自由をつくる 自在に生きる (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205206

作品紹介・あらすじ

自由とは何だろうか。それは、単に義務がない状態のことではない。何でもしてよいと放り出された状況のことでもない。自分の思いどおりになること-これが「自由」なのだ。当たり前に思えるかもしれないが、このことの深い意味を知る人は少ない。しかし、これに気づくことが、人生をよりよく生きるポイントなのである。真の意味での自由を知り、自在に生きる。その秘訣について、人気作家がわかりやすく論じる。

感想・レビュー・書評

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  • 文章自体はとても分かりやすいし長くもないのだけど(1時間程で読める)、本書に一貫するメッセージは何か、というのを咀嚼しきれていない。もう少し時間がかかる気がする。

    第1,2章で書かれていた『大多数の人は他者から与えられた課題という支配を好むものだ』という要旨のことはよく理解できる。
    子どもの頃、夏休みの宿題で計算ドリルは得意だったけど読書感想文や自由研究は苦手だった。自分で研究課題や課題図書を決めるよりは与えられた問題を解く方が楽だったからだ。今では違う。大人になって、より自由な人間になれたということなんだろう。

    最終章である第5章「やっかいなのは自分による支配」は分かりやすかった。ここに作者のメッセージが一番込められてると思うし、この章だけでもこの本を読んだ意味がある気がした。

  • タイトルに惹かれて手に取った。思ったよりも具体的に書かれていて、うんうんとうなづきながら読了。特に印象的だったのが、以下のくだり。
    自由でいるためには、油断をしていてはいけない。いつも、何が自由なのか、と意識していることが大切だ。それは、まるで、海に潜って綺麗な光景を眺めるときに似ている。上下左右どこへもいける自由を感じるけれど、手足を止めてしまうと、あっという間に浮かんでしまい、海上へ引き戻される。
    というところ。なるほど、捉え方がわかりやすくて秀逸。具体的にイメージできた!

  • 同意しかなかった。今まで感じてきたことをうまく言語化してくれた感じ。
    最後の方にある「守ることよりも攻めることが自由なのである。」という言葉、私が応援しているサッカーチームの思想そのものですな。

  • 理系ミステリィというジャンルを提起した森博嗣氏のエッセイ。
    2009年発行。

    最近のミステリ作家さんは、副業として作品を書いていても大ヒット作を飛ばすタイプの方が何人かいらっしゃるが、氏もその一人だった。(今は作家が本業だけど、それも趣味のため最低限に絞ってる状況だそうよ。)

    以前氏のブログをよく読んでいたのだけど
    その生活スタイルの規則正しさに、とてもまねできないと思っていた。
    仕事から帰って、何ページ校正、何ページ執筆とか平行して少しずつノルマを進める、と当たり前のことを当たり前に淡々とこなす。
    イレギュラー対応はどうしてるのか…
    ま、それはスケジュールも早い者勝ちで後回しか、それで待てないならバッサリ切り捨てるか。そういう自己コントロール力がすごい。しかも待たせる作品をしっかり提出してくるところもすごい。

    本書の内容としても、自由って何ぞや。自由(自在)に生きるにはどうすればいいか、淡々と氏の経験をもとに考察が語られる。

    学校に行ったり仕事したり家事をしたりする毎日は自由ではない(かもしれない。)
    では、何も予定のない休みの日、掃除しようと思ったのにダラダラ寝てしまった。それは自由だったから、そうなってしまったの?
    いやいや、それもやろうと思ったことができなかった、自分の眠いという欲望に支配されてしまって自由じゃなかったよね、ということだ。
    むしろ、自分の選択で学校に行って勉強したり、仕事したりしてるならば、それは自由に生きてることに他ならない。

    そもそも現代社会は自由なようで実は暗黙に支配に満ちている。
    常識もそのひとつ。
    情報に駆り立てられ、やらなくちゃいけないと思っていることは本当にやらなくちゃいけないこと? 自分が本当にやりたいこと? 情報は常識にとらわれていないか? 年齢のせいにしてないか?
    自分の気持ちに正直になって、行動を律していくことは強靭な精神力も必要だと思うけれど、実は、その先に「本当の」自由があって、自分というものをコントロールできなくては自在に生きることはできない。

    高校生や大学生向けな本ではあるが、たぶん彼らがこの本の内容が腑に落ちるのは、もっとずっと先で、ピンと来ないかもしれない。
    30代くらいの働き盛りにはジャストミートするか。
    でも私みたいな40代オバちゃんでもこれ読んで、まだまだこれからだよと発奮できる。

    納得いく生き方がしたければ、自分を律することだ。流されてはいけない。
    何かに追われて充実のない毎日をおくってると感じる人は一読してみるといいかもしれない。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「自分を律することだ。」
      拍手!
      判っちゃいるけど、ついつい流されている。何とかしなきゃ、、、
      「自分を律することだ。」
      拍手!
      判っちゃいるけど、ついつい流されている。何とかしなきゃ、、、
      2014/02/17
  • この本の登録数に比して、レビューの少なさ・レビュー文章の短さが
    全てを物語っています。
    それくらい感想を言葉には変換しにくい一冊です。
    決してつまらない訳ではありません。

    ただ、そう……本著の一文を借りるなら、『言葉にすることで失われる情報は
    必ずある』ということ。
    感想を言うことで、この本から受けた大切な印象が、自分の中で形を変えてしまうことを
    既に読んだ者は恐れているのです。

    ぜひお手に取って、実際に自分で読まれてみてください。
    読みたいと思ったら読める。読もうとする。
    それが自由をつくるということ。



     

  • 「真っ白な心で感じる素直な感性は、努力をしなければ維持できない。」という一文が強く心に響いた。

  • 同じ物事を観点を変えて見ることの大切さが描かれていた。
    本当に重要な事は抽象的である。ピンポイントで応用の利く考え方などないのだろう。
    数年後改めて読んでみるとまた違った感慨を得る様な気がする。

  • 森博嗣のエッセイは面白い。大学で務めていたこともあって、学生に伝わるように言葉を選んで書いている姿勢も好き。

    本書のメッセージはいたってシンプル。「人生の目的は自由である」ということにつきる。
    自由とは何か。なぜ自由に生きられない人が多いのか。何に支配されているのか。どうしたら支配を乗り越えられるか。というふうに展開していく。
    自分自身自由に生きているつもりだったが、まだまだだと痛感した。この言葉をずっと憶えていたい。
    p188「自由でいるためには、油断してはならない。いつも、何が自由なのか、と意識していることが大切だ。」

  • 森博嗣の本はミステリィを含め、大体読んできているが、
    この本を含む3部作が一番好き、というかわかりやすい。

    彼によると、そもそも自由というものは、
    何ものにも制限されないことではなくて、
    自分で考えたとおりに行動するということである。
    その、「考える」ことを忘れていやしないかと問いかけられる。

    その上で、自由を制限する支配というものが、
    自分の外にも中にも存在することを意識し、
    その枠をとりはらっていく必要がある、と経験談を含め語られる。

    あぁ~面白い。

  • 森博嗣さんの作品(まだスカイクロラシリーズのみだけど)が好きなワケがなんかわかった。
    深いところでちょっと似ている部分を持っているからだなって思った。
    この本を読んでいてそう感じた。

    もちろん、私は森さんほどの域には全然達していないので、
    似ている部分といってもたぶん浅めのゾーンのみ。
    だから、自分のスタイルに近いものがわかりやすく文章化されていて、
    そしてさらに深みがあるこの本は、
    自分を理解するものとして機能しちゃった。

    「うん。そうなんです。」
    もたくさん。そして、
    「あ、なるほど。それ気をつけないとなんですね。ああ、意識してなかった。」
    っていう内容もあちこちに。
    (引用はそのどちらかに該当していて、記録したいものを書き出してみた)

    抽象的な話をされているのに、すごくわかりやすいし、すらすら読める。
    不思議。
    これも森博嗣マジック?!なーんて。

    大好きな本です(^ー^)/*

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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