月世界紳士録 (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086801386

作品紹介・あらすじ

宇宙技術振興推進株式会社(通称STeP)。待宵澄雄の異動先は「竹取班」と呼ばれ、月にまつわる伝承などを扱う部署。ある日、保管中の古いランプ『朧月夜』を譲ってほしいと男性が訪れるが…? 幻想譚。

感想・レビュー・書評

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  • 概念としての月……幻想的で美しい月のイメージが、月にまつわる話とともに楽しめる良作だとおもいます。ただ、全体的な雰囲気は幻想的ですが、起こる事件の真相は人の欲にまみれていて生々しい。

    この方の書くお話は、きれいで上品な雰囲気が好きです。

  • 三木笙子さんの新男性ペア。この2人は今までの三木作品の中の男子ペアとはまた違う距離感でした。何だか最後まで縮まらない、よそよそしいような仕事上の付き合いだけって感じでした。大人ペアだからこれぐらいが丁度いいのかな。彼らは「竹取班」に持ち込まれる月に関係する謎を解決していきます。それらの謎は、特に月自体に関わるものではなく、月をモチーフにした日常的な謎って感じです。全体を通してハラハラドキドキというものではなく、月光の下でゆったりと謎解きを楽しむというスタイルが似合いそうな物語です。

  • 面白かった。続きほしいくらいには好きだわ。
    いい感じに二人がでこぼこで、それでいて噛み合ってくるのが楽しいよ。

  •  たまには人が死なないミステリーが読みたいと思い手に取りました。
     三木先生の著作はあらすじを読んで面白そうと思いながらもなかなか読む機会がなかったのですが、初読で続きが読みたくなる本に当たってラッキーでした。

     月世界と表題についているだけあって、短編のタイトルもみな月絡み。出てくるお店や施設の名前、小道具も全部月にまつわる名前が着いていてなかなかロマンチックです。
     月のきれいな秋の夜に読みたくなる本ですね。

  •  んー薄い、なんというか読み易くはありますが、書き方もキャラクターも淡々としすぎていて今一つでしたね。
    現代が舞台ですが、妙に座りが悪いのは気のせいか…
     

  • 月にまつわる民話伝承、何でも取り扱う部署に
    配属されてしまった主人公。

    そこで起こった、月に関する謎4つ分、の話。
    元々配属されていた月狂いの人が探偵で
    新人たる主人公は情報収集?
    最初の話はこっているな、という反面
    そこまでするか?! の驚きが。
    これで大事にするならともかく、これでは
    譲ろうという気にならないのは確かです。

    一体自分は何が大事なのか。
    それが気づけたのは、よい事なのでは? な2話目。
    生涯、それに気が付かない場合もあるわけですし
    そう考えると幸せです。
    これだ! と利用できた人達もいたわけですし。

    突如もて始めたら、何を一番疑うか。
    落ちを見て、もしかして…という疑いがあったのか。
    まぁそれがなくても、あからさまに怪しいですが。
    そもそもこれで舞い上がるのは、10代か
    もてたいと思っている人だけでは?

    そして最後。
    詐欺って恐ろしい…のもありますが、アイデアが凄い。
    ここまで大規模だと、確かにばれません。

    という4編ですが、ここまですべて
    気が付いた人も凄いですが。

  • 月にまつわる伝承などを調べたり、古美術などを収集したりする部署の仕事の話。
    短編連作。
    魔法がかかったような商品が色々出てきて、それに関する事件を解決していく話だが、ファンタジーだと思って読んでもあんまり面白くなかった。
    多分ティーンズ向けのライトノベル。

  • 月にまつわるあらゆる資料を蒐集する部署
    通称「竹取班」に異動となった澄雄はそこで、
    自他共に認める月狂いの靖久とともに仕事をすることになった
    月に特化したその部署には、時々
    「月」に関するトラブルや揉め事が持ち込まれておりーー



    *****以下感想*****


    一見すればなんの変哲もない事件ではあるけど
    月、そのひとつの要素が加わるだけで
    なんとも不思議な雰囲気になるものだなぁ
    と読んでいて実感した
    少しファンタジックというか、メルヘンチックというか
    この世ならざる力が働いている気がしてくる
    これが月の魔力というものか
    事件そのものも面白く
    秘められた謎、エピソードも
    まとまっていてスッキリと読みやすかった

    ただひとつ
    澄雄が好きになれん!!!

    冒頭からあんまりだと思った
    椅子に座って机にもたれる際にギシギシ音を立てるだけで
    「備品を大事にしてください!」て、なにごと?!笑
    しかもそれが体格が大きいがゆえになってしまうものなら
    不可抗力ではないか…
    そんなんで目くじら立てられるとか可哀想でしかない…
    キッチリした性格、というのを表現したかったのだろうけど
    後に自分で思いっきり大事な備品をぶっ叩いたりしているし
    全く説得力がない

    真面目で責任感がある性格、を豪語しながら
    許せないと思ったのは
    1話のラストだ
    圧倒的自らの不注意で、大切な備品、しかも物凄く高価な
    品をあわや盗まれかけたというのに
    ただの一言も詫びることなく、それどころか靖久を責めるなんて
    ありえなさすぎて引いた
    もちろん、見えないところで謝罪しているのかも知れないけど
    読者に見えてないならそれはないと同じ
    ゆえに一切感情移入と信頼をもてない主人公となった

    靖久も終わってみればキャラが薄くて
    いっそ脇役たちのほうがキャラが立っていたなと思う

    それがすごくモヤモヤした

    そして紳士どこ
    なにか由来というか元ネタというか、があるのかも知れないけれど
    不勉強なものでわからない
    あの部署って学術研究施設とかなのかな
    仕事として成り立っているのか不思議

    ストーリーは面白かった

  • 三木先生の今までのシリーズ(帝都探偵絵図やクラーク巴里)では、探偵役とその相棒との間には揺るがない信頼関係があり、その関係性の中で描かれる物語だったのですが、今回の待宵と桂との間にはそれがまだない。この本に収録されてる4つのお話を通してそれが徐々に構築されていっていく途上、みたいな感じですね。
    その結果、二人の捜査行動がバラバラで(桂の手のひらの上で待宵が踊らされているだけのようにも見える……)、男同士の友情に悶えたい私としてはちょっと物足りない(笑)
    ミステリのネタ自体は三木先生お得意の、史実と人の心の機微・思惑が絡み合った結果発生する物語、といった感じで。(あとこれは完全に個人の趣味ですが、JAXAの関連会社設定など完全に現代の物語なんですが、先生の文章が醸し出す持ち味が大正レトロな感じゆえ、読んでる間中、違和感がつきまとうというか、この時代設定にした必然性がイマイチ判らず常に背中がモゾモゾする感じを受けながら読んでました)

  • 月にまつわる物語なんて、自分のためにあるようなものではないかと歓喜して購入しました。

    「月」に関係するお話というだけあって、登場人物もなにかしら「月」を連想する名前だったり。
    どんなに科学技術が発達し、衛星として、「モノ」として明らかになっていく月。
    それでも見上げて手を伸ばしても決して届かない月。
    恋しくても触れられない、ほのかな光で地上を照らす存在に止まぬ憧れをもつのは、人が人としてある限り永久にある感情でしょう。

    月をめぐる、人が編み出したミステリー。

    全編に「びいどろ池」の景色がただよっているような、同じ空気を感じました。改めてタイトル確認したら「びいどろ池の月」なんですね、これも月だったんですね。

    私の感性すげー、とか思ってしまいました。

    次作も楽しみです。

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著者プロフィール

1975年生まれ。秋田県出身。2008年、第2回ミステリーズ!新人賞最終候補作となった短編を改稿、連作化した短編集『人魚は空に還る』(東京創元社)でデビュー。他の著書に『クラーク巴里探偵録』(幻冬舎)、『百年の記憶 哀しみを刻む石』(講談社)などがある。

「2019年 『赤レンガの御庭番』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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