非線形科学 同期する世界 (集英社新書)

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著者 : 蔵本由紀
  • 集英社 (2014年5月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207378

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非線形科学 同期する世界 (集英社新書)の感想・レビュー・書評

  • 立秋が過ぎ、夜は少しだけ気温が下がる日もあるのか、昨晩リ,リ,リ,と虫の音が聞こえていました。

    不思議に思うときがあるのですが、小道を歩いて何匹もの虫の音を聞くとき、ずーっと同じリズムで聞こえてきませんか?まるで全員がそろって合唱しているような。実は鳴いているのはオスで、メスを効率よく誘うために、互いの鳴き声を”聞いて”リズムをそろえているのだそうです。

    これは生物の世界のお話しですが、様々な現象(物理であれ、化学であれ、人の行動であれ)の中に、個としてはばらつきを持つ振動が、集団のなかにあるとひとつの振動に収れんする現象が”同期”であり、本書の中心となるテーマです。

    様々な現象から抽象化された変数間の関係を扱うのは、数理科学の世界ですが、一見異なる世界の中に基本的な法則を見いだせるのは、エンジニアとして大変興味深い内容です。

    ・橋を渡る人の同期による、橋の揺れの増大
    ・マングローブの森に、大集団で明滅するホタルの群れ
    ・二つならんだローソクの炎のゆらぎの連動
    ・真正粘菌の集団での移動
    ・個別に脈動する心筋細胞集団の連動

    様々な事象が”振動個体間の相互作用と同期”という概念で説明されています。

  •  蔵本由紀氏の著作は2冊目です。
     本書では、マングローブの木に群れるホタルの明滅等の生物界における「同期現象」だけではなく、振り子時計の同期やローソクの炎の同期、電力の送電ネットワークの同期等、さまざまなジャンルにおいて見られる類似現象をとりあげ、その発生原因等を平易に解説しています。
     本書における「同期」や著者の前著における「カオス」のような概念は、異分野を横断的に統合する力を持つもので、その研究の進展はとても楽しみですね。

  • メトロノームの振り子、ホタルの明滅、橋を歩く群衆の足取り…。バラバラにリズムを刻むミクロレベルの個体が多数集まると、それが何であろうと自然はマクロレベルの大きなリズムに纏め上げてしまう。これらの同期現象がもつ「全体が個別の総和としては理解されない」非線形の不思議さを、生物学、人体生理学やロボット工学等における事例を挙げながら分野横断的に記述してゆく。

    著者によれば、このような同期現象が生じるには、自らの活動が他の個体(部分)の活動を沈静化(or賦活化)し、その結果他の個体の活動が自らの活動を賦活化(or沈静化)するというフィードバックシステムが必要。しかもこのシステムが瞬時に働くのではなく、ある程度のタイムラグを要するとのこと。

    これってなんだか投資行動にもアプライできそうだ。すなわち各投資家が資本投下する際、以前行った投資や他の投資家の収益率からフィードバックを受けながら投資先や投資量の選択を行うのだが、このフィードバックにタイムラグが生じるがゆえに過度のブルとベアが生じる。そしてこの両極を行き来する形で投資行動にリズムが生まれ、この各投資家のリズムがマクロレベルで同期して相場の「波」を形成する…。違うかな?

  • 隣り合う振り子が同期する現象からはじまり、メトロノーム、ロウソク、コオロギ、カエル、ホタル、橋、電力ネットワーク、心拍など、様々なところに見られる同期現象について。その道の第一人者が数式をほとんど使わずに語る。中央集権的なコントロールではなく、それぞれのユニットの意志で動いて、全体を統率するという非線形科学の考え方は、組織のコントロールにも通じるのだと思う。

  • あらゆる場面で表れる同期振動の数理について,数式を使わずに紹介。著者は「蔵本モデル」で知られるこの分野の第一人者。
    個々の振動子の動きが互いに引き込まれ,あるいは反発して揃っていく現象が,物理に限らず化学,生命,社会にまで見出だされることは興味深い。
    固有振動数の異なる多数のメトロノームの揺れが揃っていく様を映した人気動画があるけど,あれにおおっ!と思った人は一度読んでみる価値あり。

  • 【「教職員から本学学生に推薦する図書」による紹介】
    中津川誠 先生の推薦図書です。

    <推薦理由>
    ミクロからマクロ、物理から生物といった広範囲にわたる現象の不思議さや面白さが感じられる。

    図書館の所蔵状況はこちらから確認できます!
    http://mcatalog.lib.muroran-it.ac.jp/webopac/TW00357909

  • 以前読んだ同著者・同新書『非線形科学』の続編みたいな科学読み物。
    前著はテーマが漠然としすぎて非常に味が薄く印象のない本だったが、こちらはテーマを「同期現象」に絞り、一転楽しい読み物になった。文体も前のとはちがってわかりすくなっており、これは担当編集者がかなり頑張ったのだろう。
    ハヤカワ文庫の『Sync.』と同じテーマなのだが、それとはまた別の具体例がたくさん列挙していて、読んでいて面白い。
    互いに作用し合う「全体」と「個」との関係性についての部分は、とても共感した。

  • 何万匹ものホタルが同時に明滅する、吊り橋上を歩く集団の歩調が自然に揃って橋が大きくたわむ……これら驚くべき現象はすべて「同期(シンクロ)現象」によるものだ。
     同期現象は単に奇妙な現象というだけではない。心拍や体内時計といった生命維持活動にも関与し、最新のロボット制御システムの鍵を握るなど、実は我々の生命や社会を形作る上で欠かせない物理現象なのだ。しかし従来の科学手法では解くことができず、「非線形科学」の最新研究によって明らかになったのだ。
     著者は同期現象を記述する「蔵本モデル」を編み出したこの分野の第一人者。本書は我々の身近に起こる同期現象を数式を使わずに解説しつつ、世界を支配する知られざる法則を解き明かす。
    「集英社新書」より

    さまざまなところに現れる現象を「同期」を共通項に説明する.一つの分野だけでなくさまざまな分野を駆使し、分かりやすく説明している.

  • 私たちが「リズムの中で生きている」ということに改めて気づかされると共に,同期(シンクロ)現象の不思議さに惹きつけられます。世の中の不思議は,この現象として,これからもどんどん明らかにされていきそうです。

  • 同期現象を扱ったものとしては、スティーヴン・ストロガッツの『Sync』が有名である。生命の世界において、非線形の同期現象が想像以上に多くのところで出てくるという。この本でも、『Sync』にあった蛍の同期発光、メトロノーム、心臓のペースメーカ細胞など同じものが紹介されていたりする。その他にもローソクの炎、パイプオルガン、ロンドンのミレニアムブリッジ、酵母の解糖反応などが挙げられる。

    著者は、「蔵本モデル」 と名付けられた同期現象を説明するための数学的なモデルというものを提唱している。本書でも、同期現象を固有振動数や位相と相互作用の概念を使って説明する。部分の総和が単純な総和を超えて全体として発現する創発の理論にもつながるのだろうが、このあたりの複雑系のモデルはわかったようでわからない。もう少し複雑系の話をわかりやすく説明してくれているとありがたいのだけれども。



    『Sync』のレビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4150504032

  • 同じテーマの本『Sync』を以前に読んだが,内容としては重なっているところが大きい.こちらにしかない同期現象の例も多く,特に生体内部での例が興味深い.

  • 世界にリズムがあって、共振していると言う事を科学的に解説していく本だが、ある程度科学的素養がないとだれるし、読みづらくて仕方がない。

    第1章とか分ける必要がないと思う。後ろの索引も申し訳程度で、専門用語のせいで文脈も捉えづらい。

    まあ、内容は興味があるので星3つ。
    興味がなければ星1つ。

  • [ 内容 ]
    なぜ何万匹ものホタルの明滅が完全に揃うのか…etc.
    驚異の現象「同期」の謎を解く。

    [ 目次 ]
    第1章 身辺に見る同期(ホイヘンスの発見―二つの振り子時計は共感する;国の命運を左右する時計の精度 ほか)
    第2章 集団同期(ミレニアム・ブリッジの騒動;歩行の同期はなぜ起きたか ほか)
    第3章 生理現象と同期(集団リズムとしての心拍;揺らぐ心拍 ほか)
    第4章 自律分散システムと同期(中枢パターン生成器(CPG)が担う身体運動
    ヤツメウナギの遊泳 ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • あまりに素晴らしい。信号機の自力分散の研究とかすごくしたいな。あとは、人体の中の同期とか時計細胞のディテイル。新書的よろこびに満ちた本。自己が同期に関連した概念だっていう私のドテカンまで説明してくれると良かったけど。

  • 前作の「非線形科学」はどういうわけか最後まで読み通せなかった。難しくて。途中から何も頭に入ってこなくなったからだったと思う。今回も第3章辺りは苦しかったけれど、何とか乗り越えて最後まで行った。何よりも、具体的な話でおもしろいものが多かった。コオロギやカエルの鳴き声、パイプオルガンにロウソクの炎、ミレニアムブリッジ、そしてメトロノーム。ユーチューブで見ました。メトロノームの同期する様子を。むちゃくちゃかわいい。小さなメトロノームが。少しずつそろっていく。ところが、いつまでも周りにテンポを合わせられないヤツがいる。そいつがむちゃくちゃかわいい。でも、最後にはみんなちゃんとそろって右左右左と首を振る。で、この映像を見ていく中で、長さの違う振り子を同時に降り始める実験を見た。これは感動的。正面から見ると振り子の重りが、少しずつずれて行ったり、そろい始めたり、最小公倍数で元に戻ってまた繰り返していく。数学的にはどうなっているのか。実に興味深い。

  • 分解し、総合するだけが科学ではない、と。

  • 臓器、細胞の同期→「第三の脳」「皮膚感覚と人間のこころ」(「幼少の帝国」「脳はすすんでだまされたがる」)

  • 【非線形を線形にしたい】
    今や世にあるほとんどの課題は非線形です。

    原因と結果が一対一にならないものを非線形という言葉で片付けてしまえばいいわけです。
    いろいろな答えが出るよくわからない、非線形な問題ですと。

    便利な言葉です。非線形な問題ですと言えば問題が解けた気がきます。

  • メトロノーム、ロウソク、コオロギ、カエル、ホタル、橋、電力ネットワーク、心拍…同期している世界は身近に溢れている。

    ミクロな状態の線形和で説明出来ないマクロの世界は非常に興味深い。簡単には説明出来ないにしても、様々な同期によって安定性が成立している事実は揺るがない。

    もしかして、、もっと大規模、例えば地球科学規模での同期はないだろうろか。または、人間が社会的であるということも他者との同期を求めるメカニズムに立脚しているのではないかなどと妄想を膨らませるキッカケとなる面白い本である。

  • もう少し数学的な説明がほしいところだが、新書ならばやむなしか。

  • 本屋でたまたま見かけて、おもしろそうに感じたので手に取ったのですが、結果として大正解でした。
    隣り合った2つの振り子時計やメトロノームの振り子が自然に同期する不思議から始まって、ろうそくの炎、こおろぎの鳴き声、体内時計、ミレニアムブリッジ、蛍、電力ネットワーク、心拍、電気うなぎ、インシュリン分泌、パーキンソン病、動物の歩行、ミミズやアメーバーの移動、信号機のネットワークと、実に何の脈絡もなさそうな幅広い分野の現象を「同期」「リズム」の観点から共通するイメージを見事にくくりだし、これを利用した自律分散型制御系の構築可能性まで、実に壮大なビジョンを提示してくれています。
    短い読みやすい本ですが、知的好奇心を大いにくすぐられる実にエキサイティングなものでした。

  • 非線形科学に再度チャレンジ。今回再読。入門書として非常に興味をいだくような書き方をしているのでよいと思う。ただ、ここから先に進むべきかどうかは思案中。

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非線形科学 同期する世界 (集英社新書)の作品紹介

メトロノームがリズムを合わせて振れる、何万匹ものホタルが同時に明滅する…など、世界にあふれる「同期現象」の数々。実は人間の生命維持に関与するなど、知られざる重要な物理法則を解読する。


非線形科学 同期する世界 (集英社新書)はこんな本です

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