- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087206210
感想・レビュー・書評
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「窓辺で手紙を読む女」の修復が終わったからこの本の解釈もかなり変わってくるんじゃないかな…個人的には修復後の方の絵が好きだったな。静けさはないかもしれないけど。
それと展覧会にあったオランダの絵でやたらと犬が書いてあった理由も判明して納得した。これも鶏を売ってるのとほぼ同じ理由だったのか…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今や日本人のとっても好きな画家のトップクラスに入るフェルメール作品について、「静かさ」という切り口で問いかけていく、中々に面白い企画である。
使用された素材(アズライトよりも鮮やかなラピスラズリ(ウルトラマリンブルー)、構図、削除・抑制のよる描き方、光そのものの捉え方、その光が当時のオランダ特有といえるような光であるなどなど非常に興味深い。
それにしても筆者は勿論調べているのであろうが、フェルメール作品の静謐さのピークというのを『青衣の女』と捉えているように思える。
フェルメール作品を全て見たことはないが、成程その静謐さが凋落していく作品にあって、フェルメールの置かれた環境や体調など大いに影響があるに違いないものと納得してしまう。
そういうことならば、画家という者は常に描いていないといけないということを、いや画家に限らず芸術に関わる者は、そのものに対して真摯に向き合わなければならないということを想像させられる。
この著書でフェルメール作品自身が、まるで一つのあるべき芸術へと昇華されるに至る、静謐な光明を辿っているみたいであり、それは儚く脆いものであること、しかしその先にある現代作品の革新的で普遍的な表現であることを思わせられる。 -
何でもそうですが、絵画鑑賞には周辺知識が必須。それが絶対的に不足していると痛感しましたわ。
それにしてもデルフト眺望はmasterpieceと呼ぶに相応しい。 -
フェルメールはなぜ"静謐の画家"と呼ばれるのか。
分析の対象として
《窓辺で手紙を読む女》
《牛乳を注ぐ女》
《窓辺で水差しを持つ女》
《青衣の女》
《真珠の耳飾りの少女》
《天秤を持つ女》
《真珠の首飾り》
といった作品がメインで取り上げられています。
フェルメールの絵画が静かに見えるということについて、色、構図、描かれた女性、意味(寓意)、光を手掛かりにしながら、著者なりの仮説が提示されます。
様々な要素からの解説は、フェルメールにとどまらず、あらゆる絵画を見る時の参考になるものもあり、鑑賞の一助となる本かと思います。 -
フェルメール巡礼者の私だけど、もっと知りたいとどんな本を読んでも、さらに謎は深まるばかりです。
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フェルメールの絵は何度か観にいったことがあったけど
こんな見方もあったとは!
「牛乳を注ぐ女」の窓はほんの少し割れている。
これが一番印象に残りました。 -
大事だよね謙虚さって。自分がちょっと調子のいいときは、ついつい大きな声を出してしまいがち。そんなときに客観的・俯瞰的に自分を見れるかどうか。この本を読んでふとそう思った。
フェルメールの絵は凛として静謐。フェルメール絵画の「静けさ・静謐さ」にスポットをあてた新書。主にピーク期の絵中心。青衣の女あたり。
著者はアートライターらしいけど、自分みたいなミーハーにわかファン目線で書いてくれているから、とても面白く読めた。新書としての役割は十分まっとうしている。
今年はマウリッツハイス展もあるから、フェルメール関連本いっぱい発売されそうな予感。