- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087206951
作品紹介・あらすじ
『TPP亡国論』の中野剛志が、TPP反対論の最前線に再び立つ! TPPは「1%」の大企業・富裕層が「99%」の我々に仕掛けた罠なのだ。この危険な条約に中野剛志らが最後の警鐘を鳴らす!
感想・レビュー・書評
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民主党政権のままでも今の自民安倍政権でも同じ結果だったと思いますが、日本はTPPへ参加しようとしています。韓国が米国とのFTAであれほど酷い「不平等条約」を結ばされているのを知りながら、それを実行するのは確信犯なのか、それとも日本独自のやり方があるのでしょうか。
私も基本的にはこの本の著者の中野氏の意見に賛成ですが、もう動き出したようで止まらないようですね。日本が変わっていくという予感が確信となった一冊だったような気がします。
以下は気になったポイントです。
・韓国企業の優位はFTAではなく為替レートによるもの、実際、安倍政権の金融緩和による円安で、韓国企業の競争力は大きく後退した(p4)
・現在の世界は、1815年(ナポレオン戦争終結=イギリス覇権成立、1919年(第一次世界大戦終結=イギリスが覇権失った年)、1945年(アメリカが覇権国家となった年、1989年(ベルリン壁崩壊=アメリカが一極主義的な戦略を取り始めた年)に匹敵する(p19、37)
・日本の成功の背景には、覇権国家アメリカの存在、ブレトン・ウッズ体制、アメリカの冷戦下の安全保障戦略、政府介入を是認するケインズ主義的経済運営等の特殊事情があった(p26)
・アメリカの会計部門は、賃金の上昇ではなく、負債と資産価値の持続的上昇により消費を拡大して需要を生み出した(p33)
・年次改革要望書は、競争政策は独禁法の大改正(2005)、商法の大改正・会社法制定、司法制度改革、郵政民営化で実現されている(p76)
・TPPのISD条項に基づけば、外国の一民間企業や個人投資家が、一方的に相手国政府を国際裁判に引きずり出せる(p99)
・アメリカは、オーストラリアは英米法の国だが、韓国は大陸法なので、韓国の主張(ISD条項撤廃)を一蹴した(p104)
・日本の保険市場は、「かんぽ」と「共済」によって健全な競争が阻害されているというのがアメリカの主張(p123)
・日本はミニマムアクセス米と778%関税をWTOで承認してもらう代わりに、ミニマムアクセスの半分の30万トンをアメリカから入れるという密約を結ばされた(p126)
・アメリカは第一(生命保険)、第二(損害保険)分野を、第三分野(がん保険)の自由化に加えて合意したが、自分たちの特権分野である第三分野の自由化を遅らせるように言ってきた(p130)
・宅配は辺地や島嶼部は郵便に委託していて、収益率の高い地域を優先
している、全国をカバーしているのは郵便ネットワークのみ(p156)
・我が国では、医療法の規定により、営利を目的とした病院等の開設は制限されている(p186)
・中世の欧州では、ラテン語が普遍的な言語だと認識されていた、貴族や特権階級は公式言語としてラテン語を用いてチア、聖書はラテン語で、教会の儀式もラテン語、学問もラテン語で記述された(p199)
・デカルトの方法序説は、フランス語で書かれた最初の哲学書と言われる、それ以降はラテン語ではなく、各地域の土着語で書かれるようになった(p200)
・森有礼の140年前の英語公用語化の主張は理解できないわけではない、明治初期の日本語は近代的な国づくりのための語彙が決定的に欠けていた(p202)
・日本の貿易依存度が低いのは、日本人の国産化能力、つまり一種の「翻訳」と「土着化」の能力の賜物に他ならない(p218)
・過去の歴史を振り返ると、グローバル化は、一直線に続くプロセスではなく、拡大する時期と縮小する時期を繰り返している(p233)
・1930年代のブロック化、保護貿易は、それ以前のグローバル化の反動として起きている(p248)
2013年9月1日作成詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
7名の方々がTPPについて反対の方向で書いているので、合意に至ってしまった現在、どうなっていくのか非常に気になる。
また、新聞・マスコミが取り上げる内容がいかに偏っているかを改めて認識。一般市民が得られる情報って限られるので、「興味を引くための内容」を掲載するのではなく、「国民が知っておくべき内容」を載せて欲しいものです。
個人的には、
・施 光恒さんの「棲み分け型の多文化共生」という考えが好き。
各国、各地域毎にそれぞれ自前のやり方があり、それらを尊重しながら、各国と交流する。良いところは積極的に学んで自国に合うように翻訳して還元する。
・やはり「日本良さって何だろう?」ともう一度考え直して、それを伸ばす方がいいんじゃないかなあ。
・一部の国、大企業、富豪、だけが潤う政策にだけはしてほしくない。1%の金持ちにしか恩恵がないとすら言われている。
もっと勉強しなきゃ! -
安保関連法制よりはよっぽど大事と思われるTPPに関する各識者の反対論
特に斬新だったのは施 光恒の指摘、以下のものがTPPにより壊されるという
①治安の良さ、連帯意識
②「ものづくり」を支える文化的基盤
③中産階級とその創造性
④多様な選択肢
これだけの識者が反対しながらTPPはとうとう合意されてしまった。どう考えてもPPは日本人にとりデメリットの方が多い気がする。今後、我々はなにをすべきなのか? -
レビュー省略
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Kindle
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[ 内容 ]
衰退するアメリカ。そのアメリカ依存から抜けられない日本。
この構図のなかで、いま、アメリカが日本を徹底的に搾取しようとしている。
それがTPPの正体だ。
TPPが日本の成長を助ける自由貿易協定だというのは真っ赤な嘘。
99%のわれわれ国民に対して、1%のグローバル企業・超富裕層が仕掛けた罠なのだ。
その内実を国民に知らせぬまま条約批准に向かって突き進む政府。
黒い条約・TPP締結後の日本はどうなるのか?
『TPP亡国論』の中野剛志とこの問題を早くから掘り下げてきた気鋭の論客たちが、TPP参加に最後の警鐘を鳴らす!
[ 目次 ]
第1章 世界の構造変化とアメリカの新たな戦略―TPPの背後にあるもの
第2章 米国主導の「日本改造計画」四半世紀
第3章 国家主権を脅かすISD条項の恐怖
第4章 TPPは金融サービスが「本丸」だ
第5章 TPPで犠牲になる日本の医療
第6章 日本の良さと強みを破壊するTPP
第7章 TPPは国家の拘束衣である―制約されるべき国家か、それともグローバル化か
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ] -
衰退するアメリカ。そのアメリカ依存から抜けられない日本。この構図のなかで、いま、アメリカが日本を徹底的に搾取しようとしている。それがTPPの正体だ。TPPが日本の成長を助ける自由貿易協定だというのは真っ赤な嘘。99%のわれわれ国民に対して、1%のグローバル企業・超富裕層が仕掛けた罠なのだ。その内実を国民に知らせぬまま条約批准に向かって突き進む政府。黒い条約・TPP締結後の日本はどうなるのか?
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7人の著者によるTPPのデメリット、危険性を説く警告書。舌足らずな部分は見受けられるが、論旨自体はそれぞれ納得がいく。TPPは国家間の交渉ではなく、グローバル企業の利益誘導という漠然とした印象は間違っていなかった。
・アメリカの「年次改革要望書」(勧告書)は国家の主権の領域に及んでいた。
・非関税障壁=規制や制度
・国民皆保険制度の空洞化(公的医療保険の給付範囲の縮小)
・長谷川三千子:翻訳作業とは翻訳される言語と翻訳先の言語との間で綿密な概念の検討が行われ、双方ともに厳しい知的吟味にさらされる過程である。外来の語彙や概念が触媒となり、土着の文化が活性化され、発展し、多様化していく。
・日本人の秩序感覚。
・日本人の創造性の高さ。良質な中産階級の存在。日本語文化の肥沃さ。
・日本は貿易依存度が低い内需大国。
・グローバル化と国家主権は両立しがたい。※国家の経済制御権の確保は安全網として重要? -
TPPってよくわからないけど、グローバル化が世の中の流れだし、交渉参加賛成!という方はぜひ。
コメなどの農業分野のみに矮小化されて報道されることが多いTPPだが、米国の狙う本丸は実は「金融」「投資」「医療」。
これらの分野が開放された場合に私達の生活はどうなるのか?締結された後、知らなかったで済むことなのか?良くなることって果たして・・・
日本のマスコミには、今後これらの分野に関する具体的でわかりやすい報道を期待してしまう?(=なんで詳しく報道しないのかといぶかってしまう)そんな内容の本です。 -
TPPの何が問題なのか、マスコミが大騒ぎするコメ問題よりはるかに深刻な問題があるのにそれが隠されている、という事実。参加をしたらとんでもないことになるのでは?と初めて危機感を持った。もっと勉強する必要性があることも痛感。