若き友人たちへ―筑紫哲也ラスト・メッセージ (集英社新書 515B)

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著者 : 筑紫哲也
  • 集英社 (2009年10月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205152

若き友人たちへ―筑紫哲也ラスト・メッセージ (集英社新書 515B)の感想・レビュー・書評

  • 筑紫さんは肺がんを患われ、2008年に他界されました。
    BSで特集番組を見ていて、過去に読んだ本書を再読しました。

    本書は最後の時期に早稲田大学、立命館大学で行われた講義録を元に若い世代の人たちに、筑紫さんが残したラストメッセージになってます。

    本当であれば、「若い友人への手紙」として連載されるはずであった企画は、筑紫さんの病状により2回で終わっているそうです。

     あなたは何をを考えなくてはならないか
     あなたは何をやらねばならないか
     あなたは何をやってはいけないのか

    ジャーナリストの視点に立ち、世の中全体の論調が一つ方向で進んで行くときに、立ち止まって真実を自分の視点で考え直し、互いに論をなすことの重要性を繰り返し述べています。

    憲法問題、日本人と愛国心、メディアとジャーナリズム、国家の行方情報化社会の中の知、講義の焦点は多岐に及びます。2008年の講義録ですので、その後世の中はリーマンショックと世界規模の景気後退に入りました。この前後で世の中の論調は新自由主義の支持から、景気後退後の再検討、再批判と180度転換しているようにも思います。

    小泉チルドレン、小沢チルドレンではないですが、メディアが作り上げた虚像をそのまま信じてしまうリスクを、自分の頭で考え回避せよと論じられている気がします。

  • 著者の遺作となった本書。「若き友人への手紙」と称された連載は2回で終わることになり、本書のほとんどの部分は大学講義からの文字起こしが中心となっている。その分、新書としてはまとまりがない印象を受けたが、氏のジャーナリズムに対する姿勢、情報化社会に対する目は参考になった。「知の三角形」の概念は常に意識しておきたいところ。

  • 昨年の衆議院選挙前から読んでいましたが、やっと読み終わりました。
    知らなかった視点をつつかれた心境。
    崇拝する程ではないものの、筑紫さんのような報道マンはいなくなったなあ、と寂しく思いました。
    内容が今も問われている問題点だったことに驚く。3・11の影響の大きさもさることながら、民主党政権時代一歩も前進していなかったとは。
    安倍政権での中国・韓国との交流に一抹の不安を抱えつつ、それでも日本国の前進を願わずにはいられない。

  • 物事をわかりやすく、さまざまな角度から検証できている。こういう視点を持っている人が亡くなってしまったことが残念。もう少し彼の著書を読んでみようかなと思う。

  • 筑紫さんは新聞→雑誌→テレビと主要なメディアを渡り歩いてきた珍しい存在で、落ち着いた口調の中にも確固たる意思を感じる人でした。
    中で書かれていることは日本の将来に対する不安。2007年に書かれた本ですが、不安は的中しています。(あの当時みんな不安に思っていたことだろうけど)日本はよくなっていません。震災を経てさらに悪化の一途をたどっています。
    提言のように政府がやるべきことの順序を理解して問題解決にあたってもらいたい。日本の病気は以下の3つ。全く納得です。
    ・経済の破綻(金借りすぎ)
    ・人口の減少
    ・教育の崩壊

    非常に心に残った一言
    「学ぶことは具体的な問題を抽象化すること」
    コンピューターにはできないことだと思います。人間の存在意義。その人が必要だと思われるためにはこのような考えが必要だと強く感じました。

  • 生前の筑紫哲也さんについて全く知らなかった。
    皮肉な事に彼の最後の本が、私が最初に読む彼の本となった。

    報道の最先端にたつ人は何歳になっても実にエナジェティックだ。
    実際に報道の現場で働いている人を見ていてもそう思うし、メディアからも感じる事が出来るし(中にはそうでないものもたくさんあるが)、この本を読んでもそう思う。

    きっと筑紫さんは常にエネルギー全開で毎日邁進する存在こそが若者であると考え、病に倒れるまで大学で教鞭をとっておられたのだろう。(田原総一朗もそういってた。)

    何歳になってもそのエネルギーを探求する力こそが彼をここまでの人物に築き上げたのだと思う。
    彼自身も、「ジャーナリストに必要なものは、探究心と好奇心」と断言している。
    ものごとを一元論的に断言することを疎う彼がそういうのだから、そう信じるしかない。

    話を本のコンテンツに戻そう。

    合計11章からなる極めて読みやすい新書であったが、中でも6章「雑誌と新聞をめぐる指摘ジャーナリズム論」9章の「血の三角形という考え方」には圧倒された。

    この本の中で、筑紫さんは情報化社会によってものを考え感じる能力が個々の中で低下している現状に警鐘をならしている。
    このような類の説はあちこちで聞かれるが、彼が訴えると胸に響いてしまうのはどうしてだろう。
    それも筑紫哲也という人間がもつ目には見えない力がもたらすものであろう。

    この一冊に、今から私たちの世代が勉強しなくてはいけないこと、身につけるべきセンスなどのエッセンスが凝縮されている。情報や感情に流されず、自分の軸を常に持ちつつ事象を考えることの素晴らしさを筑紫哲也は訴え続けけていた。

  • 筑紫哲也さんのメッセージ本。

    かれの杞憂が正夢にならないよう、

    僕ら若者はもっと考え、進んでいかないといけない。

    日本という贅沢なフィールドで自殺する人がいてはいけない。

    世界の人を幸せにする義務は先進国にあると思う。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:304||T
    資料ID:95090296

  • 筑紫さんといえば立派な大人のイメージがある。こういう大人がいるのがなんだか嬉しかった記憶がある

  • 現代日本が抱える問題の中でも,特に周辺諸国や先進国の中での立場に重点を置き,そうした中で浮かび上がる日本人像の特徴,及び昨今の変容を説いている.こうした背景にあるものとして,芸術や日常使う言葉といった部分で,それとはっきり分からない形で浸透していくグローバル化・画一化,或いは段々と権力に飼い慣らされつつあるジャーナリズムの現状に対し,筆者自身の体験を踏まえつつ警鐘を鳴らす.その上で,そうしたものに流されず自律して判断・思考を行う,またその為に必要な知識を収集・獲得していく重要性を訴えている.

    生前の講義内容を出版社側が編集した内容が中心.本職がジャーナリストということで,全体に精神論めいた主張で終始してしまっているのも如何なものか,と思うところはある.しかしそうしたものの根拠を芸術に見出しているところが,個人的には印象に残った.

  • これを読んで、社会に出ること、大人になることが少し怖くなった。けれど、その片鱗でも今学ぶことができてよかった。

  • 筑紫さんがなくなる前に、集英社のPR誌「青春と読書」に連載を始められていた。「若き友人への手紙」ところが、2回の連載を終えたところで逝ってしまわれた。まだまだ書きたいこと、言いたいことが頭の中にいっぱいあったことだろう。本来なら本書はその連載が終わった段階で刊行される運びとなったのだろうが、仕方なく、2003年から2008年にかけて大学で行われた講義をもとに編集されている。本書には、現在この国がおかれている状況、そしてそれに対してどうして行くべきなのか、自分の頭で考えて行動するというようなことが書かれている。それに感じ入るところは多々あったのだけれど、それよりも何よりも、1年に映画を400本以上観るというところに私の心はひっかかってしまった。私は、映画はほとんど観ない。それでなくても、読みたい本が多すぎて、自分が読むスピードよりも早く本を購入してしまうため、本はたまる一方。これで、映画を借りてきて観始めると時間がいくらあっても足りない。それでも、本書を読んでいくらかは観てみたいというものもあった。何とか時間を見つけよう。流行語のくだりでおもしろかった話。空気が読めない人のことを「KY」と呼んだけれど、KYなら「空気が読める」と読んでもかまわないのではないか。その通りだ。中身はもっと重要なことでいっぱいです。ぜひ読んで筑紫さんの最後のメッセージを受け取ってください。

  • 筑紫哲也氏の文字通りの最後のメッセージ。
    細かいことは省略するが、一つ一つが心に染みる。
    影響を受けたと言うのはおこがましいが・・・
    Warm Heart and Cool Headを本当に貫いた人なのだろうと思う。

  • 筑紫哲也氏の真骨頂としての考えがまとまっている。
    社会性に対して非常に考えさせられます。
    癌で亡くなられてしまい、シリーズの途中で、録音ベースにしたものを編集してできたと作品。

  • とても読みやすく、本当に講義を受けているようでした。

  • 名著。しかも平易。今こそ読む本ではないだろうか(2013.9)

  • 筑紫さんは朝日新聞社記者、朝日ジャーナルの編集長をを経て、長年にわたりTBS「筑紫哲也 NEWS23」のメインキャスターとして活躍なされました。2008年、他界しました。

    「日本人とは何者か」。日本人とは、自分がなんであるかを、まるで説明しない民族です。そのなかで、ほとんど唯一例外的に外に向かって自己説明したのが、新渡戸稲造の「武士道」です。
    「武士道」は1900年に英語で書かれたものです。奈良本辰也さんという著名な歴史学者の翻訳で読まれた方が多いと思うんですが、「自分とは何者か」を考えて武士道に辿り着くというプロセスが書かれた本です。
    戦時中に当然この「武士道」は特別な読まれ方をしました。それがこの「武士道」という本についてまわったある種の宿命だったと言いましょうか。
    これから死ににいくという時にどうしたらいいのかを考えるのに、この本は非常に大事だったわけです。戦争という極限の場で、自分の命を捧げるための精神的な拠り所にする本として使われ、戦後は忘れ去られていたんですが、今再び、また悪用が始まっているんじゃないか、という恐れを感じています、
    この本が書かれた動機、「武士道」というものを考えてみようとした動機、ここ数年、この本が小さなブームになっている動機、そういうものには共通したものがある。つまり、「自分は何者か」という問いに対する答え探しです。

    新渡戸は旧制一高の校長もやりました。その校長を辞める時に、サミュエル・ジャクソンの言葉を引用して辞任演説を締めくくっています。それは「愛国主義は悪党の最後の隠れ家である」というものです。これ、痛切に今も生きていると思います。
    国を愛するということは、悪いことでもなんでもないと思っています。でもそれが地球環境の問題やいろんな問題を考えた時に過剰に出てくるのは、自分にとっても世界にとってもプラスにならない。愛国主義とは、そういう両刃の剣だということをきちんと認識しておいたほうがいいと思うのです。

    本書は愛国主義、憲法改正、国家論、ジャーナリズム、教育など筑紫哲学というべき考えが書かれています。

    筑紫氏を表す言葉として「死してこれほど喜ばれる人はいない」といわれることもあります。
    これはある意味ではジャーナリストとして評価されているのではないでしょうか。
    この言葉の真意がどうあれ、日本に本物のジャーナリストが少なくなったのは間違いないでしょうね。

    今日、11月7日は筑紫さんの命日になります。
    筑紫さんは、今の日本の現状を、天国でどんな事を思いながら見ているのだろう。

  • 気になった部分を抜粋します。
     「映画というものをまともに咀嚼しようと思えば、演劇についても文学についても、ましてやその映画の背景の世界の歴史についても、もっと言えば人間とは何なのかということについても理解する能力が必要になる。」
    ――

     筑紫さんは、この「若き友人たちへ」の中で、文化や歴史について学ぼうとしない、あるいは学校で習うことしか学ぼうとしない若き友人たちに対して警鐘を鳴らしているのだろうか?
    しかし、時代は目まぐるしく変化し、「人間とは何なのか?」という根源的な問いを放置したまま構築された新しい価値観が次から次へともたらされており、文化や歴史について駆け足で学んだところで個々の哲学を構築するための手がかりになるとは思えない状況である。
    「ノーブレス・オブリージュ」「高い身分にはそれに伴う義務がある」という考え方ですが、これからの時代は、文化や世界の歴史について広く深く精通し、人間とは何なのかということについても考えを巡らせることができる人が、社会に示唆を与える義務があるのかもしれない。

  • 自分を若き友人だと思って読み始めましたが、
    どっちかというと、私は著者の側に近い気がしました。
    つまり、おっさん化が急速に進んでいると言うことです。
    この本を読んで、若い人と話す時の参考になった気がします。

    主張の内容は、いつもの感じだと思うのですが、
    著者はとても面白い人物だったのだろうなと、今更ながら思いました。
    何しろ、あまりテレビで見たことがなかったので。

    あとがきの代わりに、著者の16歳の時の作文が掲載されていますが、
    16歳らしい内容が、16歳とは思えない文章力で書かれています。

    こういう少年がああなるのか、と、
    そこが一番興味深かったかもしれません。

  •  筑紫さんの最後のメッセージが綴られています。
     話題は多方面にわたり,楽しく読み進めることができます。今までの著書と同じように,本書で気になった映画や本なども取り寄せたくなりました。
     人が学ぼうとする時一番大切なのは「好奇心」,それから「探究心」であるという指摘には,賛同します。
     本書の最後には,あとがきのかわりに筑紫さんの高校時代の作文が掲載されていて,筑紫さんの原風景を見た思いがしました。

  • 実は高校の先輩。

  •  筑紫さんは生前、流行語 「KY」 についての批評をしています。

     「この国の歴史のなかで、これだけはあなたたち若者が引き継いで欲しくはないと私が思い続けてきたもの、それが 『KY』 に濃縮している思考なのです。」 とあります。しかし病のためこの続きは書かれることはありませんでした。

     「空気読めよ」 と突き放して、鋭く刺すような脅迫思考を他者に向ける、若者の思考に対して不安を抱いているように思いました。

     この本では、憲法や国家の事、日本の現在の問題点を挙げています。そして情報社会の中で自分はどう見たらいいのかという視点を獲得する重要性を伝えています。
    今の時代・世間に対して自分の考えや見解をもつ、その方向への思考を促してくれた本でした。

  • 「静かな哲学的ストライキ」
    社会への消極的参加・不参加という方法で、経済成長を前提とした日本の社会システムを連鎖的に破壊する。

    「合衆国憲法修正第一条(ファースト・アメンドメント)」
    言論・出版・集会の表現の自由

    「判官贔屓」
    日本人の心情の中にある弱者に対する肩入れ。「勧進帳」

    「バンドワゴン効果」
    賑やかで面白そうなところへみんながついていく、という現象。
    日本人の中で強まっている。

    「axis of evil(悪の枢軸)」
    枢軸=ファシズムへの連想
    言葉とは単に単語ではなくて、そこにこめられた意味が重い。

    「視点」
    デモ隊側から状況を撮ろうとすると、警官隊がデモ隊におそいかか構図になる。逆側にカメラを据えればデモ隊がこっちを襲ってくる。

    「メディアのコングロマリット化による問題」
    上の会社に都合の悪いことが簡単に抑えられ、記者やディレクターたちは意欲を失う。

    「情報源の秘匿」
    法的には保障されていない。
    しかし、それを隠れ蓑にしてなにかをでっち上げることも可能。

    平野啓一郎「文明の憂鬱」
    愛国心=人間の自然なところから生まれてくる心情
    国家主義=作られたもの

    「知の三角形」
    情報・知識・知恵(判断力)

    日本の財政状況はEUに入る基準をクリアできない。

    世間で言われてることに懐疑心を持つことは大切だが、そのなかに正しい答えが絶対にあるんだ、と考えることについても懐疑心をもつことが重要。

    「ええじゃないか」
    先が見えないという閉塞状況のなかで、先が見えないなら踊っちまえ、という状況。

    今までの文明の歴史のなかで、地方をめちゃくちゃにして栄えた都市なんてない。

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若き友人たちへ―筑紫哲也ラスト・メッセージ (集英社新書 515B)の作品紹介

愛国主義は悪党の最後の隠れ家である。本書の中で筑紫さんが語る言葉の一つである。誰もが反対しづらい美辞麗句、思わず振り向いてしまう大きな声には注意が必要だ、という意味である。二〇〇三年から二〇〇八年にかけて、筑紫さんは早稲田大学と立命館大学で主に大学院生に向けた講座をもっていた。その中で再三伝えようとしたのは、情報や情緒に流されることなく自分の頭で考えることの素晴らしさであった。この一連の講義録をもとに、本書は構成された。「若き友人」を「日本人」と置き換えてもいい。筑紫哲也さんからの最後のメッセージである。

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