「イスラム国」はテロの元凶ではない グローバル・ジハードという幻想 (集英社新書)

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著者 : 川上泰徳
  • 集英社 (2016年12月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087208627

「イスラム国」はテロの元凶ではない グローバル・ジハードという幻想 (集英社新書)の感想・レビュー・書評

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  • 現場起きていることに対してその裏の背景拝啓と冷静な

  • 中東の混迷はした知識がないと理解できなかった。
    利害関係が蜘蛛の巣のようにからみあっていて、一読了解できなかった。
    ただ、筆者の予想と現在の状況はずれてきている。

  • ■なぜ残酷な画像を敢えて公開するのか。アルカイダの幹部で戦略家でもあるアブ・ムサアブ・スーリーによる「イスラム目がある。そこでは,「コーラン」の「戦利品章」にある「彼らに対して,あなたのできる限りの(武)力と,多くの繋いだ馬を備えなさい。それによってアッラーの敵,あなた方の敵に恐怖を与えなさい」という一文を引用していた。この文書はアルカイダの教本の一つとされるが,ここで「テロリズム」と訳しているのは,「コーラン」の中で「敵に恐怖を与えなさい」という部分である。アラビア語では,テロリズムは「イルハーブ」である。これは「恐れさせる」「恐怖を与える」を意味する動詞「アルハバ」から派生した名詞であり,英語動詞「テロライズ(terrorize=恐れさせる)」から名詞「テロリズム(terrorism)」が派生するのに符合する。「コーラン」の「神の敵に恐怖を与えなさい」が,アルカイダのジハード指南書の中で「テロは宗教的義務」とテロを肯定する理屈になっている。敵を処刑するだけでなく,その残酷な場面をネット上で公開することは「神の敵を恐れさせる」という宗教的意味を持つことになる。
    ■「部族は社会の土台であり,国家が分裂すると,人々は庇護を求めて部族に目を向ける。部族は血縁に基づいたものであり,部族独自の法と秩序を持ち,メンバーを守る役割を担う。」「国家が強いときは部族の役割は弱くなり,社会の秩序や公正は国の機関によって維持され,人々も国に頼るようになり,部族長の権威は象徴的なものとなる。しかし,国の方が公正を欠くようになれば,人々は部族の法に頼るようになる。」
    ■「イスラム国」は混乱の原因ではなく混乱の結果である。その混乱は米国による誤ったイラク戦争と,誤ったイラク駐留によってもたらされ,更に自由も平等もないアラブ世界の強権体制に対する若者たちの反乱である「アラブの春」への暴力的な封殺が帰結したものでもある。

  • 一読してよくわかった‥とは言えない。中東地域の対立とか協力関係は複雑‥という印象はぬぐえない。著者自身、「中東情勢を見る上で大切なのは、表に出ている情報をもとに、どのような情報が表面に出ていないか、別のストーリーが裏で進んでいるのではないか、と考えながら状況を見ること」(p.206)と言っておられる。

    ただ、イスラム国が単なるテロ組織ではない(国を維持するためには電気や水の供給、食糧・医療・貧困救済などの恩恵を人々に与えることが必要になる)こと、混乱の原因ではなく結果なのだということ、は、そうなんだな、と思った。

    なるほど、と思ったことをいくつか

    *米軍がイラクのイスラム国空爆に踏み切ったのはイスラム国がテロ組織だから、というより、米国と関係の深いキルクーク油田の防衛を考えたように見える(p.68)
    *イスラム国にとって、民主主義の正当性を繰り返したムルシ(ムスリム同胞団)は、アッラーが下したイスラム法以外の規則を信奉した「ターグート(偶像崇拝者)」ということになる(p.129)
    *イスラム国では女子教育が認められている→タリバンとの違い(p.160)
    *若者がジハードに参加するのは同胞を助けたいという思いが中心で、過激思想への傾倒は必要条件ではない(p.190)
    *国際社会では諸悪の根源のように言われるイスラム国だが、民間人の使者は(シリア)政府軍やロシア軍によるもののほうが圧倒的に多い(p.200)

    単にイスラム国を壊滅させたとしても問題は解決しないだろう、ということ‥
    イスラム国を叩くのではなく、犠牲になっている人達に目を向けるべきだということ‥

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「イスラム国」はテロの元凶ではない グローバル・ジハードという幻想 (集英社新書)の作品紹介

長く中東報道に携わる著者が、世界各地に拡散するテロを分析し、「イスラム国」の関与の有無を緻密に検証。そして、テロのグローバルな拡散は、中東に誤った対応を取り続ける欧米の責任と立証する。

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