契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社
3.65
  • (27)
  • (84)
  • (78)
  • (4)
  • (3)
本棚登録 : 766
感想 : 67
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086801317

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 籍は入っているけども「契約結婚」!?
    2人が住まう椿屋敷が語り手となり、進んでいく物語。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    通称・椿屋敷に住む若夫婦は、籍を入れているけれども「ワケあり夫婦」な柊一(しゅういち)と香澄。

    若隠居のあだ名をもつ、椿に詳しい小説家・柊一のもとには、たびたび相談が持ち込まれ…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    著者・白川紺子さんの小説は、「後宮の烏」シリーズの方を先に読みました。
    「後宮の烏」は中華ファンタジー小説なので、難解な用語もちりばめられていますが、「契約結婚はじめました。」は現代が舞台であり、1ページあたりの文字数も「後宮の
    烏」よりは少ないので、手に取りやすいです。

    若隠居・柊一のもとに日々持ち込まれる相談も、ちょっとした謎を秘めているものばかり。
    そうした相談そのものを味わいつつ、若夫婦の謎も少しずつ明らかにされていくため、徐々に変化していく若夫婦の関係も、見ものです。

    「椿屋敷」が擬人化され、語りを担当しており、人間を紹介するのとおなじ目線で、小鳥の様子が書かれていたりします。
    ここが時に厄介であり、人間の世界と静物・動物世界が交差する語りに、どちらの世界の情報か混乱することがありました。
    ドラマであれば、屋敷が語り手でも違和感なく進んでいったのかもしれませんが、このお話の場合は誰でもないナレーションのほうが話運びがスッキリしたのではないか、と思いました。

  • 正確に書くと星3.8。
    椿にまつわる謎解きの話が主で、ちゃんと意外性もあり読みやすくて面白かった。
    白川さんの小説はキャラクターの良さや、ちょっとレトロな感じがあり、続きが読みたくなるものが多いと思う。

  • どこかで購入して積読になっていた作品。
    気分的にちょっと甘い系が欲しくなり。

    タイトルだけしか知らなかったので、読み始めて、思っていたよりも(いちゃ甘系かと思っていた)いい意味で期待が裏切られて嬉しかった。

    20代後半?なのに若隠居と呼ばれる主人公と19歳の奥さん2人が軸になっている。
    椿屋敷と呼ばれるだけあって、作品に出てくる椿の種類の豊富さに驚く。椿に絡めたいろいろな事件に2人は巻き込まれるが、どの案件にも穏やかな空気感が心地よい。

    続編が5巻まであるようなので読破したいと思っている。

  • 2023.3.19 読了。
    寿町四丁目にある通称・椿屋敷に住む柊一と十九歳の香澄は利害の一致により結婚した偽装夫婦。町の相談役の柊一の元には近所から度々相談事が持ち込まれる。椿屋敷に関わる人々を家目線で語る物語。「契約結婚はじめました。」シリーズ第一弾。

    下鴨アンティークシリーズを読んでこちらも読んでみた。白川紺子さんの描く食べ物や食事風景が好きだし古いものを大切にしている感じも好き。
    登場人物が色々訳ありで、けれどそこを荒げて書かず仄かな悲しみを漂わせながら静かに穏やかに語られる雰囲気がいい。
    丁寧な生活感に思えてゆっくりお茶菓子とお茶を入れてみたい気分になる。

  • 3人称視点かと思いきや、登場人物たちを見つめる家目線の話。この設定自体は面白いからもうちょっと活きても良かったのではと思うところ。

    やっぱり家の問題ってめんどくさいねぇ。結婚とか出産とか後継とか遺産とか。

  • 目線が家からなのでちょっと間接的になる分穏やかで柔らかい印象。
    契約婚とはいえ一緒に暮らしている事で、お互いを少しずつ意識しているのが伝わってとても可愛らしい。意識している瞬間を細かく描いてくれているので、微笑ましい瞬間が沢山あるのが嬉しい。

  • 椿屋敷の家が主体で話す物語

    そこに住む柊一27歳と訳アリの妻香澄19歳のはなし
    隣のアパートの大家すみれさん柊一の叔父にあたる
    すみれ荘にすむ


    柊一の6歳年下の弟 檀

  • 多種多様な椿が植えられた庭を持つ古い屋敷に暮らす、一組の若夫婦。新婚のように見えて、実は互いに理由を抱えていて契約結婚をした「偽夫婦」なのだ。

    といっても、きな臭かったり血腥かったりするような理由を持つわけではなく、それぞれ生い立ちや家族関係に少し特異な点を抱えているだけだ、と徐々にわかってくる。

    二十代にして老成した雰囲気を持ち「若隠居」と呼ばれる柊一と、真面目でどこか古風なまだ十代の香澄。
    ふたりの関係を、築六十年を超える屋敷の一人称で語られる物語だ。

    白川さんのほか作品で出てくるファンタジー的な要素はなく(一人称は屋敷だけど)、少し浮世離れした現代物としてさらさらと読めた。

  • 通称<椿屋敷>ーーそれが私だ。と、「家」が物語を語っていくのが新鮮だった。ところどころ、「家だって夜になれば寝る」とか読み手に聞かせるのも面白かった。
    その家に住む、若隠居と呼ばれる27歳の柊一と、彼に嫁いできた19歳の香澄は、利害の一致で結婚した偽装夫婦(入籍済)。なぜそういう結婚をしたのか、ということが語られないまま話が展開していく(家が詳しい事情を知らないから)。とはいえ、2人は仲睦まじいように見えるし、お互いを大切にしているのも伝わってくるしで、によによする。椿屋敷が舞台になっているためか、椿の描写が数多くあるのはもちろん、香澄が作るご飯・お菓子の描写がすごく美味しそうで驚いた。

  • 二人の緩やかな関係が何だかよかった。丁寧に働く人って気持ちいいなぁ

著者プロフィール

三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌「Cobalt」短編新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞受賞。主な著書に『下鴨アンティーク』『契約結婚始めました』「後宮の烏」シリーズ(集英社オレンジ文庫)『三日月邸花図鑑』『九重家献立暦』(講談社タイガ)などがある。

「2023年 『海神の娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

白川紺子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×