- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087204520
作品紹介・あらすじ
コーカサスは、ヨーロッパとアジアの分岐点であり、古代から宗教や文明の十字路に位置し、地政学的な位置や、カスピ海の石油、天然ガスなどの天然資源の存在により、利権やパイプライン建設などをめぐって大国の侵略にさらされてきた。またソ連解体や、9・11という出来事により、この地域の重要性はますます高まりつつある。だが、日本では、チェチェン紛争などを除いて認知度が低いのが現実である。本書では、今注目を集めるこの地域を、主に国際問題に注目しつつ概観する。
感想・レビュー・書評
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遅々として進まぬ読書。
読み終わって、何のために読み始めたかすら思い出せない状況。
しかし、コーカサス地方とロシアのことがよくわかるであろう一冊。
余りにも基礎知識がなかったために、読み進むのに苦労した。
知識を持った人が読めば、とても理解が深まるのではないだろうか。
ただ、日本からそう遠くない場所での紛争や普段あまり意識しない自治共和国の存在など大変勉強になった。
また、アルメニア人は世界各国に居住しており、しばしばユダヤ人になぞらえられるということも初めて知った。
さらに、アゼルバイジャン人の民主化によって安定が損なわれ、混乱を招くとの考えは、私の中の常識と真逆で驚かされた。
それぞれの境遇や歴史によって、それぞれの価値観、常識があるということを改めて感じた。
少し古い本なので、現在の各国の状況は変わってきているだろうけれど、ロシアのウクライナ侵攻が行われている今日、いまだにロシアと周辺諸国との攻防は続いており、長期的な平和が訪れる日が来るのだろうかと暗澹たる気持ちにもなる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現在、ナゴルノ・カラバフを巡るアゼルバイジャンとアルメニアの紛争が全世界で注目されている。そのため、コーカサスの複雑な情勢を理解するために本書を読んでみた。本書が書かれたのが2008年のグルジア紛争以前であり、情報が多少古いなと思う箇所は散見されるが、コーカサスの基礎情報を知るには最適な本である。民族問題に加え、エネルギー事情、カスピ海の領海問題など大変参考になった。本書最後にソチオリンピックの話があったが、まさか北京オリンピック中にジョージアで紛争が起きるとは誰も予想できなかったと思う。
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図書館にどこにも置いておらず、購入した。
コーカサスの国際関係を知るには良書だと思う。 -
コーカサスの国際関係(ロシアとチェチェンやアゼルバイジャン、グルジア、アルメニアなど)をざくっと知ることが出来る。文章も読みやすく分かりやすい。
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ソビエト崩壊後の主にコーカサス地方(アゼルバイジャン・アルメニア・グルジア(現ジョージア)のことが、内政、外交等の政治的側面を中心に述べられている。
記述はとてもわかりやすい。
ただ、過去から現在についての分析にとどまっているのが若干物足りない。個人的には、未来についての予測が欲しかった。
俗っぽいけど、学者としての頭のキレがどの程度の水準にある方なのか、いま検証したら判断できたかもしれないので。
巻末は、日本はもっとこの地域に積極的に関わっていくべきだろう..というありきたりな提言で終わってる。 -
まだまだ理解が及ばない部分もあるが、本書のおかげでだいぶ地名や民族名、国家間の力関係が頭に入ってきた。
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本書は2008年に刊行された本。
それから2014年経った今、既読。
アルメニアに関する本を読んで、コーカサス地方に(関する本)興味をもったので、本書を手に入れて読んだ。
コーカサス地方(アゼルバイジャン、グルジア、アルメニア)の抱える問題などについて、わかりやすく書かれている本。
黒海やイランやトルコといった隣国との石油資源の利害関係、また古くからの民族対立、政治政策、そして、旧ソ連に組み込まれていたこともあり、ロシアとの関係も絡まる。
EUとも近い関係にあるし、またロシア、あるいはトルコ、イランといった中東諸国との複雑なバランス、緊張関係になっていて、複雑な利害関係が本書から伝わってくる。
本書が刊行されてから年月が経ち、政治局面なども大きく変わっていることあるが、最近のウクライナ情勢、あるいは、シリア情勢も絡んでいるように思える。
EUとソ連と中東の間に挟まれたコーカサスの三国。ただただ、複雑な利害関係の上に成り立っているということがわかる。
筆者の新しい本があれば、読んで見たいと思う。 -
ロシアの裏庭であり、ヨーロッパを視界に含めつつ、
中東も意識しなければならないコーカサス地方の
国際関係について記した一冊。
各国各地域の緊迫した情勢や経済関係、政治情勢を
わかりやすく概説している。
大国に囲まれ様々な圧力がかかる中で
方向性を探る背景に少し触れられたように思う。
ぜひ次は個別の国についてさらに掘り下げた一冊を読んでみたい。 -
“国際関係の十字路”この副題ほどコーカサスを言い表すのに適した言葉はないかもしれない。ヨーロッパ、中東、アジア。文明と文明がぶつかり合うこの地は、多様な宗教・民族・言葉の入り乱れた複雑な歴史を有し、現在でもその混乱の火は消えていない。大国の意向に左右されてきたコーカサスこそ国際関係論を学ぶのに適した場所なのではないか。本著はそんなコーカサスの入門に適した本であると私は思う。
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(後で書きます)