ウツになりたいという病 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205466

作品紹介・あらすじ

今や国民病になってしまった感のあるウツ病。ウツ病自体は投薬や治療が必要な病気だが、最近、薬も治療も効果をあげないウツ症状に悩む人が臨床の場で増加している。この新しいタイプの症状の多くは従来のウツ病ではなく、本人のアイデンティティに根ざした問題や、過度のポジティブ・シンキング信仰、また人格障害に起因する"ウツもどき"が多いという。本書はこの新しい症状を従来のウツ病との比較の上で、三つの類型にわけ、臨床例をまじえながら分析。そして、この「ウツになりたいという病」への処方箋をわかりやすく提示する。

感想・レビュー・書評

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  • あと1週間で数年ぶりに社会復帰することになり、不安に駆られて図書館へ向かって手に取ったこの本。読みやすく、その場で一気読み。
    ウツ病は「心の風邪」というより「脳の病気」だと私は認識している。本書で定義されている「ウツもどき」は状況に応じて現れる抑うつ症状、言うなれば「心の風邪」に近いものを指していると思う。

    読みながら既に、この場合はどうなんだろうこっちには当てはまらないんだろうか自分はなんなんだろう…とぐるぐる悩んでいる自分がいる。
    私はあんまり頭が良くないのではっきりとは分からないけれど、少なくとも大学時代に自分が陥っていた状態は「ウツもどき」に当てはまるかもしれない。
    それに気がついていたなら、もう少し違う人生を歩んでいたか…?とも思う。褒められたもんじゃない葛藤だらけの青春時代だって、それはそれで無駄ではなかったのかもしれないけれど。
    あーーみんな当たり前に頑張ってるんだから私も頑張らなきゃな、と焦っている。

    心身が重くて何もできず自己嫌悪に駆られている方には向かないかもしれない(本書には例として社会的成功者が頻繁に出てくるため。)ものの、
    心が沈んだ時の対処法等も載っており、個人的には興味深い一冊。

  • テレビで見て気になっていた「植木理恵」さんの本。
    メンタル的にちょっと落ち込んでいた部分もあり、ヒントになればと購入。

    とても分かりやすい文章で読みやすかった。
    読むことで本質的に何かが解決するとまでは思えなかったが、参考になる部分はあると思った。

    読んでやってみたいと思ったこと。
    ・自分にとっての「最高の状態」を考え、何を望んでいるか考えてみる
    ・ストレスが溜まったときは「ゆがんだ思考グセ」を考え、冷静になる

    <印象に残った言葉>
    ・ 経済的に負けても、人生そのもので勝つという生き方はいくらでも本当はあるはずなのですが、そうした価値観を日本人はあまり持っていないのですね。競争社会ということで言えばアメリカもそうですが、単に経済的な勝ち負けなんかで人生を振り回されないような、宗教的なものも含めた多様な価値観を彼らは個人、個人が持っているのだと思います。(P26)

    ・ ウツもどきの種類
    1 ウツ病というラベルを貼られることを望む「ウツになりたい病」
    2 アイデンティティの不安定さからくるウツ病的な症状
    3 10〜30代の女性に急増している新型ウツ(P48)

    ・ 自分にとって「最高」の状態を考えてみる(P75)

    ・ 嫌なことがあった時には少しでも早く忘れようと思わないで、反対にそのことをじっくり考えることにしています。心底、辛いことはうめくような気持ちになりますが、そこで気分転換をしようなどと思わず、しつこく何時間でも一晩中でも考えるのです。そうしているとだんだん「もういいや」とい気分になってくるのですね。考えることに飽きてくるわけです。結果的にはそのほうが早く嫌な状態から抜け出すことができるのです。(P113)

    ・自分の調子が悪く考えが偏ってきたなと感じた時は、手帳を開き「ゆがんだ思考グセ一覧表」を見ながら自分を戒めるようにしているのです。
    1 大げさに考える拡大解釈
    2 黒か白かをはっきり分ける
    3 相手に対する心の読み過ぎ
    4 先読みし過ぎる
    5 結論の飛躍
    6 感情の重視
    7 「〜すべき」思考にとらわれる
    8 自己関連付け
    (P156)

  • 猫や犬に矛盾はない。
    矛盾は人の専売特許。
    それは人が言葉をつかうから。

  • ・ポジティブシンキングばかりでは実は精神的によくない。
    ・ネガティブになったときは素直に受け入れ、しっかり向き合う。(無理に明るく振舞わなくてよい)
    ・不安なときは何も考えないことはよい。
    ・1日に10分、人間のつくっていないもの(自然のもの)をぼんやり眺めるとよい。(by養老孟司さん?)

  • 「私ウツだわー」なんて愚痴交じりに言う人から、実際お医者さんから診断を受けた人まで、「ウツ」だという人が多い今日この頃。
    ウツみたいだけど、今までのウツとは違う新しい症状が拡大しているそうです。
    興味深かったのはポジティブシンキングと「ウツ症状」の関係性。ポジティブシンキングが行き過ぎると心に「前向きにならなければ」という圧迫がかかり、ウツ症状が悪化してしまうことがあるとのことです。ちょっと意外でした。気をつけねば。
    調子のいいときもそうでないときも、ありのままの心の状態を正直に見つめることが大切なのかなと思いました。

  • すごく簡単な文章で書かれている

  • 同著者の文庫本『シロクマの…(以下、略)』を読了後、古本の百円コーナーで偶然本書を見つけたので、こちらも読んでみました。誤解を受けそうなタイトルですが、中身はウツ症状や新型ウツに焦点を当て、それらも適切なケアが必要な病として捉え、従来のウツ病と比較しながら、どういったアプローチやセルフケアが有効かということがまとめられています。文庫と被る部分もありますが、色を使ったセルフカウンセリングは日常生活にも取り入れやすそうに思えました。

  • タイトルに惹かれて購入。非常に勉強になった。

  • [private]自分はウツじゃないかと不安に思っている人は読むと違うんだと気がつけるかも。
    でも、違うんだと気がつける、思える人はもしかして・・・なのかも。[/private]

  • そういう人について……というより自分自身に対して予防線を張る意味で読んだ。軽いタッチでわかりやすく書いてある。これは良くも悪くもだと思うけど、難しく考え過ぎないという意味ではいいような気がする。

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著者プロフィール

心理学者

「2020年 『サクセスフル・エイジング しあわせな老いを迎える心理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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