資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

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著者 : 水野和夫
  • 集英社 (2014年3月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207323

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資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)の感想・レビュー・書評

  • 本書の主張はシンプル。資本主義は利潤の追求のために市場の拡大を望む。この市場の中で”周辺”から”中心”に富の偏在をもたらす。

    このメカニズムを維持するために、はるか過去には欧州からアジア、アフリカに市場の拡大を要求した。現代では地域的な拡大不能から、米国は金融空間という市場を形成してきた。

    資本主義が生み出す富の偏在が外部にあり容認できる間は、民主主義と資本主義は良き関係にあった。しかしながら、資本主義が自分の内部に富の偏在を必要とする段階に来た今、両者の主張は共存し得ない。

    アベノミクスの主張する成長戦略、局所的には富の偏在が再配置されて成功のように見えるかもしれない。新興国に投入され続けた資本が、実態経済規模から離れていくにつれ、世界規模でみれば利潤を生まない投資が増え続けていく。すなわちバブル。

    バブルの話を聞くたびに、生息エリアが限られた中で増えすぎたレミングが集団で自決し、群れの存続を維持していくという話を思い出す。レミングは果たして海を渡り、外の世界(宇宙?)に新天地を求められるか。

    全てが”成長主義”、”絶え間ない資本の利潤追求”からくる必然であるならば、悪ではない”0成長”がもたらす社会はどのような仕組みであるのか、この答えは提示されていない。

    今まさにアメリカではFRBが量的緩和の終了に向けて舵を切り、一方で日銀はアベノミクスの成長戦略のために量的緩和を継続するという対極の政策を取りつつある。答えを見ていきたい。

  • 長期にわたる低金利は、資本を投下してももはや利潤を得られない、資本主義の死を意味しているという主張はわかりやすかった。では資本主義が徐々に終焉に向かっていく中で、中国やロシアなどの非資本主義の大国はどのような変化を遂げ、また他の資本主義国家にどのような影響を及ぼすのか、疑問が残った。
    金融のグローバリゼーションと、電子・金融空間(実物以外の取引空間)の創出により、資本は国境、または実物経済の垣根を容易に越えるようになった現代。マネタリーベースを増減させたところで一国内の消費者物価や雇用を操作することはもはや不可能である、という考え方も納得できる。ただし著者もこれほどの原油安は予見していなかったように、多方面から慎重な考察を行わないとシステムを誤った方向に誘導してしまう恐れもあると思う。
    いずれにしても主張はわかりやすく、さらなる議論が必要であると感じた。また非常に多くの学者の言葉を引用してあり、素人としては勉強になった。

  • ゼロ金利、ゼロ成長は経済の一時的な停滞ではなく資本主義がもはや正常に機能しなくなった結果だと説く。そのため、現状を打破するには従来型の成長戦略ではなく資本主義に代わる新たなシステムや価値観への転換が必要で、それは「脱成長という成長」を志向するものになる。

    民主主義と資本主義は必ずしもセットではない、ということに気付かされた。それどころか経済がグローバル化する過程で資本主義が最優先された結果、知らず知らずのうちに民主主義がなおざりにされつつあるという事実。資本主義は本質的に格差を生む性格を持っている。

    そんな資本主義ではあるが、私たちは成長という観念を捨ててそれに代わる価値観を持つことが出来るだろうか?

  • ゼロ金利、ゼロ成長、ゼロインフレ
    →投資をしても利潤の出ない資本主義の死

    資本主義は中心と周辺を作りつだすことで中心だけが利益を得る。民主主義は中心内でのみ機能するシステム

    常に過剰を求める資本主義は、ゼロ成長下で限界を迎えている。

    日本は脱成長へと前進するべき。

    西欧は理念によって領土を蒐集する帝国。ヨーロッパの政治統合は古代から続く。

  • なんで供給が飽和してる世界で、大人たちは精神削ってさらなる供給を目指すのか。高校生ぐらいから疑問に思っていた。

    それが資本主義という経済システムによるものだと理解したのは大学生の時。システムのロジックは理解したものの、やはり「物質的に十分豊かなのに、どこまで成長を目指すつもりなんだろう」と首を傾げていた。

    昔から資本主義に対してボヤッと感じていた疑念みたいなものの正体がこの本で分かった気がする。

    このまま成長路線を突き進んだら、将来産む予定の子どもは成長戦略のしわ寄せをかかえる日本で幸せになれるのかなと不安になった。

  • 資本主義は15%の人々が85%の人々を収奪することで成り立つと主張する本。そのロジックは私には分からないところが多かったけれど、感覚的には分かるような内容。以前は15%の先進国が85%の途上国を収奪していたが、現代ではグローバル化により、あらゆる国が15%の中流・富裕層と85%の貧困層に分かれるようになりつつある。世の中が貧困化すると民主主義が成り立たなくなるので、この状況は経済だけでなく政治的にも問題であり、本書によれば資本主義も民主主義も世界的にもはや「死に体」なのだそうだ。
    とはいっても、資本主義や民主主義に代わる方式が発明され、定着するには100年単位の時間がかかるので、現代に生きる我々としては、「ゼロ金利」「ゼロ成長」「ゼロインフレ」の3点セットによる定常状態(現状維持)により衰退を遅らせるのが良いとのこと。そして、これら3点セットを世界で一番早く実現しているのが、我らが日本。日本のチャンスはここにある。アベノミクスは駄目だ、と主張している。正直、内容の妥当性は私にはよく分からないけど、「ゼロ成長」という言葉には惹かれるし、これからの時代に経済成長を追い求めても駄目だろうということは直感的に理解できた。

  • ー 我々は既に死んでいるのか ー
    永らく先進国の成長を支えてきた資本主義経済。しかしそれは常に先進国の周りに周辺地域(フロンティア)があり、そこからの収奪を前提とするシステムであった。

    既に完全に成熟した日本経済で成長を成し遂げようとするならば、中間層の没落を誘引せざるを得ない。
    規制緩和、財政出動、成長戦略を基軸とするアベノミクスは資本主義の延命策に過ぎず、より大きな破滅(バブル)を導く罠であると看破する。

    今まさに、資本主義に代わる社会・経済システムが求められているのかも知れない。しかしそれは筆者からも提案されず、私にも分からない。

  • 資本主義は「トン(獣偏に貪)」である。際限無い成長を要求し、実物空間を呑み込み終え、金融というimaginaryな虚空間さえも生み出し、食べ尽くした怪物。
    「脱成長」「ゼロ成長」と聞くと、人生を逃げ切った団塊の年寄りの妄言と断じたくなるが、現実的にもう不可能だという認識を持つところから今後のシステムを考えていく必要性。
    リーマンショックと3.11とを並列にして語る箇所がいくつかあるが、そこは大いに引っかかる。金融工学と原子力工学を同列に語らないでほしい。
    作者もわからないという「資本主義の次のシステム」、願望としては利子の無い世界が創出されてほしい。あるいは宇宙に実空間を拡張するか。

  • 資本主義はもう❌なのかな

  • ①先進国、中進国の需要が飽和したこと、②それにより資本が生み出す利潤=利子率がゼロになっていること、③これまでそうならなかったのは周辺から資源を簒奪してきたからに過ぎないが、それももう限界が近いこと、④地球上でエネルギーを好きに使えるのは全人口の15%であり、これ以上の成長はあり得ないこと、の4点については説得力があり納得できる。一方で陸の国→海の国への権勢移動とか、資本主義が蒐集に適したシステムであるとかは全く共感できなかった。
    仮に資本主義が終焉を迎えているとして、著者の示唆はその先のゼロ成長を前提とした停滞社会を考え方を変えることで乗り切ろう言っているだけに思える。これまでに預金したお金も出資金と捉え直して差し出せと言うのは到底実現できない政策で暴論である。
    こうなると古典的手法である戦争と革命でガラガラポンしか解決策はないか?

  • んー。なるほど。
    資本主義のその先の世界かあ。
    今の経済状況を踏まえ、そも限界とこれから先を見据えた本。
    確かに今のやり方が上手くいっているとは思わないし。
    脱成長路線ならとって代わることも可能かもしれない。
    意外と日本は世界で初の試みができるかもしれない。
    絶望ばかりではない。希望も少しはある。

  • 本の内容どおりの金融危機が起こっている。アフリカへの投資が先日ニュースとなっていた。周辺を巻き込んだ蒐集が行われ、資本主義の最終局面の様にも思われる。無限の成長は、理論的のありえない。考えさせられる内容であった。

  • グローバル化という周辺の拡大は、長い21世紀のやり方としての、ローマの没落以来繰り返されてきた資本主義による嵬集なのである。しかし、利子ゼロパーセントでの投資が繰り返されているという事実は、ほかならぬ周辺の消滅を証明している。
    より早く、より遠くに。その時代は、より遅く、より拠点を多く。そう変わるべき一点をむかえている。

  • 先進各国で超低金利が続いている状態を21世紀の利子率革命と呼ぶ。利潤を得られる投資機会がもはや無くなった
    資本利潤率ROA=借り入れ金利とROE(株主資本利益率)の平均
    通常借り入れの方が多いのでROA=借り入れ金利となる
    利潤率の低下=設備投資しても利潤を生まない。過剰な設備。
    1974年から利潤率低下が始まった
    新たな地理的物理的空間が無くなったためアメリカは高騰したエネルギーを必要としない電子金融空間を作ることで利潤を極大化させた

  • 歴史的な潮流に合わせて、現代の資本主義について説明している。1億総中流後、過剰設備投資の状況下では経済成長率が利子率を下回り続けるのは自明の理であり、金融緩和は意味がない(逆効果)というのは非常に納得出来る。
    ちょうど、アベノミスクの金融緩和に限界が見えてきたところなので、再びこの書籍が脚光を浴びるだろうか。

    ピケティ氏も21世紀の資本論で類似の指摘をしているので、そちらと合わせて読みたい。

  • 資源国から搾取して豊かになった先進国。確かにグローバルな世界になった今では今迄のような利益を享受することは出来なくなったかもしれない。それに抗うようなアホノミクスを推し進める政府。
    ゼロ成長やゼロ金利などを受け止めていく必要があるのかもしれない。

  • 資本主義の本質とその歴史的な危機が明晰に説かれている。薄々感じていた成長信仰の危うさがはっきりした。豊かではありたいが、強欲である必要はない。

  • バブルの生成と崩壊が繰り返されていく

  • 近年の新興国の台頭や中国による経済けん引から、明らかに世界の「中心」と「周辺」の相互関係は変わってきている。たしかに新興国は潤い、資源価格の高騰は留まるところを知らなかった。その結果どうなったか?なんのことはない。実質GDPが先進国に追いつく前に中国バブルがはじけてしまった。そしていま、原油安なのに経済が後退するという奇妙な現象に直面している。そう。先進国は「周辺」を演じきることはできず、「先進国なみの新興国」というシナリオは崩れようとしている。ただ、著者が言うように、先進国だけでなく新興国までも、確実に格差社会が醸成されつつあるのは間違いない。いずれ国家と資本の利害は一致しなくなる。そのままでは資本主義の維持は難しくなるであろう。それを打破するために、著者が提唱する「強欲な資本主義の放棄」や「均衡経済」は有効かもしれない。が、決して起こりえない理想論と確信する。なぜならグローバル社会は腹黒い人間集団で形成されているから。

  • 資本主義では必ずバブルが発生し、バブルはいつか崩壊する。資本主義では貧富の差が拡大する。現在の状況はさらに深刻化していく。今世紀は資本主義の終焉になるのだろうか。

  • この本を読み終わった後、ピケティの「21世紀の資本」が 話題となり、一層確信した一冊でした。

    30年後にはアフリカを最後に開拓余地はなくなり、資本主義の終焉とともも民主主義も崩壊するというシナリオは、最近の企業不祥事とISの台頭なんかを見ても、単なる警告ではなく現実味を感じます。

    昨今の評価廃止傾向をこの文脈で読み解くと、どう説明できるのか、楽しみです。

    資本主義の基本である市場原理による分配の法則が成立しなくなってきたことが、影響しつつあるように思えます。

    最近、榊原英資さんと共著でこの延長線上の本を出版したようで、次の購読候補にいれています。

    【佐々木】

  • 特に読んで目新しい内容はなかった。リーマンショック以来このへんの論調に大きな進化はないね。国際資本の移動の自由化というものの影響がただ明確に示されてたのはよかった。投資の対象の空間の拡大(土地→金融に現代社会はシフトしてきた)はいつ食い止められるのか、あるいはその前に宇宙が新たな投資先になるのか。資本主義後のイデオロギーを明確に描かれるのはいつになるんだろう。

  • 著書では、中世ヨーロッパの価格革命(価格の高騰)、17世紀の利子率革命(利子率の低下)などの現象と現代を比較しながら、「資本主義」というシステムが終焉に向かっていることを論じている。ここに書かれていることが正しいのかどうかは、素人の私にはわからないが、
    ・資本主義は「中心」と「周辺」から構成され、すでに物理的な「周辺」はほとんど存在しない。
    ・物理的な「周辺」がなくなったため、米英は電子金融空間を作り利潤を追い求めたが、リーマンショックによりそれも行き詰った。
    ・過去には経済成長=賃金上昇であったが、現在は経済成長は資本家のためのものであり、賃金上昇には反映しない。
    等、身の回りの出来事からみても「なるほど」と思えることはたくさんある。
    実際、中国が深刻な不況を迎えた場合、世界経済は本当に儲ける場所を失い、大混乱に陥るのではないかとさえ思う。成長を追い求めた結果、格差社会や地球温暖化など、悪影響が目立つようになってきた昨今、確かに新たなシステムを早急に考え出す必要があるのではないだろうかと思わせる書である。
    ただし、この本にはその答えは出てこないし、著者も「私には思いつかない」と言い切り、あくまで本書では現状分析にとどめている。

  • 【いよいよか。】
    資本主義も地域的な中央と周辺では、アフリカ大陸(周辺)が攻略されたところで終了という気はします。
    ただ、アメリカがIT・金融という拡大できる領域を創りだしたように、アメリカ以外かもしれませんが、また新たな領域を創りだす可能性はあると感じます。

    今から100年ぐらいかけて、徐々に資本主義から次の世界へ変化していくような気がしますが、では次の世界とはどのような世界なのでしょうか。

    おそらく、資本というものがなくなるので富の差もなくなるのではないでしょうか。しかも、現在のように富というものに固執しない環境になるでしょう。さらに、雇う、雇われるという関係もなくなるということです。

    一人ひとりが自立したいわば個人事業主になることです。しかし、これは今の雇う、雇われる関係よりもシビアな環境になります。今までであれば、能力を十分に発揮できない人は雇われるというポジションで生きていくことができましたが、そのポジションがなくなるのです。これは雇われる側で生きてきた人にとってはとても厳しい状態となります。

    また、所有するという感覚にも変化があらわれると思います。「超シェア」状態ができれば、必要以上に富を蓄える必要はなくなります。なんでもかんでもシェアしてしまえば、個人で所有することに意味がなく、必要なときだけ使用するという新しい世界ができそうです。

  • ものものしいタイトルです。
    なぜ資本主義が終わると著者は考えているのか。

    もはや地球上には、市場が成熟してしまったがゆえに利潤を上昇させる隙間がないと指摘。これまでの歴史を振り返ると、利益率2%を下回る状況が長年続くと、既存の経済システムが維持できないのだという。そして今がその状態。日本に至ってはもう10年も続いている。

    中世ヨーロッパの動きと近現代を比較しているところが面白く、

    中世のヨーロッパでは農村の開拓が天井に突き当たると領主は利益が得られず没落、荘園制が崩壊→大航海時代の突入。国王が後ろ盾になって未開地の資源を搾取

    この動きが21世紀ではグローバル化によって市場が成熟し実物経済に限界が見えると、こんどは金融・ITという、非現実空間への利益追求に走る

    という形で表れている。しかしITバブルもはじけ、リーマンショックにより金融業界もすでに頭打ち。

    深刻なのは、利潤を追求するあまり、巨大化した企業はバブルがはじけても公的資金が投入されるなどで救済されるが、労働者は救済されない。また、資源の高騰で利潤が減少した分は、リストラという形で労働者が影響を受ける。最近は法人税を下げ、特区を儲け、企業がもっと動けるようにできる政策が目白押しとなっている。このうらには、企業が儲かると賃金が上がるという主張があるが、実際には大企業の1部だけに留まり、企業は設けているのに賃金には反映されていないのが現実。

    もっと広い視点では、新興国が近代化により生活水準を上げようとしても、先進国と呼ばれる国々より人口の多いこれらの国に行き渡る食糧も資源もエネルギーももはや地球上にはないため、資本主義を推し進めても全国民を豊かにすることはできない。

    このような指摘から、各国政府が推し進めている経済政策は、それが成長戦略を謳っている限り、その場しのぎの成長でしかなく長期的にみるとむしろ格差拡大、資源の枯渇をまねくだけでしかないと著者は考えています。

    次の新しいシステム構築が求められるとしながらも、著者自身はそのアイデアは持ち合わせておらず、警鐘を鳴らしているにとどまっているのですが、一つの案として消極的ではあるが成長路線をやめ現状維持に努め、次の新しい時代のために蓄えておくというものがありました。成長戦略よりもこちらの方が技術を要するのでしょうが。

    格差拡大も資源の枯渇も、本書だけでなく多くの著者が指摘しており、さまざまな視点から見ても問題大アリの成長路線です。親が子供できることを今から考えておかねば。

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資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)の作品紹介

資本主義の最終局面にいち早く立つ日本。ゼロ金利が示すのは資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」の状態。国民国家をも解体させる「歴史の危機」だ。この危機を乗り越えるための提言の書!


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