- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087208887
感想・レビュー・書評
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2016年末に手にした「デトロイト美術館の奇跡」。
破綻寸前の美術館に起きた奇跡を描いた作品に魅せられて、上野の森美術館の「デトロイト美術館展」に出かけた。
美術館に行ったのなんていつ以来だっただろうか。学生時代は、キャンパスに隣接した美術館に頻繁に通っていたのに。
社会人となってからも、都内の美術館を訪れるのが楽しみだったのに。
だが、いつの間にか時間と心の余裕がなくなっていた。
ただただ絵画と対峙して楽しむ。
美しさに圧倒される。
作品の背景を知ることで様々なことを思索する。
そんな大切なことを思い出させてくれ、美術館に呼び戻してくれた著者は、私の恩人の一人であると言っても過言ではない。
専門家としての豊富な知識と経験。
純粋にアートを愛する無垢な心。
それが両立する彼女の作品は、気取りがなくわかりやすい。
「青春と読書」の連載記事をまとめた本書には、28作品すべてがカラーで掲載されている。
アヴィニョンの娘たち、ゲルニカ パブロ・ピカソ
最後の晩餐 レオナルド・ダ・ヴィンチ
セザンヌ夫人 ポール・セザンヌ
バルコニー エドゥアール・マネ
大壁画「睡蓮」 クロード・モネ
エトワール エドガー・ドガ
星月夜 フィンセント・ファン・ゴッホ
アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ グスタフ・クリムト
真珠の耳飾りの少女 ヨハネス・フェルメール
マドリッド、1808年5月3日 フランシスコ・デ・ゴヤ
叫び エドヴァルド・ムンク
道 東山魁夷
「その絵は世界中のどこかの美術館に収蔵されていて、いつでも観にいくことができる。そのこと自体、世界中のすべての人に与えられた幸運であると私は思う」(P42)
「美術館訪問は『遅きに失する』ということがない。そこがいいところなのだ」(P123)
「たったいちまいの絵。そう、ただそれだけである。けれど、そこには光がある。私を、あなたを、私とあなたが生きる世界を変える力が、その絵には秘められている」(P253 あとがきにかえて)
移動が制限されて、人と自由に会うことができない2020年。
美術館だけでなく、あらゆるイベントが中止や自粛に追い込まれる世界的危機と対峙している今。
そんな時に、時間も空間も超えた芸術との対話の機会が得られた。
それは、著者のアートを心から愛する情熱があったればこそだ。 -
原田マハさん流、1枚の絵との向き合い方。
・直感で感じる
・疑問を持つ
・芸術家の生い立ち、生きた時代背景を知る
・もう一度絵を見る
美術館に足を運ぶものの、どう見たらよいか分からない方にオススメしたい。めちゃくちゃ良かった。 -
「生きてるうちに見るべき名画」本当かな?と思ったけどさすがマハさん、納得です。時代の転機となった作品をピックアップしてるのかな。東山魁夷の「道」が描かれるエピソード読んで1発で好きになりました。
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有名な絵もそうでない絵も、原田さんの丁寧な説明で一枚づつ記憶に刻まれる。絵の解説なのに小説を読んでいるみたいだし、原田さんの小説に悪い人がほとんどでてこない様に、どの絵に対しても温かい眼差しが注がれている感じ。例えばピカソ。アヴィニヨンの絵が美術史を変えた、みたいな話は何度聞いたかわからないけれど、そういう学術的な面のみならず、「超有名だけど本物を見るとやはり心動かされる」という、本当に絵を好きな気持ちが伝わってくる。
備忘録:取り上げられていた絵
ピカソ アヴィニヨンの娘たち
秘儀荘 ディオニソスの秘儀
ボンドーネ 聖フランチェスコの伝説
ボッティチェリ プリマヴェーラ
ダヴィンチ 最後の晩餐
セザンヌ セザンヌ夫人
マネ バルコニー
モネ 睡蓮
ドガ エトワール
ゴッホ 星月夜
クリムト アデーレブロッホバウワーの肖像
フェルメール 真珠の耳飾りの少女
モランディ ブリオッシュのある静物
ゴヤ マドリード 1808.5.3
マティス ダンス
ルソー 夢
ピカソ ゲルニカ
ビアズリー お前の口に口付けしたよ、ヨカナーン
マレーヴィチ 黒の正方形
ポロック Number 1A 1948
ロスコ シーグラム壁画
カーロ ティワナ衣装の自画像、あるいは私の考えの中のディエゴ、あるいはディエゴへの想い
カラヴァッジョ 聖マタイの召命
クールベ オルナンの埋葬
ムンク 叫び
東山魁夷 道
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原田マハさんが紡ぐ絵画の物語が好きなわたしにとっては、フレンチのフルコースをいただくくらいの満足度の高い一冊。
絵画一つにこれだけ惹きつけるドラマを再構成できるのがすごい。
もちろん、作品をもとに作家の一生をそのまま描いていればあっという間に本が一冊出来上がると思うけど、この本はただの紹介じゃなくてドラマがあったなと。
まだまだ知らない画家のエピソードがいっぱいだった。多くの作家(とくに近現代絵画)に共通するのは官選(サロン)のアカデミーの潮流から漏れているという点だった。アートが常にカウンターカルチャー的な存在で大きなエネルギーを持つのには、こういう背景に通じてるのかもしれない。
一番気に入ったのはエドガー・ドガのエトワール。踊り子、舞台裏に注目するその眼差しに、自分の精神性に近いものを感じた。この本があったからこそ知れたので感謝。
あとは、原田マハさんの強い好奇心と、情熱のすごさ。連載を集めたものだったから仕方ないのかも知れないけど、「会いたかった」「一度お目にかかりたかった」「この時を待ってた」が次から次へ…!
それでも、原田マハさんと絵画の対面の瞬間には常に感動が待ってる。毎回「会えて良かった!」と思える、それくらい真っ直ぐで気持ちがいい。
一つの絵に、熱い想いを絶やさずに向き合い続けることはそうそう出来ることではないが、それでこそ、年々素晴らしい作品を生み出し続けられる原動力なのかなと思ったりした。 -
十三枚目、モランディの章の冒頭である。
「世界中にある絵画の中で、もしも一枚だけ好きな絵をもらえるとしたら、どのアーティストの作品が欲しい?」
この質問にあれこれ思案する著者にとても共感した。私も「一番好きな画家は?」という質問に、未だ確固たる答えを持っていない。
本の中では、26枚の絵が紹介されている。そのどれもから、著者のそれぞれの絵に対する愛情が感じられる。私も自分の好きな絵について、こんなように語れたらいいなぁと思った。そしていつか、質問の答えが見つかればいいなぁと思う。 -
アートには、歴史とのすごく深い関係性があることを知った。
時代背景の理解なくして、アートのことは理解できないのだ(アートのことが本当に理解できるわけではないのはわかってはいる)。
歴史が苦手な私が、アートやアーティストと一緒に学ぶとすごく楽しく学べるとは思わなかった。
そして、この本を読んでいるうちに、クレパスで思いっきり画用紙に描きなぐりたい衝動に駆られた。全然絵心とかあるわけではないのだけど。早速、クレパスと画用紙買ってこようかな。
なぜクレパスかというと、私はカラフルな色使いが好みらしいということを、読んでいて何となく認識したのである。不思議。
いつかは、この本に出てくる色んな美術館に行きたい。アーティストごとにじっくり作品の移ろいを眺め、自分のお気に入りを見つけたい。 -
とても分かりやすく書かれていて、とても美術を好きになる文章。頭の本当に良い人の書く文章ってすごいなと改めて感動しました。美術史を大学で学んだ私は、美術の初心者とは言えないけれど、長年にかけて学んだことよりも、こちらの一冊をしっかり読めば良かったんじゃない?(笑)と思うほど、原田マハさんの知識の深さや、書きたいことは他にも沢山あるだろうに、要点をしっかりとまとめて書き上げるところに感激します。
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世界の美術館へ行きたくなる!
1枚の絵について、マハさんとの思い出と、画家のストーリーと、その絵がそこに在る理由…短い文章でここまで惹き込む力はさすが!
手元に置いておきたい一冊!
こんばん૮₍ • ᴥ • ₎აワン(笑)
す、凄いですねぇー294冊!!
お茶( ^^) _旦~~ドウゾ~
お疲...
こんばん૮₍ • ᴥ • ₎აワン(笑)
す、凄いですねぇー294冊!!
お茶( ^^) _旦~~ドウゾ~
お疲れ様でした〜☆☆
良いお年をお迎えください〜