爆笑問題と考える いじめという怪物 (集英社新書)

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087206913

作品紹介・あらすじ

いじめによる自殺が社会問題となっている。なぜいじめは起きてしまうのか? いじめを起こさない学校を爆笑問題が突撃取材、さらに尾木ママ他の専門家と徹底討論! NHK人気特番、書籍化。

感想・レビュー・書評

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  • あらゆる角度から「いじめ」について考えさせてくれる本だった。
    「自分はいじめっこである」という太田光さんの告白は衝撃的ですらある。本当のことだけど誰しも認めたくない事実。自分の中にも「異質なものを排斥したい」という感情があることを正直に認めているからだ。
    「いじめ問題」に特効薬はない。結局は人間関係の問題だから。誰かと誰か、そしてそれを取り囲む人々が作り出す雰囲気、環境、そういうものがいつのまにか「いじめ」を生み出す。
    また「いじめ」と称される行動の中には、すでに犯罪の領域に達するものもあり(暴行、脅迫、恐喝など)、そういうものをひっくるめて「いじめ」として扱うのもそろそろ無理があるのではないかと思う。
    犯罪行為にまで発展してしまうのはなぜなのか。
    どうして被害者が命を絶つ事例があとをたたないのか。
    「いじめ防止対策推進法」が制定されたが、それがどれくらいの効果をもたらすだろう。
    本書の中に「自殺も形を変えたいじめの一種である」という一文があった。いじめられている現実に耐えかねて死を選ぶ人もいるだろうが、自分が死ぬことでなんらかの復讐に代えたいという願望もどこかにあるのではないか。おおむねそういう願望は叶わないものなのであるが。

    本書と「反省させると犯罪者になります」という本をあわせて読むと、ひとつの方法が浮かんでくる。
    「された方の気持ちを考えなさい」という反省を強要する方法ではいじめはなくならないのではないか、ということである。
    なぜ自分は他者を攻撃するのか。ばかにするのか。無視したくなるのか。そういうことをきちんと追求する自省の習慣を身につけることが必要なんじゃないかと思った。
    ストレスにせよ、寂しさにせよ、あまりにも自分の感情の本体を知らない人が多い。
    いじめられることに正当な理由はないが、人の攻撃欲を刺激する何かを持っていることもある。他者を攻撃したくなったときには、自分が何に反応しているのか自問自答することも大切なのではなかろうか。

    そして、そういうことができるような人間にするのが、たぶん「教育」の大きな目標だと思う。

  • この本が出た頃の太田光はまだ良かった…頷けることも面白い視点だと膝を打つこともあった.
    それが…安倍に噛みつき,返り討ちにあってからすっかり変わってしまった.

  • SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685857

  • いじめとテレビと学校とを考えるきっかけになる
    今は〜昔は〜と考えるのではなく、
    そもそもいじめじたい、いじりのやりすぎを止めなければいけない

  • いじめをなくすための特効薬はないが、いじめについての考え方の方向性を示すことを伝えたいという思いを感じた。太田光が高校生のときに友人をいじめたことを自己開示した内容は印象的。

  • 図書館で借りて読んだ。学校でいじめられて死ぬくらいなら、堂々と逃げればいいと思う。苦しみは後の人生の糧になるけれど、その人生が続けられないのなら、なんの意味もないものになってしまうから。

  • うん。面白かった。
    私も、命懸けてまで学校なんか行く必要ない!って思ってるから、いろいろ共感。
    王道は外れてないんだけど、薄っぺらい正論ばっかりじゃないのは、いじめてたって自覚のある太田さんと、いじめられてたって人達がリアルだからだろうな。

  • [ 内容 ]
    子どもの自殺をきっかけに、過去に幾度となく、いじめは社会問題となっている。
    どうして悲劇は繰り返されてしまうのか。
    そもそも、なぜいじめは起きてしまうのだろう?
    いじめられたことのある子どもたちや、“いじめ”を起こさない学校を、爆笑問題がNHK「探検バクモン」スタッフとともに現場取材、その深層を探っていく。
    さらに、尾木直樹氏らの専門家、いじめを乗り越えたゲストたちと徹底討論。
    いじめに対処する方法について真剣に議論する。

    [ 目次 ]
    生きて、問い続けよう(いじめの経験;笑いが含んでいるもの;本当は同じ場所にある ほか)
    “いじめ”のない学校探訪記―東京シューレ葛飾中学校(東京シューレ葛飾中学校とは;スタッフルーム;クラスと時間割 ほか)
    バクモンいじめ調査委員会座談会・いじめ問題を考える(いじめとは?;いじめはなぜ起こるのか;時代でいじめは変わったか? ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 日本からいじめを根絶し、問題解決することなんかできるわけない。でもそこから逃げる選択肢ならいくらでも提供してあげられるんじゃないか。それって甘えなんかな。ぜんぜんわからないや。

  • チェック項目9箇所。多くの人は、うすうす気づいているはずだ、人が集い、何かを営む時、避けがたい必然として、”いじめ”は起こる、いじめという名の怪物は、人々の心の中に住んでいるのかもしれない、いじめという怪物、それと闘う術、それはきっと、あなたの心の中にある。自殺を想像したことのある人もたくさんいると思いますが、それは全然新しくないことなんです、実行すれば、その子がどんな子だったのかという大切なことよりも、自殺したという行為のほうが残ってしまう、それは、本当にもったいないことだと思うのです。実際には、愚痴を言ってしまったりしますが、そもそもそういう制約がなかったら、仕事はなにも面白くない、いろいろな縛りがあるなかで、どうやって面白くしようかという話です。「休む必要がある時は休んでいいよ。それに家でやっていても成長できるんだよ」ということをもっと知ってほしいんです、家にいることをマイナスにしないということです。明治維新を成し遂げた人たちは、ほとんど私塾で育っているのに、そいつらが上に立つようになると、将来、俺たちみたいな優秀なやつが現れて、この政府を壊すかもしれないとびびったらしいんだよね、それで、政治にはまったく関係のない教育科目だけを外国から輸入した。休み時間を三分にして先生がずっと見張っているアメリカとか、いじめを報告させて点数を稼がせる韓国の取り組み、どう考えても間違っているよね。今だと、下手すると学校で、一緒の子たちが学習塾でも一緒かもしれない、学校でもできるできないというのが問題になり、学習塾でもそれが問題になる、できるかできないかをずっと言われていかなければならない。やっぱり、今の世の中、臭いものに蓋をしすぎちゃっていますよね、だから免疫力が育たない、たとえばバタフライナイフで殺人事件が起きた、じゃあ販売を禁止しようと、販売を禁止したってなんにもならないでしょ、それより、「人をあやめるためや傷つけるためにナイフを使ってはいけないよ」というほうがずっといい。

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著者プロフィール

一九六五年埼玉県生まれ。八八年に田中裕二と「爆笑問題」を結成。二〇一〇年初めての小説『マボロシの鳥』を上梓。そのほかの著書に『違和感』『芸人人語』『笑って人類!』などがある。

「2023年 『文明の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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