2人仲良く。

    鹿乃の兄、良鷹がメインの話。これはもう真帆さん良鷹が好きなのでは…?
    風鈴草の着物を着た女性の悲しい過去に泣けた。

  • 恋文?と思ったら安定のツンデレおふじさんで安心(笑)
    美人で有名だったとかの彼女に似ているんだから、かなりの美少女のはずの鹿乃ちゃんに自覚がないのは、祖母とこの兄とこの慧ちゃんに育てられたからだと思われます。浮世離れし過ぎているのが巻を追うごとにはっきりしてくるという。
    今回は、初めて自分だけで(友達は巻き込んだけど)蔵の着物を解決した鹿乃ちゃんと、自分の過去と向き合ってきた慧ちゃんと、実はセンチメンタリストだった良隆それぞれのお話ですね。それも、どれも、今までの平穏から壊れつつある。
    今のままではいられない、という緊張感を感じます。
    真帆ちゃん、ごめんだけど、良隆お兄ちゃん頼むよ。(笑)

  • 3話目の『山滴る』では、何やら慧の生い立ちに曰くがありそうなので今後の展開が気になるところです。それに一見優しげな春野のどこに鹿乃が怖いと感じるのか、それも気になります。4話目の『真夜中のカンパニュラ』は今までの鹿乃の着物関係の謎解きとはテイストが違って新鮮でした。後味の悪いものではありましたが。また、最後の方に付いている人物イラストが、私にはイメージが程遠く違っていて残念。表紙や扉絵のようなイラストだけで充分。

  • シリーズ第3弾。
    「金魚が空を飛ぶ頃に」「祖母の恋文」「山滴る」
    「真夜中のカンパニュラ」の4つのお話し。
    古い物に宿る想いをひもとくお話だけど
    色んな想いがあるもので、カンパニュラの話は
    予想外にミステリしてて驚きました。
    続きを読みます。

  • シリーズ第3弾。全4話。可愛くて微笑ましい話から悲しく切ない話までそれぞれがちがうテイストの話。どれも面白かったです。
    特に1巻から登場はしていた大学生の春野君がここへ来て存在感を見せ始めた…と言うか、主人公の鹿乃にちょっかいを出し始めたのが気になる。

  • シリーズ第3弾。
    野々宮家の一コマとして魅力的だったのが「祖母の恋文」。
    気の強い祖母の、変わらぬツンデレっぷりが、楽しかった。
    逆に、静かな中に重たいものを秘めていたのが「真夜中のカンパニュラ」。
    良鷹の想いと、事の真相が切なく、ぐっとくるものが。
    慧の自分の気持ちへの気づきも、ほほえましかった。
    今後の展開が楽しみ。

  • シリーズ3

    金魚の着物
    鹿乃の友達梨々子の祖父満寿(喫茶店経営)が昔同棲していた彼女の置いていった金魚の着物のはなし

    祖母の恋文 帯
    北窓堂さんが持ってきた祖母が祖父に宛てた恋文それはに関する帯のはなし

    桜と紅葉の着物
    夏休み訪ねてきた春野に祖母の昔の写真を貰う、そこに祖母と写っていた女性の着物が蔵にあったことを思い出す。

    良鷹と別荘での話
    夏にいつも別荘で過ごす良鷹、そこにおつかいにきた真帆が見たのは綺麗な女の人
    しかし、その女の人は幽霊で、良鷹は毎年彼女に会うためにこの別荘にきていた、
    そして、彼女の謎が明らかになるはなし

  • 妹より譲受本。
    シリーズ2、3作目をまとめてもらっていたけれど
    間違えて2作目を飛ばして3作目を先に読んでしまった(^^;)

    おばあさんの残した古い着物が巻き起こす、不思議な現象は
    1作目読んだときはなかなかついていけなかったけれど
    慣れてきて、楽しみになりました。

    おばあさまのツンデレ感がすごい。

    グータラなお兄さんが、いつもと違う一面が。

    (京都に滞在中に読み、下鴨神社にも行ってきました!)

  • 魔法のような不思議なことが起こる着物がたくさんしまわれている蔵。
    その管理を亡くなった祖母から任された高校生の鹿乃のシリーズ第三弾。

    祖母が祖父に書いた恋文にからんだ着物の話や、兄の良鷹が毎年夏を別荘で過ごす理由、バラを育てている春野の本心など、伏線が明らかになる話が出てくる。

    孫とおじいちゃんの話が最初なのだが、孫とおじいちゃんの組み合わせだけで泣ける。
    そういうのが弱い人は電車や公共の場で読まない方がいいです。
    私は号泣して大変でした。

  • シリーズ3作目。安定の面白さ。
    古い着物が巻き起こす奇怪な現象は完全にファンタジーなのに、その一つ一つの事件が抒情的で物悲しく美しい。
    祖父母の若かりし頃の恋愛話は相変わらず素敵です。ツンデレ祖母が可愛い。
    慧の心情に変化が出てきたり、良鷹の切ない初恋(?)や春野の不思議っぷり。今回は主要男性キャラたちに動きがあってとてもよかった。
    鹿乃の恋愛観も謙虚で良いですね。
    次巻も楽しみです。

  • 春野さん思ってた人とちょっとちがった!
    鹿乃と慧の進展にはこの人がカギになってきそう
    なんか悔しいけどやっぱり良鷹好きだなー

  • シリーズ3作目!
    今作は、真夜中のカンパニュラが切なくて、でもそこには愛があって少し泣けました。

    そして、祖母の恋文がパワフルでクスッときます。パワフルだけどヤキモチ妬きで可愛いおばあちゃんにほっこりしました。

  • 真夜中のカンパニュラがよかった。せつないけど。

  • さらに面白かった。亡くなっているはずのおばあさまがエネルギッシュでパワフルで、最高に良い。怠け者のお兄ちゃんの冒険も切ない。

    個人的には、最後のイラスト集は不要だった。自分のイメージを固定してしまいそうなので、見たくない。

  • 【下鴨アンティーク3作目】今回もラストは良鷹と真帆。そうか、真帆には彼氏がいたのか。そして悲しい話。慧の出番が少なくて少し残念だったけど慧の寂しさが伝わってくるし良鷹も慧の気持ちはわかってるのかな。それにしても春野が鹿乃に白薔薇ねぇ。慧にもライバル?まぁ鹿乃には嫌われてしまったみたいなので進展はないかな。これから慧と父親との詳しい話なんかも出てくるだろうし今後の展開にも期待したい。

  • 京都を舞台とした、いわくつきの着物の管理をする高校生の鹿乃と、その兄・良鷹、大学教授の幼い頃からの同居人・慧、そしてその友人や、ヒロインの祖母などが絡む人情譚、3巻目。
    残された着物に宿る、消えない思い。時を超えて明らかになるその思いはどこにあるのか…
    ホンワカする物語だけではななく、ほろ苦かったり、やるせなかったり…人情譚という言葉がぴったりのお気にりのシリーズ。
    ヒロインの成長とともに、戸惑う兄&慧の反応が良いです。
    特に子供として見ることが難しくなってきた慧の混乱ぶりがクスっと笑えます。
    とはいえ、物語は着物の問題を軸にした登場人物達の人間関係が織りなす情緒あふれる物語なので、恋愛の歩みの遅さはご容赦くださいませ。
    あらすじなど下記
    http://books117117.blog110.fc2.com/blog-entry-4929.html

  • いわくつき着物のミステリー第3弾。
    今回も面白かった。
    今回は、鹿乃がちょっとただけお兄ちゃん達離れをしたかな。まぁ、すんなりとは離れて行かないお兄ちゃん達だけど。
    おふじさんのツンデレも相変わらずの愛おしさ。
    慧ちゃんの出番が少なかったけど、お菓子の家とか作っちゃうあたりかなりの甘々っぷりで本領発揮。
    良鷹が主役のお話は今までにない哀しさ。いわく付きの着物だけあって毎回哀しみは付いてくるのだけど、今回のは計り知れない。最後には良鷹の手によってちょっぴり救われたけど、読後にダメージが残る。

    最後のイラストはなんで載せたんだろう。表紙と扉絵が凄くいい分やめてほしかったなぁ。肝心の着物の柄がちゃんと描かれていないのが残念。

    それにしても1年に3冊。シリーズものでこのペースはありがたい。どんどん読みたい。

  • 積ん読からようやく。

    読み始めるとサクサク読めるんだけどな。好きな本は積ん読にしておくのも好きなんだよな(笑)

    憧れの京都、アンティークな着物、ミステリーはやっぱり好き。
    この人間模様も好き。どうなるんだろ。

    続きも出たら買うぞ。

  • 安心して今回も読めた。
    慧の出番が少なかったけど、良かった。
    このシリーズはほっこりするし、京都に行きたくなるし良い本。

  • 今回も素敵な話でした。どうして不思議な事に出会うのかのヒントにも出会えたし。慧の過去も気になります。

  • 2023.7.24 読了。
    下鴨アンティークシリーズ第3弾。祖母から受け継いだ蔵にあるいわくつきのアンティーク着物の異変の謎を孫でアンティーク着物好きの鹿乃や野々宮家の住人が紐解いていく短編集。

    作中に出てくる料理や色彩や着物の柄の描写が好み。「金魚が空を飛ぶ頃に」で慧の心情が書かれていて今後どうなるのかな?というところ。
    「祖母の恋文」は祖母の芙二子さんをなんだかんだ言って掌で転がしているような夫の健次郎が穏やかで面白い性格だなと思った。
    「山滴る」では春野さんがちょっと不穏な空気を醸し出しているが、これからどう鹿乃や慧と関係してくるのだろう?というところ。
    「真夜中のカンパニュラ」は今までの短編と少し趣きが変わっており着物の謎解きって感じではなかったが、少々単調な感覚が続いていた短編の中に雰囲気の異なる物語が入ってきたところが良かった。夏向きなライトホラー感。

    巻末に突然イラストが掲載されていたのだが、個人的には小説は基本キャラクターのイメージや人相を自分で想像して読みたい派なので、勝手にと言うと強い言い方過ぎるかも知れないが登場人物の絵をいきなり決められてしまったような感覚でそこは嫌だった。

  • 最後の真夜中のカンパニュラは 可哀想なひどいお話しでした。

    亭主に監禁されて暴力を振るわれて殺されたカンパニュラの好きな女の人

    幽霊になって現れる

    その幽霊のいるところから その人を逃がそうとした人の骸骨が出てくる。

    お兄ちゃんの良鷹には 思い入れのある幽霊だったけど 残った思いが伝わってよかった。

    その前の話

    山滴る には

    慧の父親が田村教授だということがわかった。

    物語が進むに従って いろんな人のつながりがでてくる仕掛けでした。

  • 祖母の恋文よきよき。けど、最後の風鈴草のお話は悲しいお話だったな。

  • 正確に書くと星3.8。
    どの巻でも言えることだが、とにかく着物や、京都の街並みを味わうことができてプチ楽しい。
    鹿乃ちゃんと友達や兄などとのやりとりも楽しそう。
    ちょっと読むのにちょうどいい。

  • 着物とそれにまつわる謎がメインなのは勿論、ヒロイン・鹿乃を中心とした人物模様も魅力な本作。慧の父親と思しき人物が登場し、春野も今までとは違う一面を垣間見せて、話が緩やかながらも深みを増してきた感じです。
    それにしても優雅でどことなく浮世離れした暮らしぶりのせいか、現代よりももう少し時代を遡った頃のような錯覚を覚えます。

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著者プロフィール

三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌「Cobalt」短編新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞受賞。主な著書に『下鴨アンティーク』『契約結婚始めました』「後宮の烏」シリーズ(集英社オレンジ文庫)『三日月邸花図鑑』『九重家献立暦』(講談社タイガ)などがある。

「2023年 『海神の娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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