夫婦で行くバルカンの国々 (集英社文庫)

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著者 : 清水義範
  • 集英社 (2013年4月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087450644

夫婦で行くバルカンの国々 (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 行きたい行きたい行きた〜い‼︎
    めっちゃ楽しそう(≧∇≦)
    こういう日本であまり馴染みのない国って、変に情報が入ってきていなくて、現場ならではの感動がいっぱいあるに違いない(*^o^*)

  • 年初に旅したクロアチア。バルカン全体のイメージをつかむための本を探し、いくつか見つけた中の柔らかい旅行記。
    作者のこってりした文体に好き嫌いはあるかもしれないが、バルカン半島の全体像を掴むにはいいんじゃないかな。
    元バックパッカーとしては、バスツアーなんて!と斜めに構えていたが、前回の旅でそのよさも知り、この本はバスツアーでありながらもアンテナの張り方次第で無理なく現地を体験することを伝えている。

  • ちょっと微妙な評価になってしまうかもしれません。

    清水さんは昔好きでよく読んでいました。
    たまたまこの本を見かけて、そういえばバルカン半島の国々についてなにも知らないなあ、と思い、興味を持って読んでみたのですが……。

    本書を読んで、よかったのはよかったと思います。
    なじみのない国々のことを知り、啓発されました。これをきっかけにバルカン関連の本をいろいろ読んでみたくなり、読書の幅が広がったことに感謝しています。
    しかし面白かったか、いい本だったかというと、ちょっとそうは言いがたい。旅行記としては臨場感がないし、かといって書巻の気も感じられないし、ただダラダラと書いているような印象を受けました。
    清水さんはエッセイ集『パスティーシュと透明人間』(好著です)を読んでもわかるようにきわめて常識的な人で、そういう人が突飛な趣向を用いたところに全盛期のよさがあったと思うのですが、普通の旅行記では好もしいはずの良識が平板に見えてしまったのかもしれません。
    一番面白かったのは、あとがきでそれぞれの国の印象を一言ずつ述べているところ。

    「マケドニアは周りから叩かれていじけている印象があったし、アルバニアはトーチカだらけの奇天烈な国だった。アルバニアだけ周りより五十年くらい遅れている感じもした。モンテネグロは山と海が印象的な静かな国で、ボスニア・ヘルツェゴビナの内戦の爪跡には胸のふさがる思いがした。そしてセルビアは西と東がせめぎあっているところで、大国の面影もあった。
    スロベニアは森の緑が美しい落ち着いた国で、クロアチアは山側が古くて静かだが、海側が陽気で賑やかな国だった。ドゥブロヴニクで食べたムール貝の味を私は一生忘れないのだろう。
    ルーマニアは田舎だった。だが、あんなに少女が美しい国はほかにはないだろう。
    ブルガリアはバラのイメージと、ロシアに感謝している元大国という不思議なところだった」
    (ギリシアについては割愛。コソボにだけは行ってない)

    こういう短いコラムのような文章だと清水さんの常識的な批評眼が冴える。WEB連載に加筆修正したオリジナル文庫なのでこんな注文には無理があるのだけど、一国につき数十ページという構成ではなく
    「マザーテレサはマケドニア人かアルバニア人か」
    「スロベニアとトリエステの深い仲」
    「今のサラエボはチャーミングな街ですよ」
    等々、一つのテーマで三、四ページという構成にすればもっと引き締まった本になったと思う。
    でも、これはないものねだりですね。
    バルカンの国々の南東にはトルコ、北東にはロシア、北西にはドイツ、西にはイタリアがあります。なかでも昔オスマン帝国領だったところが多いので、ケバブやモスクなどトルコの影響があちこちに見られたそうです。

    これから先は国ごとの備忘録代りの感想です。

    マケドニアはキリル文字発祥の地。そしてアレクサンドロス大王とマザーテレサの出身地……と書きたいところですが、この二人に関してはちょっと複雑な事情がある。
    確かにアレクサンドロス大王はマケドニア王国の人間ですが、当時の「マケドニア」は今のマケドニアだけでなく今のブルガリア、ギリシアも領土に含んでいました。だからブルガリアやギリシアは今のマケドニアがアレクサンドロス大王をわが国の英雄として扱うのを快く思わない。それどころかマケドニアが「マケドニア」と名乗ることにすら横槍を入れてくるという……難しいですね、これは。マケドニアはブルガリア帝国の一部だった過去があるし、マケドニア語とブルガリア語はわりかし近いみたい。近いからこそ、ややこしくなっちゃうのかなあ。
    マザーテレサも生れはマケドニアだけど民族としてはアルバニア人なので、どちらの国も「わが国の英雄」として祭り上げているらしいです。マザーテレサ本人は「私は英雄などではありません。卑しき神のしもべです」と言いそうだけど。
    マケドニア国内のマケドニア人とアルバニア人の対立を描いたミルチョ・マンチョフスキー監督の「ビフォア・ザ・レイン」という映画があり、ヴェネチア金獅子賞もとっているらしい。ちょっと観てみたいな。

    さてアルバニア。いやー、とんでもない国ですねここは! こんなすさまじい国だなんて、全然知らなかった。
    一言で言うと、バルカンのカンボジア。共産化したこの国はエンヴェル・ホッジャというポル・ポトみたいな独裁者が支配し、あそこまでの虐殺はないけども極端な鎖国体制を敷き、宗教を禁止し、六十万基ものトーチカ(三人につき一基の割合!)を建てた。
    ホッジャの死後民主化されたのはいいんだけど、資本主義に慣れてないもんだから国民の三人に一人がねずみ講にひっかかり、国家財政が破綻! 一時は無政府状態に陥り、国際社会からの援助でなんとかなった……うーんすごいな。
    家父長制が強く、かたき討ちの風習が残っているのでその手の殺人が絶えないんだとか。大変だなあ。
    個人による土地所有という考え方があまり浸透していないので他人の土地に勝手に家を建ててしまう人も多く、政府はそれを見つけしだいブルトーザーでぶっこわして回る、という話もすごい。

    次はモンテネグロ。
    ツェティニェは軽井沢のようなゆったりした涼しげな街、ブドヴァは人気のリゾート地。
    古都の美しさはクロアチア並だけどクロアチアより物価が安いのでこれからの観光産業の発展が期待できる由。
    かつてはオスマン帝国とヴェネチア共和国が覇を競った土地だった。
    2006年まではセルビア・モンテネグロの一部で、最近できたばかりの国。

    ボスニア・ヘルツェゴビナを語る際は、どうしてもあの戦争のことになってしまう。ユーゴスラビア分裂に伴う悲惨な内戦……。気が重いけど、直視しなきゃ。
    ちょっと虚をつかれたのは、この国は二つの構成体からなる連邦国家なんですが、その二つの構成体というのがボスニアとヘルツェゴビナではなく、ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦とスルプツカ共和国だということ。スルプツカというのはセルビアの、という意味でセルビア人が多く住む地域。面積の割合は半々くらい。
    そういえば四方田犬彦『見ることの塩』の後半は旧ユーゴ紀行だったなあ。すごく面白かったんだけど内容忘れてる。もう一度読まないと。
    ユーゴスラビア時代のノーベル文学賞作家イヴォ・アンドリッチの『ドリナの橋』という小説があるらしい。これも知らなかった。本を読めば読むほど知らないことが増えてゆく。自分がいかになにも知らないか知ってゆく。努力しよう。

    そしてセルビア。
    中世と近代に二度セルビア王国が栄えた。
    首都ベオグラードは紀元前六千年くらい前から続くたいへん歴史のある都市だが、何度も攻め滅ぼされているので都市としての継続性がない。
    チトーの墓があるが、いまは人気がないのでさびれている。
    コソボ紛争の際はセルビアだけでなくクロアチアなども虐殺を行っていたが、海外の報道によってセルビアだけが糾弾されたという。たしか高木徹『戦争広告代理店』 がこの問題を扱っていたはず。
    最近は村人のナイーブアートが観光資源になっている。

    スロベニアは旧ユーゴから一抜けた国。ユーゴスラビア連邦の中でも昔から経済力が高く、割りとあっさり独立できた。民族紛争もそんなにない。
    ボスニア・ヘルツェゴビナやセルビアと違いオスマン帝国の支配を受けたことがないのでイスラム色がほとんどない。
    国境付近のトリエステは今はイタリア領だが、限りなくスロベニアに近い。日本でトリエステといえば須賀敦子だ。また読みたくなってきた。

    次はクロアチアだけどこれは英語読みで、自国民はフルバッカという。略称HR。えーっ、全然違うじゃんジャパンとニホンくらい違う。
    国境線が不自然な形をしていたり飛び地があったりするのはその昔ハプスブルグ帝国とオスマン帝国の陣取り合戦の最前線だったから。
    読んでいると「観光するならここ!」という気がしてくる。
    ドゥブロヴニクは南の海沿いの明るい街。
    プリトヴィツェ湖郡国立公園は観光ツアーで大人気。
    南のダルマチア地方はイタリアの影響が強く陽性。
    そしてクロアチアはネクタイ発祥の地。

    ルーマニアはローマの国という意味で、自分たちはトラヤヌス帝につながるローマの一部だということを誇りにしている。しかし民族大移動のあと千年くらいは歴史がはっきりしない。
    地元のガイドが「ルーマニアにはドラキュラ、コマネチ、チャウシェスクと日本人も知っている世界的有名人が三人もいる。ブルガリア人で日本人が知っているのは琴欧州だけだろう」といばったという。ドラキュラとコマネチはともかくチャウシェスクが有名なのはあまり誇れることでもないような……。そのチャウシェスクの独裁は1989年に崩れたが、国はまだまだ貧しい。
    ドラキュラことヴラド・ツェペシュは悪評がついてしまったが実際はなかなかの名君。織田信長みたいな感じかな?

    ブルガリアは露土戦争によってトルコから独立したので、ロシアに感謝し好意を持っている、非常に珍しい国。
    美しい僧院やモスクが多い。
    琴欧州の実家がツアーに組み込まれていた。
    薔薇の栽培が盛んで薔薇祭も有名。

    そしてとうとうギリシア。
    ユーロ危機のさなかに行ったがさして混乱はなかった。古代遺跡や博物館はやはり充実している。
    今のギリシアはトルコそっくり。ギリシアの境界線は時代によって相当違い、非常にあいまい。
    サントリーニ島は韓国からの新婚旅行客が多い。
    ケバブのバーガー、ギロピタがおいしい。
    ミケーネ遺跡のところで、清水さんの奥さんが以前ドーム建築について調べていた、という記述あり。『映画でボクが勉強したこと』(どうしようもなくダサい題名で損をしているけど、いい本です。それにしても本当にひどい題名! )によると清水さんの奥さんって映画はあまり観ないけどパゾリーニは全部観ている、というちょっと変った人らしいし、なんかただものではないなと思う。
    そうそう、村田奈々子『物語 近現代ギリシャの歴史』が積読だったんだ。あれも読んでおかないと。

    というわけで本文終了。
    残りは森本剛史さんの解説ですが、これはどうも……ってかひどいよこれ。
    半分近くは『永遠のジャック&ベティ』の思い出とものまね。内容紹介もしょぼすぎ。
    この人はトラベルライターの後、代官山蔦屋書店の旅行コンシェルジュという面白そうな仕事をしているらしい。お客さんにぴったり合う旅行本を選ぶ案内役。ソムリエみたいな感じなのかな……。
    だったら! だったら、これを読んでバルカン諸国に興味を持った読者が次になにを読めばいいか教えてよ! それが解説の仕事でしょ?
    解説という窓から新しい本の世界が見えてくるのが文庫本の楽しみのひとつなのに……。文庫本は単行本よりも風通しのいい家なのに、その機能が全くいかされていない!
    私はいい文庫解説に何度も助けられてきたけど、この解説によって助けられたとは微塵も思わない。文庫解説をなめるな!

    とこのように、全体としてはかなり不満の残る本でした。それでもバルカン諸国の本をもっと読みたくなったし、それに周辺の国、ビザンツやオスマントルコ、ハプスブルグ、プロイセン、ロシアのことも知りたくなった。周辺国との関係もちゃんと見ておかないと、おっつかないだろう。
    私はまだ大海に乗り出したばかりなのだ。謙虚にならないと。

  • イスラム諸国、イタリアに次ぐこのシリーズの第3弾。バクパッカーの旅でもなければ、思索の旅でもない、タイトルのように「夫婦」で団体ツアーに参加して諸国を巡る旅。
    前2冊はあまり事前勉強もせずにとりあえずツアーに参加し、帰ってきてから勉強して本を書くというやっつけ感があり、プロの作家として
    それでいいのか?と思いながら読んだものですが、今回のバルカン諸国はそれなりに勉強して臨んだ様子。
    旧ユーゴ諸国、アルバニア、ブルガリア、ルーマニア、ギリシャと、複雑な歴史・民族問題を持つ国々は魅力的。一度ゆっくりまわってみたい。

  • 西はスロヴェニア、東はギリシャまで旧ユーゴをはじめとしたバルカン諸国の旅行記。
    団塊の世代の夫婦が団体ツアーでまわる観光旅行なので、日程や見るものを選べない不自由さにはしばられつつも、持ち前の好奇心やこまかい観察眼で土地の様子や旅の日々を記録している。
    日本人にとっては歴史的に地理的にも複雑でなじみのうすいバルカン諸国の特徴をそれぞれよくとらえ、いってみたいなと思わせてくれる。文庫としてはかなり厚みがあるけれど、これほどまとまっていて気軽に読めるバルカン入門もなかなかない。ただ、写真もいっぱいとっているらしいのに、文庫という形のせいでモノクロ写真がほんの少ししか入っていないのが惜しい。

  • シリーズ物の三作目。文章だけで何となくその国に旅行した気分になってしまうのは、SNSやブログが氾濫している中でプロの作家の底力を感じる。ただ自分にはほとんど知識が無い国々の旅行記だったので、Google mapや画像検索と合わせて読み進めたら面白さが増した。旅行中はたくさんの写真を撮っているということであるが、本に収録されているのは章末にモノクロの数枚だけなのが残念。

  • 40歳を越えてから海外旅行をするようになったという著者。

    旅そのものよりも旅で巡った国々に焦点を当てて紹介している。一般的な旅行記とはちょっと違うかも。

  • こういう旅行記とか紀行文は好きである。この本はそれぞれの国について、歴史を解説してくれるところがよい。ただし、その旅行がツアーであること、主観を語っているのはしかたないにせよモノの見方がステレオタイプに感じられるとことが残念である。

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夫婦で行くバルカンの国々 (集英社文庫)の作品紹介

新婚旅行に人気のクロアチア、ローズオイルに注目のブルガリアなど、さまざまな民族や異文化が混在するバルカン半島の10か国を夫婦で巡る。“夫婦で行く"シリーズ待望の第3弾。(解説/森本剛史)

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