世界「最終」戦争論 近代の終焉を超えて (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087208368

作品紹介・あらすじ

いよいよ混迷を深める世界と社会の情勢。その背景には、世界史レベルのパラダイム(知的枠組)の地殻変動がある。顕在化する近代の崩落過程についてリベラル派を代表するふたりが深く語り合う。

感想・レビュー・書評

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  • 本書の時点で、”まさかないよね”的感覚で語られていることが、現実として起こっている今日。例えば安倍内閣の持続。例えばトランプ大統領就任。普通に考えたらあり得ん事態だけど、何がどうとち狂ったか、そんなまさかを目の当たりにしてしまっている。もっと最悪の事態として、もっとまさかの事件として、第三次世界大戦にも触れられているんだけど、これ以上馬鹿げた世界にならないことを祈るばかり。自分に出来そうなことも積極的に探して、なるべく参加していくよう心掛けよう、と思いを新たにした次第。

  • リベラルの二人の話だから、理想論によってるつもりで、偽善に騙されないように読もうと思う。
    一方で、時にリベラルの視点から省みないと残酷な世の中になってしまうこともあるだろう。

  • 難民はそもそも欧米が主導したグローバル化の帰結。
    欧米に難民を拒絶することはできない。

    戦争をテクノロジーからすると、ローテクもローテク、非常にプリミティブな武器がいわば核抑止力を上回る力を持ち得ている。そんな力にどう対抗したらいいのか。ジハードで自分が死ぬことを前提にしている人たとを、果たして殲滅するなんていうことができるのだろうか。

    戦争は最後のビジネスチャンスだと思っている。もう自動車輸出では日本の経済を回すことはできそうもない。それに代わるものを探して兵器産業に飛びついた。、自動車産業と兵器産業はぶら下がっている国内産業がほとんど一緒だから。兵器というのは理想の商品。兵器産業が日本の基幹産業になれば、日本に存在する全ての製造業はこれからは兵器産業に寄生して生きていける。
    兵器は市場が絶対に飽和しない夢の商品。兵器へのニーズが増大するためにはとにかく世界中で戦争が起きていることが必要になる。だからビジネスマンたちは戦争を希望する。戦争を歓迎するし、必要とあらば、自分で戦争を初めてもいいと思っている。そういう人たちが、戦争ができる国になりたいという安倍首相を支援している。

  • 2017.3.1
    あとがきにも書いてありますが、イギリスの帝国から島国へのシュリンクの話とか聞いたことない話が多くて面白い。この対談の時期だとアメリカ大統領がひょっとするとサンダースとか言っていて、実際にはトランプになったアメリカはどのように凋落していくのでしょうかね。

  • 2016/12/23

  • 内田樹氏と姜尚中氏どちらも好きな作家であり思想家です。
    その二人が初めての対談だそうで。。
    そうだったのかと意外に思えます。二人とも同じ思いを
    共有されているのに、そこに至る推論や論拠が異なる
    ところがあってとても面白く読めました。

    本日国際ブックフェアに言ってきたのですが、
    内田先生の講演は満席で拝聴できずでした。
    聞きたかったなあと。。。。
    本日の講演は林真理子氏・内田樹氏・茂木健一郎氏の3人
    どれも満席でした。

  • タイトルが恐ろしいので読むのをためらいましたが、内容は...。
    いろいろ考えさせられました。

  • 自動車で走っているより
    自転車で走っているより
    走っているより
    歩いているときが
    一番 よく 見える

    そして 何よりも
    いつでも 立ち止まって
    気の赴くままに
    じっと 気のすむまで
    見続けることができる

    今、世の中に起きていること
    これまでの こと
    そして
    これからのこと
    今、どんな風に
    見えているのだろう
    今、どんな風に
    考えていけばいいのたろう

    そんな 時間が持てる
    そんな 一冊です

  • 一夜の宿を頼む文化とは。
    規模じゃなく、数でカウントしていくべき今後。

  • なるほどって感じです。どこも政治、思想界は世界レベルで、劣化しているんですね。

  • 目から鱗でした。ふたりとも、大好きな方なので、読んでてとても楽しかった。

  • 読了。今の国内や世界の動きをどう見ているのか、非常にわかりやすく書かれていた。国民国家の液状化やグローバル資本主義からのリトリートについての論争が面白かった。

  • 某グループの読書会の課題図書.内田さんの論はあちこちで読んでいるので,大まかな展開は予測できたが,姜さんもかなり波長があっていて,楽しく読めた.p121でイギリスが大帝国を持っていたが,短期間で島国へとシュリンクした点を評価していたが,大事な視点だと感じた.成長路線にこだわっている我が国の政府も大風呂敷的な視点で政治を進めて欲しいものだ.新たな戦争が身近な場所で勃発する可能性は益々高まっている感じだ.p218の嫌厭感の広がりは,議論を封鎖する感じのキーワードになっているという指摘も良い.

  • 何はともあれこのタイトル、センスなさ過ぎないか。
    中身とはほとんど関係のない煽りっぷり。
    せっかくの2人の刺激的な対談が台無しになっている感。
    こういうタイトルに惹かれる人にこそ読んでもらいたいというメッセージなのかもしれないけれど、それにしてもなあ。

    個人的には末尾の方で指摘されている「飽きている」という指摘が腑に落ちた感じでした。戦後70年を経て、日本人は今の社会に、政治に、平和に「飽きている」という指摘。
    たとえば戦争状態に巻き込まれずに半世紀以上の時間を過ごすということは文字通り「有り難い」ことなのだと思う。その奇跡的な出来事が70年続いてくれたおかげで僕たちはそれを「有り難い」と思うことがなくなり、その状態に慣れ、飽きてしまっているのではないか。
    成熟社会を迎え、世の中に何か閉塞感を覚えるのはたぶん僕だけではないと思う。でもだからといって、今ある「有り難く」貴重なものまで壊してしまっていいという法はないだろう。

    東京都知事選挙は小池氏が優勢だそうだが、これも自民党にも飽き、タレントが知事をするいうのにも飽きた国民感情の投影と読むこともできそうだ。

    そんなことを考えながら読んだ本でした。

  • 強烈な個性二人による対談でこれが初見と言うことが驚きです。後書きで内田さんがかいているように、全力でぶつかっていることがわかる面白い本でした。

  • 日本はシンガポール化するのか? この章が一番面白かった。緊急事態条項を書き込むことによる憲法改正は、日本社会を独裁への道へと開くことになるかもしれないが、一方で、自民党は新自由主義的政策を決して手放そうとはしない。金儲けしながら独裁への道を開く。そのモデルとなっているのがシンガポールな訳だが、そのモデルを日本に導入するにはかなりの無理がある。そもそも経済成長という幻想から離れ、どのような社会を築くことができるのかという問題提起を行っている。本書は、日本のことだけではなく、世界情勢(特に、フランスとアメリカの議論が多い)に広く目配せし、世界が第三次世界大戦に向かっているのではないかと言及している。対談形式で書かれているのですらすら読めた。

  • 心に刺さったフレーズ

    ・~(内田)イタリア人は原理原則ではなく、人というものは~というような緩い倫理規範に従う。僕はそういう人間のほうが成熟していると思うんです。~
    ・廃県置藩
    ・定常社会への移行

  • 16/06/23。

  • 東西の冷戦を終えて世界は平和へ向かっていくはずであった。しかし、各地での紛争は終わる気配を見せず、テロは頻発するようになっている。北朝鮮は今日もミサイルを発射したとの報道がある。日本の原発を目指すことなど朝飯前かも知れない。かつてヨーロッパの火薬庫と呼ばれたバルカン半島が、今度は朝鮮半島であってもおかしくはない。韓国がそしてアメリカが北朝鮮を攻撃し、やけになった北朝鮮が核兵器を使用し、ビジネスチャンスと思った一部の人間が油に火を注ぎ、第三次世界大戦がはじまる。そんなことあり得ないと思っていた。しかし、私の考えは甘かったのかもしれない。本書を読んでそう感じた。いろいろな文化を知り、共感はできなくとも、理解を示す必要がある。それぞれの文化を理解し、認め合うことはできるはずだ。ペットボトルのエピソード(日本人は自分の水に名前を書き、誰とでも分かち合う習慣のある現地スタッフはそんな人間とは仕事ができないと言って帰ってしまった。)や難民(どこかに行けば誰かが食べさせてくれると考える人々。そのかわり誰かが困っていれば助けてあげる準備ができている人々。)の話を読んでそう感じた。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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