- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087205152
感想・レビュー・書評
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自分を若き友人だと思って読み始めましたが、
どっちかというと、私は著者の側に近い気がしました。
つまり、おっさん化が急速に進んでいると言うことです。
この本を読んで、若い人と話す時の参考になった気がします。
主張の内容は、いつもの感じだと思うのですが、
著者はとても面白い人物だったのだろうなと、今更ながら思いました。
何しろ、あまりテレビで見たことがなかったので。
あとがきの代わりに、著者の16歳の時の作文が掲載されていますが、
16歳らしい内容が、16歳とは思えない文章力で書かれています。
こういう少年がああなるのか、と、
そこが一番興味深かったかもしれません。 -
筑紫さんの最後のメッセージが綴られています。
話題は多方面にわたり,楽しく読み進めることができます。今までの著書と同じように,本書で気になった映画や本なども取り寄せたくなりました。
人が学ぼうとする時一番大切なのは「好奇心」,それから「探究心」であるという指摘には,賛同します。
本書の最後には,あとがきのかわりに筑紫さんの高校時代の作文が掲載されていて,筑紫さんの原風景を見た思いがしました。 -
筑紫さんがまだ朝日ジャーナルの編集長だったころに、年末年始の郵便配達アルバイトをしていて、たまたま著者の家に郵便物を届けていた。そんなこともあり親近感を感じていた。なのでこの本もかなり好意的に読んだ。
この本は大学の講義をまとめたものなのでとてもわかりやすい。取りあげている題材が小泉政権時のものなので、若干古いが、日中韓のナショナリズム問題の構図が簡単明瞭に書かれている。この当時は靖国問題だが、現在の尖閣諸島や竹島と構造は一緒だ。中韓のナショナリズムを非難している日本も実は同じ問題を抱えている。政権の末期が三国ともたまたまこの時期に重なった。政治家の人気取りのためにナショナリズムを高揚させてはいけない。日本人も冷静になったほうがいい。
著者は新聞、雑誌、テレビとメディアを歩いてきた経験故に、それぞれのメディアの強みと弱みを語っている章も興味深い。週刊誌のいいかげんさにはあきれ返る。情報源の秘匿を盾にとり、虚偽を繰り返す姿勢はまさに言った者勝ち。週刊誌はメディアじゃない。
良くも悪くも筑紫さんのように主義主張をはっきり述べるキャスターは今いない。肯定するにしろ否定するにしろ、ある程度のたたき台を提示してくれないと素人は考えるきっかけがない。ニュースは聞き流すものではなく、ちょっと待て!と素通りを許さず視聴者にの前に立ちふさがって欲しい。最近の司会者は番組を無事に終わらせることだけに終始している。漠然とした物足りなさはそこから来ているように思う。
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実は高校の先輩。
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筑紫さんは生前、流行語 「KY」 についての批評をしています。
「この国の歴史のなかで、これだけはあなたたち若者が引き継いで欲しくはないと私が思い続けてきたもの、それが 『KY』 に濃縮している思考なのです。」 とあります。しかし病のためこの続きは書かれることはありませんでした。
「空気読めよ」 と突き放して、鋭く刺すような脅迫思考を他者に向ける、若者の思考に対して不安を抱いているように思いました。
この本では、憲法や国家の事、日本の現在の問題点を挙げています。そして情報社会の中で自分はどう見たらいいのかという視点を獲得する重要性を伝えています。
今の時代・世間に対して自分の考えや見解をもつ、その方向への思考を促してくれた本でした。 -
「静かな哲学的ストライキ」
社会への消極的参加・不参加という方法で、経済成長を前提とした日本の社会システムを連鎖的に破壊する。
「合衆国憲法修正第一条(ファースト・アメンドメント)」
言論・出版・集会の表現の自由
「判官贔屓」
日本人の心情の中にある弱者に対する肩入れ。「勧進帳」
「バンドワゴン効果」
賑やかで面白そうなところへみんながついていく、という現象。
日本人の中で強まっている。
「axis of evil(悪の枢軸)」
枢軸=ファシズムへの連想
言葉とは単に単語ではなくて、そこにこめられた意味が重い。
「視点」
デモ隊側から状況を撮ろうとすると、警官隊がデモ隊におそいかか構図になる。逆側にカメラを据えればデモ隊がこっちを襲ってくる。
「メディアのコングロマリット化による問題」
上の会社に都合の悪いことが簡単に抑えられ、記者やディレクターたちは意欲を失う。
「情報源の秘匿」
法的には保障されていない。
しかし、それを隠れ蓑にしてなにかをでっち上げることも可能。
平野啓一郎「文明の憂鬱」
愛国心=人間の自然なところから生まれてくる心情
国家主義=作られたもの
「知の三角形」
情報・知識・知恵(判断力)
日本の財政状況はEUに入る基準をクリアできない。
世間で言われてることに懐疑心を持つことは大切だが、そのなかに正しい答えが絶対にあるんだ、と考えることについても懐疑心をもつことが重要。
「ええじゃないか」
先が見えないという閉塞状況のなかで、先が見えないなら踊っちまえ、という状況。
今までの文明の歴史のなかで、地方をめちゃくちゃにして栄えた都市なんてない。 -
故筑紫哲也氏の穏やかな低音ボイスは、とても聞きやすくて好きだったのですが、この本はちょっと物足りないですね。
9.11以降の世界情勢と日本の政治状況を、筑紫氏が怒り、憂う内容の本です。
講演を記述化したものなので仕方ないのでしょうが、話があっちこっちに飛んで読みにくく、また彼以外でも言えた・言える内容だと思い少々不満。
怒ったり憂いてるばかりじゃだめだし、ヘゲモニー争いを考えてもダメだし、革命することばっかり考えてもあかんのです。
どういった制度設計が必要なのかっていうのを考えないと。