- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087450262
感想・レビュー・書評
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思いがけず、婚約者から婚約解消されてしまう主人公明日羽(あすわ)。
失意の底を漂い、途方にくれる彼女に、叔母がドリフターズリストを書いてみたらと提案する。
明日羽が、本当になりたいもの、やりたいことは何か、リストを作りながら、それを動機に自分と向き合い、成長していく物語。
誰しもショックが大きくて、立ち止まってしまうことがあるはず。結局何をすれば自分を幸せにできるか、物語は明かさないのだけれど、明日羽は、もう前を向いて自分の大切にしたいものに気づいたよう。
大げさな希望や、目標でなくてもいい。日々の暮らしの中で、食べるものが自分の体をつくり、何を掬い選びとるかで、日々が彩られていく。
穏やかに彼女に寄り添う登場人物たち、一風個性的な叔母ロッカさんの、お節介なようでいて立ち入りすぎない存在も明るく魅力的で、居心地の良さを自然と感じるような行間、宮下さんの作品に温かく和みの時間を頂きました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すごく良かった。
なおさら宮下奈都の世界をもっと知りたいと思う。
すぐレビューを載せないと忘れてしまうのは歯がゆい。 -
ドリフターズ・リスト、読み始めて私も作ってみようかと思ったのだけれどまた先を読み始めるとそれをどう扱えば良いのか中々難しい。
一周回ってまた同じ場所に戻ってきたけれども、今度は傷ついた事がきっかけになって色々な経験や自分自身を見つめる時間を持てて戻ってきたのだから同じ場所でも以前とは違うという事なのかな。
人は皆、そういうものなのかも。 -
いい本に出会ったなぁと思って、すがすがしい気持ちになった。
婚約破棄された主人公のような、大きな問題やトラブル、悩みを抱えているわけではないけれど、毎日を、普通に、丁寧に、自分の好きなもので自分を作りあげながら過ごしていくことの穏やかさ、豊かさに、心が澄んでくるような気がする。丁寧に生きていきたいと思うし、おいしい豆を食べたいとも思う。
読みやすい文章だけれど、ひとつひとつの文の中にたくさんの大事なことが詰まっているような気がして先へ先へと読みすすむのがもったいなく、ゆっくり読んだ。
心が潤う、素敵な本に出会えたことがうれしい。この作家さんの他の本も読んでみたい。 -
婚約破棄された主人公、明日羽。
ドリフターズ・リストを書くようにすすめる叔母の六花さん。
ドリフターズ(やりたいこと)・リストは、
こうなりたい、これをやりたい、ここに行きたいではなく、こうなる、これをやる、ここに行くと書くのがいいのだそう。
確かに、なにかを成し遂げた人間は何歳までになにをするか、人生計画がしっかりしているイメージが強い。その場しのぎの私とは正反対である。
だからといって、ドリフターズリストに沿うように生きるのは違うようで。
ベビー用品会社で働いて、婚約して、傍から見ても順風満帆といえる生活を送っていた頃より、婚約破棄されてからも身近にいてくれた大切な存在や「食」に対して深く考えるようになって、感謝するようになった明日羽のほうが充実しているようで好き。きっと明日羽もそう。
郁ちゃんにとっての豆、明日羽にとっての豆、私にとっての豆ってなんだろう。
豆ばかりに焦点を当てられているように感じたけれど、毎日のように家に来て一緒にご飯を食べてくれた六花さんの存在は何よりも大きかった。
リストだけに頼るのではなく、結局は自分の芯を強く持つことが大事なんだと思う。それこそ、いつでも空で言えるくらいに。
なりたい自分があるのなら、それに向かって自分自身が進まなければ意味がない。周りの支えや寄り添いに感謝しながら受け止めながら、自分の足で進む。どれだけその一歩が小さくても、ゆっくりでも。
何かに挫折したとき、本から元気をもらいたい!と思ったときにまた読み返したい。
大切にしたい言葉がたくさんあった。 -
宮下奈都著 2冊目。
婚約破棄された主人公:あすわ。理由もわからず、奈落の底に落とされる…。
チコちゃんに叱られそうな「芯がない」あすわは、なんとなくボーッと生きてきた。叔母:ロッカさんに命じられて作ったドリフターズ(漂流者)リストを頼りに、少しずつ前に進んでいく。
葛藤や迷い「私には何にもない」という描写が、何度も重複して出てくる…これは『羊と鋼の森』でも気になったのだけど。。。それなのに主人公像はフワッとしていて、ロッカや京のキャラの方が際立っているように感じた。
我が家のチェリー色ル.クレーゼを今夜は使おう。 -
著者作品に登場する食べ物・飲み物は、いつもどれも美味しそうだ。
「毎日のごはんがあなたを助ける。」そうなのだ。レジリエンスに必要な栄養素が詰まったごはんを食べた感覚。
酷く落ち込んでいるそこのあなた! どうぞお召し上がりください。 -
婚約破棄された主人公が自分を見つめ直し、周りへの意識や自分自身の気の持ちようが変わることで、前を向き始める。
ありがちな話と思ってしまうのだけど、人の温かさは主張する感じじゃなく、後からじわじわ来るような感じでよかった。
主人公が至って普通というか、誰でも持っているような当たり前の自分中心の考えも持っていて、そういうところが人間らしいと思えて読みやすかった。