悲しみの子どもたち ―罪と病を背負って (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087202915

作品紹介・あらすじ

罪と病という二重の試練を背負った子どもたち。医療少年院で、精神科医として彼らと向かい合う著者が、多くのケースとの関わりを通して、異常な行動の根底にある問題に迫っていく。なぜ、彼らは自らを傷つけ、他人を害さねばならなかったのか。想像もつかない冷酷な犯罪を犯してしまったのか。損なわれた心は回復できるのか。人との絆は取り戻すことができるのか…。だが、そこに浮かび上がるのは、決して特別な子どもたちだけの問題ではない-。圧倒的な事実の重みと、子どもたちの悲しみが胸をつく、臨床現場からの痛切なメッセージである。

感想・レビュー・書評

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  • 医療少年院で過ごす少年少女の話。親との問題が根本にあり必要な時に適切な支援が受けられず道を踏み外していくというのが基本型。先天的素因と後天的な環境は影響しあいますが非行化しない人もおり、彼らが微妙な均衡の上に立たされていることがわかります。

  • 非行少年が犯罪を犯した背景には、家族の中に自分の安心できる居場所がないこと、学校で友人がいないことなどによる、不安や悲しみがある、とのこと。希死念慮や自殺未遂未遂から一転して、他者への危害に及ぶことも多いらしい。
    また、最近では昔ながらの不良タイプではなく、自己愛が強かったり、対人回避しがちだったりと、一見、大人しく普通な感じのタイプが増えているとのこと。
    子供時代の家族内における基本的な愛情関係や、子供同士の昔ながらの遊び(オンラインゲームではなく)などによる対人コミュニケーションが、人格形成の基礎となることを痛感。

  • しっかりとした内容の本。
    少年犯罪が起きるたびに上っ面の中身のないコメントしかできないコメンテーターやニュースキャスターに是非読んでほしい。
    文面も読みやすい。

  • 学生時代に読んだ『家栽の人』を思い出す。器質的な原因よりも発達の過程での特異な環境の影響が強いな。この本でも主体性が強調される。自分が自分であり自分自身でコントロールするためには主体性の認知と発揮は極めて重要なのだろう。

  • [ 内容 ]
    罪と病という二重の試練を背負った子どもたち。
    医療少年院で、精神科医として彼らと向かい合う著者が、多くのケースとの関わりを通して、異常な行動の根底にある問題に迫っていく。
    なぜ、彼らは自らを傷つけ、他人を害さねばならなかったのか。
    想像もつかない冷酷な犯罪を犯してしまったのか。
    損なわれた心は回復できるのか。
    人との絆は取り戻すことができるのか…。
    だが、そこに浮かび上がるのは、決して特別な子どもたちだけの問題ではない―。
    圧倒的な事実の重みと、子どもたちの悲しみが胸をつく、臨床現場からの痛切なメッセージである。

    [ 目次 ]
    はじめに 社会を映す鏡としての医療少年院
    第1章 回避空間の病理
    第2章 親という名の十字架―愛情飢餓と命がけの自己アピール
    第3章 劣等感に塗れて
    第4章 運命を分けるもの―非行発現のメカニズム
    第5章 社会が生み出す非行
    第6章 壊れた心は取り戻せるのか?
    第7章 本当の希望を取り戻すために
    おわりに 明るい未来は明るい子ども時代がつくる

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • ■多動型
    ■依存型
    ■境界型
    ■自己愛型
    ■回避型
    ■親子関係の重要性
    ■育たなかった共感力

  • 医療少年院…そこに暮らす子どもたちの背景をグルーピングしていきます。生まれ持った性質というよりもむしろ、育ち、周辺環境に主因を見出していきます。どんな子にも無邪気な乳児期があったはず、とつぶやく段では4ヶ月の三男、謙の寝顔を見ながら、そうなんだよなと思いました。

  •  再読した。
     この手の専門家には、必要以上に情に流されないようトレーニングが課せられていると思うが、そもそも情をわけることなど、機械じゃあないんだから、無理だよね。所詮、にんげんだもん。

     著者が別名で小説を書く気持ちがわかる。

     でも、小説よりも、もっともっと現場ならではの、迷いや立ち止まりをそのままに、教えて欲しいと思うのはわたしだけかなあ。

     

  • あたりまえというか普通のことが書かれていて、新しい情報ではなかった。この程度のことであれば子どもの臨床をしている人ならだれでも発表できる。論文でもエッセイでもない路線になっているので中途半端と感じたのだが、新書だからしょうがないか。売れればいいのか。

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著者プロフィール

岡田尊司(おかだ・たかし)
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退。京都大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。京都医療少年院勤務などを経て、2013年より岡田クリニック(大阪府枚方市)院長。日本心理教育センター顧問。パーソナリティ障害、発達障害、愛着障害を専門とし、治療とケアの最前線で現代人の心の問題に向き合う。著書『悲しみの子どもたち』(集英社新書)、『愛着障害』『愛着障害の克服』(いずれも光文社新書)、『愛着アプローチ』(角川選書)、『母という病』(ポプラ新書)、『母親を失うということ』(光文社)など多数。

「2022年 『病める母親とその子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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