儲かる農業論 エネルギー兼業農家のすすめ (集英社新書)

  • 集英社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207576

作品紹介・あらすじ

実は農業こそ最も確実な成長産業である。それを実現するのは農家が小規模の発電所を経営する「エネルギー兼業」というスタイル。さらに食料自給率の低下や地方の荒廃まで一気に解決する道筋を探る!

感想・レビュー・書評

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  • 大崎Lib

  • 6次産業化とエネルギー兼業で日本の農業、地域経済を活性化させようという本。わかりやすいし読みやすい本だが、、そううまくいくのかな?でも方向性はそうかな。

    日本の農業、規模で差が大きく開けられていて、諸外国との生産性の差は大きい。今の規模を幾分集約して零細からの脱却は必要であるが、諸外国の規模、集中メインフレーム型では勝負にならない。米に特化、単一化、大規模化(中途半端な)は結果的に間違い。
    地域分散・ネットワーク型へ。
    またプロダクトアウト→マーケットインも。
    6次産業化、食品加工や流通までやってしまう取り組み。

    農地から、循環型エネルギー施設への置き換え。地代がかなり違うので、下手すると優良な農地まで転換されてしまうのも困る。
    農地の間(畦)に追尾型の発電とか。

    それらを組み合わせる、日本独自のやり方を提唱したいという本。

  • ○経済学者の金子氏と元農水官僚で民主党のブレーンでもあった武本氏の作品。
    ○現在の農業・農村政策への批判と、新たな農業(兼業農業)としてのエネルギー兼業の提案を行っている。
    ○現在の農業の衰退や兼業農家否定への対案、大規模専業中心主義への批判などは、一部理に適っている部分もあるが、再生可能エネルギーを一方的に推奨するのは、やややりすぎな印象。
    ○FITは、あくまでも一時的な政策に過ぎないので、それを前提として地域を支えるというのは、ちょっと安易。

  • 観念的。農業論?

  • 専業農家ではなく、兼業農家を目指そう。それも、エネルギー業と兼業する「エネルギー兼業農家」となることで、利益を出そうという主張の本。

    工場の期間工など、お金が地域外に流れるものや、農業との相乗効果が期待できない兼業ではなく、エネルギー業と兼業することで、お金を地域で循環できるようになり、地域コミュニティの活性化にもつながり、農業にも相乗効果が期待できるようになる。
    確かに、農業という季節や年により不安定な収入に、エネルギー収入という安定的なベース収入を兼ねることで、ポートフォリオが格段によくなる。

    ただし、本書でも以下のように触れているように、誰がエネルギー兼業化を推し進めるのかという問題がある。
    「しかし、6次産業化にせよエネルギー兼業にせよ、個別の農家がやるには負担が大きく、地域ぐるみでないとうまくいかない面もあります。その意味では、農協や農協系金融機関、地域の市民ファンドや地域金融機関の役割が大きくなります。」

    個人の農家では限界があるし、効率もよくない。そうなると、ある程度の規模のある農業法人か、個別の農協等が推進していくということになる。
    となると、それはもはや農家の兼業を推進するのではなく、農家の集約化、企業化を推進すべきという話になってくる。

    本書でも認めているが、ある程度の農地の大規模化、集約化、集積は必要である。
    ただし、そもそも日本の国土は狭く、アメリカ並みの大規模化は図りようもないため、中規模へ集約化し、中規模の農地に合った生産方法を取っていく必要がある。

    本書の前提として、個人経営の農家ではなく、集約された農家集団として、エネルギーなど農業以外の他産業も手がけるべきではないかといった議論があったほうがよかったように思う。

    また、農家の集約化ということであれば、ひとつの方法として、農協の活用も有効だと思う。
    近年、JAが何かと叩かれているが、JAにもメリット・デメリットはある。
    メリットを生かしつつ、デメリットとなってしまっている部分を削減していくことで、エネルギー兼業農家や、六次産業化を推進するための中心となれるのではないかと思う。
    何といっても、農協は、既に複数農家を取りまとめて、地域のハブとなっていることも多い。
    新規にゼロからコミュニティを作ることは非常に難しいが、既にあるものを利活用することで、コミュニティの形成が比較的容易にできるケースも多いのではないかと考えている。

    農業、食、エネルギー等、日本が抱える様々な問題に興味がある人におすすめの一冊。

  • 農業+小規模発電=エネルギー兼業農家で地方創生、というキャッチフレーズは魅力的だ。しかしそのコンセプトの提示に終始して、具体化する方法論に乏しい。そこが残念。

  • 20141108 これからの日本にとって大事な事。片付けないといけない課題なのに、目先のどうでも良いことをやっているように思われる今の政治を変えないと。大事な事が何かわからない人を選んでいる訳ではないのだが。選挙の仕方から変えないといけないのかも。

  • 固定買取制度が揺らぐ今、この本の前提は崩れているので。。。

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著者プロフィール

金子 勝(かねこ・まさる):1952年、東京都生まれ。経済学者。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学社会科学研究所助手、法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現在、立教大学経済学研究科特任教授、慶應義塾大学名誉教授。財政学、地方財政論、制度経済学を専攻。著書に『市場と制度の政治経済学』(東京大学出版会)、『新・反グローバリズム』(岩波現代文庫)、『「脱原発」成長論: 新しい産業革命へ』(筑摩書房)、『平成経済 衰退の本質』(岩波新書)、『資本主義の克服』(集英社新書)ほか多数。

「2023年 『イギリス近代と自由主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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