孤独病 寂しい日本人の正体 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087208061

作品紹介・あらすじ

社会構造の激変により血縁や地縁をベースにしたコミュニティは消え、個人はネットと現実の間に頼りなく浮かぶような孤独な存在になった。気鋭の精神科医が現代日本人を悩ます孤独と寂しさの正体に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • とても興味深いタイトルに惹かれ手にとりました。
    が、読み終わった瞬間に
    何が書いてあったのか思い出せないという
    不思議な本でした(笑)
    たぶん、どこかで聞いたり読んだりしたことのある事例や解説ばかりだったからだと思う。
    日本人は孤独と引き換えに、
    地縁血縁の煩わしさから解放され
    自由を手にしてきたのだ。
    自由だけれど孤独じゃないなんて両方を望むのは、そりゃ無理なんだから
    そこから一歩踏み込んだ学術的な見解が読みたかったなと。

  • 孤独病 寂しい日本人の正体。片田珠美先生の著書。孤独病に侵されている日本人は多いと思う。承認欲求や自己顕示欲求を満たしたいのは孤独病が根底にある。人と人との縁や人間関係が希薄になった孤立無援な孤独社会。孤独を満たしたいから、寂しいから、承認欲求や自己顕示欲求を満たすための言動をしてしまう。片田珠美先生による日本社会への警鐘を鳴らす良書です。

  • 現代日本人にとっての孤独の構造や孤独の癒し方など、孤独とどう向き合っていくかという本。薄く浅くわかりやすく解説してくれている。

  • ■功罪相半ばするのがネット空間だということを忘れてはならず。ネットによってくすぶっている欲求不満や悪感情が多少とのガス抜きされてる反面,ますます負の感情を増幅させ,時にはそれを現実の世界で発散してしまう人が少なくない。
    ■自我が表出する人格というものも,一つだけではなく,幾重にも重なり合っている。
    ■「小人閑居して不全をなす」という言葉があるが,人はっ日まで考える時間がたくさんあると,ろくなことをしないもの。現実にやることが色々とあった方が,あれこれ思い煩わずにすんでいい。
    ■「潜在能力は無限」といった考え方にどこか惑わされている。
    ■勉強に関しては,スポーツや芸術などとは比較にならないほど大きな幻想を抱いている人が多い。勉強ができなければ「努力がまだ足りないせい」と思いやすい。
    ■社会から鷹揚さが失われてしまったのはなぜか。「気遣い」の副作用もある。気遣いを強いられる社会の在り方が社会の余裕のなさをもたらしているように見受けられる。「おもてなし」が典型。
    ■日本人は気遣いが行き過ぎて,それがマイナスに作用しているのではないか。気遣いも過剰になれば他人に対して寛容さが失われたり,人間関係に不必要に神経過敏になったりする。
    ■「愛をもらえない」と孤独に喘いでいる人は,自分が他人のために何かをしてあげることが損だと思っている。
    ■自己肯定感が強い人は孤独に対して強い
    ■内閣府の「子ども・若者白書」の意識調査によれば,日本の若者は欧米先進国の若者と比べて自己肯定感が弱く,現在にも未来にも悲観的で前向きに生きようとする意欲に乏しい。
    ■自己肯定感は二,三歳の時期から子供のころにかけて培われるもの。叱られてばかりいて,厳しくしつけられた子供は自己肯定感を持ちにくい。
    ■親の支配力が強いせいで欲求をいつも抑えられた子供は自分の存在を親から受け入れてもらっていないと感じやすく,自己否定感が深く根を張って自分をなかなか肯定できない。
    ■自立をあまりに強いられると人によっては孤立したり,孤独病へと追い込まれたりしかねない。
    ■日本人の自我は世間とか集団といったものを前提にした曖昧な性格を持っている。
    ■自己責任は行きすぎると反転して他責に変わる危険もはらんでいる。
    ■日本人にとって自己責任とは「人様に迷惑をかけるな」という意味。
    ■生きるということは誰かに迷惑をかけることであり,誰かに依存することに他ならない。少しずつ人に依存しあい,少しずつ迷惑をかけ合いながら,人は人と繋がっていることを忘れてはならない。
    ■ノーベル平和賞受賞者の医師にして神学者でもあるアルベルト・シュバイツァーはイエス・キリストの奇跡的なエピソードや預言者的な言動が一種の妄想に基づくものであることを示唆するいくつかの論文を学位論文の中で紹介している。
    ■宗教というものが多かれ少なかれ,妄想を土台にしてできているとするなら,人類の歴史において妄想が果たしてきた役割は途方もないものになる。
    ■「妄想」の条件
    ①不合理な内容である
    ②不合理な内容であるにもかかわらず本人がそれを確信している
    ③周囲が訂正を試みても,本人は強く信じ込んでいて訂正不能である
    ■「病識の欠如」は妄想患者にしばしば認められる。
    ■フランス人の傲慢さは彼らの超個人主義的な考え方と表裏一体の関係にある。そういう気質はしばしば旅行や留学でパリを訪れた外国人に強い疎外感を抱かせ,深い孤独へと追いやる。その状態が長く続くと,現地の文化や習慣に適応できず,鬱に近い「パリ症候群」になりかねない。
    ■国内の「引きこもり」は300万人を超えていると言われる。海外にもいるが日本は桁違いに多い。女性に比べて男性が圧倒的に多くその比率はおおよそ三対一。
    ■引きこもりに陥る人は,総じてプライドが高く完全主義の傾向が強い。100を目指してそれが叶わなければゼロでいいというような極端な触れ方をする。
    ■マイルドヤンキーの特徴。
    ・地元から出たくない。それ故遠出を嫌う。
    ・「絆」「仲間」「家族」という言葉が大好き。
    ・車(特にミニバン)が好き。
    ・ショッピングモールが好き。
    ・EXILEが好き。
    ・小中学校時代からの友人たちとよくつるむ。
    ・上昇志向が希薄(保守的)。
    ・ITへの関心とスキルが低い。
    ・低学歴,低収入。
    ・郊外や地方に住む。
    ■マイルドヤンキーは背伸びをせず,他人と比べない等身大の生き方をする。彼らのような生き方は,おそらく老後に至るまで孤独とは無縁である可能性が高い。
    ■男性は日常の小さなことに幸せを見つけるのが苦手。男性がなかなか持てない女性特有の幸せの感覚を「オバちゃん力」と名付ける。男は大きなものを目指して孤独になる。
    ■老人ホームで友達ができず孤立しがちな男性には共通する特徴がある。現役の時の高いプライドをそのまま引きずっているような人が孤立しやすい。
    ■強がっている人ほどポキンと折れやすい。

  • 良書

  • 孤独、特に現代社会、インターネット社会での悩み。
    いろいろな原因や形態について紹介。
    読みやすい。
    自己肯定感、大事かもしれない。



    目次 孤独病


    はじめに
    第一章「孤独病」の時代
    「孤独」は時代の病になった
    「孤独病」は旧いコミュニティを捨てた代償
    無菌社会が「孤独病」を生み出す
    ゴミ屋敷の住人は社会に復讐している
    曲がった背中が真っ直ぐになったゴミ屋敷の住人
    孤独死は"究極の孤独"なのか?
    匿名社会における孤独

    第二章「孤独病」の構造
    自我を持つことが孤独の出発点
    近代的自我がパンドラの箱を開けた?
    自己愛が孤独を増幅させる
    自撮りをする人たちの孤独
    自己愛が満たされていないネット右翼
    万能感が膨らむ社会が招く孤独
    謙虚と傲慢は紙一重

    第三章 人を「孤独病」に追い込む思考習慣
    人間は完璧には理解し合えない生き物である
    「聞く人」が周りからいなくなった社会
    人に嫌われることを恐れない生き方
    「気くばり文化」が招く孤独
    「情けは人のためならず」が孤独から人を救う
    自己肯定感が強ければ孤独に陥らずにすむ
    孤独病を招きかねない自立と自己責任をどう考えるか

    第四章「孤独病」、その暴走の果て
    妄想は孤独を癒す"自己治癒的な試み"
    「孤独」を隠れたキーワードとする巨大マーケット
    グーグルが神にとって代わる?
    「信用できるのはお金だけ」という人たち
    パリ症候群という孤独

    第五章「孤独病」を癒す処方箋
    家庭は孤独を培養する器になった・・
    引きこもりという奇妙な孤独
    引きこもりの背景にあるマザコン文化
    マイルドヤンキーという生き方をモデルにする
    「おひとりさま」や「隠居」という型をつくる
    「オバチャンカ」が孤独病を防ぐ
    男は大きなものを目指しすぎて孤独になる
    男はもっと話したほうがいい・・
    誰かにとって必要な存在になる手っ取り早い方法
    孤独の効用とは何か?

    おわりに

  • 図書館で借りてすぐに読み終えた。
    読み終えた後に、何も残らなかった。

    どこかで聞いたことがあるようなことを、たいした論証もなくダラダラ書き綴ってる。
    「~だったのではないか?」
    とか、そんなアイマイな文章ばかり。
    きちんとした論拠がない。
    こんな情緒的な話をいくら書き連ねてもムダじゃない?

    コストパフォーマンスとか、和製英語はやめてほしい。p.100

    著者の立ち位置が、全く見えないのも、この本をいっそうつまらなくしてる。

    著者はマイルド・ヤンキーなのか?
    おひとりさま、なのか?
    隠居なのか?
    オバチャン力なのか?

    いったい、どの立ち位置から、こんな、どうでもいい文章を書いているのか?

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著者プロフィール

1961年生まれ。大阪大学医学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。専門は精神医学、精神分析。フランス政府給費留学生としてパリ第八大学でラカン派の精神分析を学びDEA(専門研究課程修了証書)取得。精神科医として臨床に携わりつつ、精神分析的視点から欲望の構造について研究。日生病院神経科医長、人間環境大学助教授を経て、現在、神戸親和女子大学教授。著書に『オレステス・コ
ンプレックス—青年の心の闇へ』『17歳のこころ—その闇と病理』(共にNHK出版)『分裂病の精神病理と治療7—経過と予後』(共著、星和書店)など、訳書に『フロイト&ラカン事典』(共訳、弘文堂)などがある。

「2005年 『攻撃と殺人の精神分析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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