- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087204186
作品紹介・あらすじ
人は誰もが欲望に突き動かされて生きている。社会も、ますます人の欲望を反映したものとなりつつある。では、欲望と欲望がぶつかり合うとき何が起こるのか。人は自らの欲望と、どう付き合いながら生きればよいのか。孔子が論語で述べた、「自分の心の欲する所に従っても倫理的規範から逸脱しない(七十而従心所欲、不踰矩)」境地とは?欲望をめぐるさまざまな思考から、私たち人間の本質に迫る。人気脳科学者が具体例を挙げながらしなやかに論じる決定的論考。
感想・レビュー・書評
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人は自らの欲望と、どう付き合いながら生きればよいのか。
孔子が論語で述べた「七十而従心所欲、不越矩」の境地とは?
「ある人の価値は、何よりも、その人がどれくらい自分自身から解放されているかということによって決まる」(アインシュタイン)
「私」が世界の中で特別な意味を持ち続けることは認めた上で、世界の中の様々な他者と行き交うために、思想的な工夫を凝らす。
他社への真摯な関心があってこそ、初めて心をしっとりと柔らかなものに保つことができる。そのことを深く心に留めておこうと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なかなか面白かった。
PR誌に連載されたものだというのに納得。読み物として、娯楽的で端的で良い。
知識を得るための学習としての読書ではなくて、不完全であっても他人の意見を聞いて、立ち返って己の思うところを見つめる、みたいなことを促す本。
タイトルはこんなだけど、別に脳の話ではない。
孔子の「七十従心」を全体的なテーマとして、茂木さんが生きている中で感じたこと、観たもの、思ったこと、全体を基にして、ひとつ考えてみたことをざっくりと書いてある。
ブログっぽい。
まあでも、たまに手にとって読んでみると、自分の今向かっているテーマや、遭遇している状況なんかに引き寄せて考えられることも多くて、手軽な刺激としてとても良い。
もともと賢い茂木さんだから、読んでいるとどこかには「ちょっと面白いと感じる視点」が見つかるんじゃないだろうか。
暇つぶしくらいのつもりで読んでみると、いいかも。 -
正直読みづらかったのは、事前知識不足だからなのでしょう。
精しくなる、という表現と
一回性、学習依存症に関する章が好きです。 -
脳は欲望する。
「デジタル資本主義」の現代では、自らの欲望をストレートに追求する「野獣化」の傾向を日々強めて歯止めが効かない。
しかし人類史の中でおそらく欲望を抑制し慎ましく生きることが美徳であった時代はおそらく長かった。
子曰くにはじまる論語では、「四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳したがう」とあり、最後は「七十にして心の欲するところに従って、矩(のり)をこえず」とある。
欲望に従っても倫理的規範から逸脱しない境地とは?
欲望とクオリアをテーマに、人としての本質を深く洞察していく本書は自らへの反省と社会生活を営む人間への関心をいや増す。
哲学的で硬い内容も多いので、じっくりと読まないと本質を読み落とすことあり。
要再読。 -
人間とは何なのか。
かなり硬質な文章ですが、読みにくい、ほどではないです。
ただ、クオリア、哲学的ゾンビ、など、当然知っているであろうと想定される言葉の知識がない、または薄い場合、読み進むのには時間がかかるかもしれません。でも、それは、自分が調べながら読めばある程度はクリアできることで、本文中にもあるように、「学ぶこと」を体験したい方には、考える、学ぶためのヒントがいっぱいで、ぜひお勧めします。 -
これに対してどうこう言えるほど、この分野に対する知識が不足している。
ということが、よくわかりました。とりあえずクオリアについてもっと勉強しとかないと。
でも、クオリアに興味が出たという点で、おもしろい本でした。
マリーの部屋とか、コウモリとして生きるとはどのようなことか、あたりから始めたいと思います。わからないなりに。
個人的にはマリーの部屋についてすごく興味がある。自分の視覚を自在に操れたら一度試してみたいものです。 -
■概要
孔子の「自分の心の欲する所に従っても倫理的規範から逸脱しない(七十而従心所欲、不踰矩)」をキーワードに、
欲望に突き動かされて生きる人間、そして社会について考えるという内容。
■仕事に活かせる点
そうそう!と共感すること、
こういう考え方もあるのだな、と感心することが混在していて、
読んでいてとても楽しい本でした。
(『化粧する脳』はその点つまらなかった・・・)
茂木さんのように、知識が豊かで、自分の頭で考えて世の中を見ている人というのは、きっと話していて面白い方なんでしょうね。
仕事上、プライベートでは知り合えないような
いろいろな人に出会うことができますが、
相手の年齢や性別や出身を問わず、
「話をしていて面白い」と思われるような人に私はなりたいと思います。
内容自体、ビジネスに直結するものではないですが、
考えの幅や深みを広げてくれる、良い本だと思いました。
(さわ) -
最近有名な茂木さんの本。初めて読みました。著作の多さから、産業的なにおいを感じかなり敬遠していましたが、本屋で目に付いたことと、殊興味のあった欲望に関するタイトルから立ち読み始めました。脳科学者なので科学的な見地から書かれているのかと思えば、冒頭から孔子の「論語」を出発点に哲学的な考察で終始しました。意外性からとても新鮮な嬉しさを感じました。「自分の欲望にしたがって生きながら、倫理観に抵触しない」という論語の一文を軸として、欲望とは何なのかを徹底的に哲学しています。知識量の豊富さと、ニュートラルな視点、宗教に対する深い洞察に驚きました。面白かったです。
09/7/31 -
この本を読んで、茂木氏のテレビで見せる顔とは違う学者としての一面を強く感じた。また芸術についてとても熱く語る箇所がいくつかあり新鮮な思いを抱いた。
孔子の論語を脳科学的に読み解くことがメインテーマなのだが、そこから派生して語られる「生と死」「芸術と脳」などの話も大変興味深く読むことができた。
脳の快楽を感じると反応する部分が学習をすることで刺激されるというのは、人間の脳の優秀さを物語っているなと思った。自分の脳に常に快楽を与え続けて脳の潜在能力を少しでも多く引き出すことにチャレンジしようと思う。
★心に響いた言葉
節度を身につけているかどうかは、ある人間の価値を決定づける分水嶺である
ある人の価値は、何よりも、その人がどれくらい自分自身から開放されているかということによって決まる(アルベルト・アインシュタイン)
音楽を聞いた至高の感動も、基本的には食べ物や水、セックスのように生きるために必要な報酬に対する脳活動と同じ
人間の脳は自らが置かれた文脈に合わせてその働きを調整する、驚くべき能力を持っている
下流に属する若者の間で、「自分らしく」という価値観に共鳴する割合が多く、ニートの若者にむしろ起業意欲が高い傾向がある
夢には、昼間意識的に生きている時に蓄積されていった歪みを解消するという意味がある
人間の知性はいつまで経っても終わることのない終末開放性をその特徴としています。だから、たとえ遺伝子によってかなりの部分が決まっていたとしても、実際的な意味では決まっていないのと同じ
人間ほど不確実性への適応メカニズムを進化させた動物は存在しない
私のような人間にとっては、人生で実際に何が起きたかというよりも、何を考えてきたかということの方が重要なのです(アルベルト・アインシュタイン)
人は不可能なことに真摯に向き合った分、大きくなれる
人生において自分の欲望が実現するということは、多くの場合他人の欲望の実現の可能性が消滅することを意味する
ドーパミンはサプライズを好むように設計されている