- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087206289
作品紹介・あらすじ
福島原発事故の直後にCNNでレベル7を指摘したガンダーセンは、スリーマイル島原発事故も含め、原発トラブルについての豊富な知識と経験を持つ。福島をめぐっても、情報が錯綜する中で的確な分析と警告を公表し、注目されてきた。三号機や四号機の潜在リスクも指摘している。隠された事故の真因とは何か?今後起こり得る危機には何があるのか?どのような対処が可能なのか?漏洩した膨大な放射性物質の健康への影響は?米専門家が福島第一原発の深刻な現状を明らかにし、安全な未来への糸口を探る。
感想・レビュー・書評
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#2970ー27ー265
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とても示唆的。危機は去っていない。
著者の主張通り、核の扱いは、人類と言う種の時間スケールではコントロールできない事象だ。よくこんなもの実用化したもんだ。
・2011年3~5月に使用された車のエアフィルターをレントゲンフィルムで捉えた写真があります。シアトルは一分間で11.7μR(1μR/h=0.93cpm)、東京は18.9、福島市は199。違いは一目瞭然です。福島県から送られた車のエアフィルターをマサチューセッツ州の研究所で測定すると、放射性物質として破棄しなければならない水準まで汚染されていました。整備士たちの健康が懸念されます。また、車が燃焼のために取り込む空気は平均で人間の呼吸と同量ですから、住民への悪影響は免れないでしょう。
・アメリカではネバダ州に計画されていた処分場が実現しそうにありません。一見すると砂漠ですが、わずかな降水量による湿気でも、長年にわたれば金属と反応したり、放射能を運んだりすることが懸念されます。100年なら深刻な問題を引き起こさないと思われる水も、数千、数万年となれば話は別なのです。温められた地下水が容器に影響を及ぼすかも知れませんし、ガラス固化技術も確実だと証明されていません。
人間に長寿命核種の問題を解決できる力が備わっていると考える傲慢な態度は、恐ろしいとしか言いようがありません。人類の時間スケールを超えた話なのです。 -
著者はアメリカで長年、技術者として原発建設・運営にたずさわり、関連会社の役員も務めた人物。役員だった90年代に、原発の運営状況、安全管理の甘さに疑問を持ち、監督機関であるNRCに内部告発したところ、逆に業界を追われ、反原発派に転じた。
本書は、簡潔かつ具体的に、福島原発各施設の現状と問題点、これから起こりうる事態をまとめてある。
特に役立つのが、著者の専門分野である施設の構造の解説。福島各号機の構造的な欠陥を、アメリカの同構造の原発と比較しながら分かりやすく説明する。
東電発表の「現状報告」などと引き比べると、なかなか興味深い。手元に置いて、その都度参照しようと思う。
本書で最も驚いたのは、原発は無事故どころか、ご本家のアメリカにおいて、スリーマイル以前にも以後にも、頻々と事故が起きていること。そして、複数の犠牲者を出したかなり深刻な事故でも、我が国ではほとんど報道されていないのではないか(少なくとも私は全く知らなかった)ということだった。 -
米国の原発技術者である著者による福一の解説です。米国の原発の状況と、日本の状況を社会的な面も含めて解説されています。ムラの状況は国変われど同じで、どこも隠蔽体質であることを指摘されています。「明るい未来」とされ宣伝されてきましたが、今に至っては過去の遺物であるとされ、同意できると感じました。放射能を有する物質のその取り扱いについてすでに人類は持て余していて、後先考えずにこれまで利用してきたことを、一人ひとりが反省すべきと感じました。
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「福島第一原発-真相と展望」アーニー・ガンダーセン著・岡崎玲子訳、集英社文庫、2012.02.22
190p ¥735 C0236 (2019.03.29読了)(2018.05.30購入)(2012.03.12/2刷)
【目次】
はじめに
序章 メルトスルーという新概念
一章 事故の真相とマークⅠ型のリスク
二章 福島第一原発の各号機の状況
三章 廃炉と放射性廃棄物処理
四章 深刻な健康被害
五章 避難と除染の遅れ
六章 原発の黒い歴史
七章 規制と安全対策
八章 脱原発に向けて
おわりに
主要参考文献
☆関連図書(既読)
「原子炉の蟹」長井彬著、講談社、1981.09.10
「神の火(上)」髙村薫著、新潮文庫、1995.04.01
「神の火(下)」髙村薫著、新潮文庫、1995.04.01
「恐怖の2時間18分」柳田邦男著、文春文庫、1986.05.25
「チェルノブイリの少年たち」広瀬隆著、新潮文庫、1990.03.25
「原発事故を問う」七沢潔著、岩波新書、1996.04.22
「朽ちていった命」岩本裕著、新潮文庫、2006.10.01
「原発労働記」堀江邦夫著、講談社文庫、2011.05.13
「ホットスポット」ETV特集取材班、講談社、2012.02.13
「ルポイチエフ」布施祐仁著、岩波書店、2012.09.27
「死の淵を見た男」門田隆将著、PHP研究所、2012.12.04
「災厄福島原発1000日ドキュメント」ニュートン編集部、ニュートンプレス、2014.04.07
「知ろうとすること。」早野龍五・糸井重里著、新潮文庫、2014.10.01
(「BOOK」データベースより)amazon
福島原発事故の直後にCNNでレベル7を指摘したガンダーセンは、スリーマイル島原発事故も含め、原発トラブルについての豊富な知識と経験を持つ。福島をめぐっても、情報が錯綜する中で的確な分析と警告を公表し、注目されてきた。三号機や四号機の潜在リスクも指摘している。隠された事故の真因とは何か?今後起こり得る危機には何があるのか?どのような対処が可能なのか?漏洩した膨大な放射性物質の健康への影響は?米専門家が福島第一原発の深刻な現状を明らかにし、安全な未来への糸口を探る。 -
2012年28冊目。満足度★★★★★著者はエンジニアとして全米で原子炉の設計、建設、運用、廃炉に携わり、米エネルギー省の廃炉手引書も書いた人物。福島原発の深刻な現状等がよくわかる。多くの人に読んでもらいたい。
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原子力について詳しい著者が語った内容をまとめたもの。
これはかなり衝撃なのですが。東電も政府も、全く信用できないのかという驚き、こんな危険な原発がこんな運用をされていたとは…
現場で点検する作業員には農業従事者が多いっていうのは、日本を含めての話なのか?これからさき原発はどうなっていくのか…? -
アメリカの原子力技術者へのインタビューの書きお越し。
4号機プールの核燃料の取り出しは、大きな余震が来る前に終了したが、1,2,3号機のプールから取り出しができる目途も立っていない。本書で指摘されている3号機のプールでの臨界発生有無も決着が着いていない。
即発臨界のおそれもあり、メルトスルーした燃料が取り出せるとは到底思えない。汚染水対策を進めてたうえで廃炉を断念するしかないのでは。