「独裁者」との交渉術 (集英社新書)

  • 集英社
3.43
  • (6)
  • (21)
  • (25)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 214
感想 : 34
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205251

作品紹介・あらすじ

冷戦後、世界の安全保障の枠組みが激変するただ中で、カンボジアPKOやボスニア紛争の調停をはじめ、国連が主導した一九九〇年代の平和活動を指揮した日本人がいた。もっとも困難な立場に立たされた交渉人-明石康は、シアヌーク、ミロシェヴィッチ、カラジッチといった現代史に名を残す政治家・ナショナリストたちと、どのように対話し続けてきたのか?バルカン半島の現場を熟知するジャーナリスト木村元彦が、一年間にわたって連続インタビューを敢行。誰よりも苛烈な現場を潜り抜けてきたミスター・アカシの交渉テクニックに迫る。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【由来】
    ・図書館の新書アラートで明石康。久々だと思ってその本の概要を見てみたら明石著作でこんなのがあったので興味を持った。ちょうど「独裁者のためのハンドブック」を読んでるところでもあるし。

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】

  • 平明で読みやすい文章であったが、盛り込まれた内容は非常に充実している。国連という立場からの平和構築について、現場的な観点から生々しく回想されている。カンボジア、旧ユーゴ、スリランカにおける、私でさえ知っているような政治リーダーたちとの和平交渉の記録は、極めて貴重なものだと思う。明石さんの鋭い観察眼により捉えられた指導者像は、興味深かった(特にシハヌーク、ミロシェヴィッチ、カラジッチ、ムラディッチについて)。
    明石さんは、特定の主体に対して肩入れしないポリシーを貫徹し、しかしながら相手の言い分・立場・背景を尊重しながら交渉を行った、慎重、冷静、柔軟、相対的、戦略的、現実主義的な調停者であったことが伝わってくる。終盤に語られる交渉者論についても、読者にとって一社会人としても非常に参考になるものだろうと思った。また、明石さんの決断力、多角的な行動力、思考の明晰さと一貫性、そして高潔な人柄については、個人的には大いに尊敬したいと感じた。
    (一応、自分用のメモとして補足する。本書はあくまでインタビュー形式により行われた「回想録」であり、学術的な観点から資料として用いるには困難が伴うことは否定できず、使用する場合には細心の注意が必要とされると思う。あくまでPKOや和平交渉の舞台裏についてと、明石康さん(の個人的な考え方)について、大まかに知るための予備知識的ツールに過ぎないことに留意しておきたいと思う。)

  • PKOについて改めて勉強できた!

  • カンボジアやユーゴでのPKO活動の指揮を執った明石氏へののインタビュー。紛争地域のリーダー達との、生々しい調停の有り様が語られている。ナショナリストや独裁者など、どんな相手にも敬意を払い客観・公正に物事を判断している姿勢が印象的。「国益」を重視する政治家や外交官と、地域の和平や独立を最終目的にする国連という立場の違いが見えて面白い。特に欧米からは、その慎重姿勢が批判された明石氏ではあるが、それに対しては弁解も反論も示さず、客観的に自分の判断基準のみを振り返っている。ただし、幾多の交渉相手の中でも、ニューヨーク(国連本部)のビューロクラシー(官僚主義)が、一番手強いとも言っていてた。

  • 著者の体験談が中心。書いているのも本人ではなく、インタビューの文字おこしであり、交渉術として体系化も整理もされていない。国際政治の舞台裏に興味があるならいいのかも。

  • 元国連事務次官の明石康さんが、紛争国の指導者達といかに交渉し、平和を目指してきたかが書かれている本。書かれている内容にうそがあるようにも感じなかったが、どうしても自分に都合のよいことしか話していないようにも感じた。

    まあ、独裁者だろうがなんだろうが(この本に出てくる人を独裁者と呼んでよいのかどうかにも疑問が残るが)、一人の人間として話し合うことは出来るということがわかる。

  • 日本人初の国連職員、明石康氏が国連での平和維持活動などでの経験について、ジャーナリストの木村氏のインタビューに答えるかたちで進んでいくもの。

    『「独裁者」との交渉術』と銘打っているが、どちらかというとカンボジアやユーゴ、スリランカでのPKOの経験について語っている部分が大部分である。

  • 111216by国際平和  大阪にも一匹おる狂った醜い下品な独裁者

  • タイトルを忘れて読んだ方がいい。交渉に必要なのは説得力でも発言力でもなく、聞き取る力。「言うこと聞かないと武力行使しちゃうぞ」じゃアメリカだもんね。国連がそうなったら、国連じゃなくなってしまうもの。

  • カンボジア、ユーゴスラビア、スリランカのそれぞれで、国連又は日本を代表して紛争の解決や平和の構築に尽力した明石康氏へのインタビューをまとめたもの。
    「あらかじめ敵を想定しない」氏の不偏的な姿勢、想像力や感受性、共感力をもって自己抑制を利かせながら相手と接していく姿が、調停者としてあるべき姿を示しているように感じた。

全34件中 1 - 10件を表示

明石康の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×