命もいらず名もいらず 上 幕末篇 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087450651

作品紹介・あらすじ

幕府旗本の家に生まれた山岡鉄舟。千葉周作に剣を学び、禅、書の修行に励む。日本をこれからどうするか。変えていくのは自分だ――。幕末・動乱の世を、無私の心で駆け抜ける! 最後のサムライの堂々たる人生を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 武士の道に生きる
    幕末編は山岡鉄舟の生い立ちから「剣の道」を見極めたい鉄舟の生き様を描く。千葉周作、浅利又七郎など様々な師範との出会いと勝負で、剣の勝負とは「死ぬ気で相手に繋る心」であり、それは奥義で「徳」(武士の時代、刀で人を生かし、国を治める)ということを悟る。武士道とはなんぞやを剣の鍛錬から見出そうとする鉄舟、自分より優れた剣士(師範)から勝負に負けることで学んでいく。

  • H30.5.19 読了。

    ・山岡鉄舟の物語。剣、禅、書を全身全霊で取り組む姿や明治維新前後、幕府側から日本の将来を憂いた姿が印象的。また、若い時に色情の不思議を解明しようとした逸話には、鉄舟も一人の男だったのだと親近感がわいた。
    後編も楽しみ。

    ・「われの思うわれと人の思うわれは違うもの。」
    ・「人というもの、ついおのれを過信し、他人を見くだす悪癖がある。世の多くの人間が、そう慢心して生きておる。まこと、馬鹿馬鹿しいかぎりだが、とかく人とは愚かなものよ。」
    ・「世に棲む9割の人間が凡愚と思うてまちがいない。」
    ・「自分だけが凡愚にあらずと思うておったのではないか。」
    ・「人は、器量に応じた仕事しか為せない。器量に応じた人生しか送ることができない。器量を広げたいと願うなら、目の前のことをとことん命がけでやることだ。」
    ・「人のまわりには、そもそも垣根なぞあるものか。垣根をつくるのは自分。こわすのも自分だ。自分でがんじがらめにめぐらせた垣根は、自分でこわさねばならぬ。」
    ・「生きようとすれば、それが邪念になる。」
    ・「手柄を人に自慢してはいけない自分のこころに恥じるかどうかだけが、生きる基準だということだ。」
    ・「生死一如(しょうじいちにょ。)とは、文字通り生と死が、じつはひとつのものであるということだ。」
    ・「世の中、どんな愚劣なことからでも、学ぶことがある。」
    ・「だれに対しても、なにごとに対しても誠実であること。それこそが修行の極意だ。」
    ・「日本の武士は、空意地を張り、弱みを見せないことに生き方の美学を持っていた。」

  • 「幕末の三舟」と称された山岡鉄太郎の生涯を描いた歴史長編。
    勝海舟を軸に、江戸城無血開城を題材にした冲方丁著『麒麟児』に、勝に全幅の信頼を置き彼を護衛する重要人物として山岡鉄太郎が登場する。
    本書では、勝と西郷の会談を実質的にお膳立てした鉄舟の活躍が綴られる。
    さらに全編にわたって、己の信じるまままっすぐに、目の前のことを全身全霊の力を振り絞って生きる鉄舟が躍動する。

  • 金言名言がいっぱい。
    心を鍛えられます。
    何度でも読みたい本です。

  • 江戸城の無血開城を西郷隆盛と話をつけて成し遂げた人物。勝海舟かと思いきや彼の活躍があってこその無血開城らしい。
    物語は彼の幼少期から死に至るまでの一生を描く。ここで描かれているのは、まっすぐな気持ちを持ち続けた男子の一生だ。無血開城などの業績が出るまでは、剣術の修行に勤しみ、書道の修行と禅の修行と、一生懸命にやっているのは伝わった。が、結果的にそれらが世のためになったから良かったものの、一歩違えば遊んで暮らしただけなのではなかったか。それを見越した上での、父親からの自分のために生きろだったのかは、よくわからなかった。

  • 読了。
    剣術家としても思想家としても有名な山岡鉄舟だが、この上巻は幕臣から見た幕末と言う点で興味深かった。
    激変する時代を後目に、剣術家として一意専心修行する中で形成されていく、高い精神性、世界観、道徳観は、サムライの最後の煌めきでもある。
    実はこの人の人生、明治時代の方が波乱に富んでて面白いのだが、それは下巻に持ち越し。

  • 実直さが快い、幕末を舞台にした、ある意味、英雄譚。

  • 幕末にまったく興味がなかったが初めておもしろく読んだ。内容は下巻で。

  • 読了。レビューは最終巻で。

  • 「命もいらず名もいらず」等と言えば「妙に“気合”が?」という感もしたのだが…本作の主人公である山岡鉄舟は、その「命もいらず名もいらず」を「さらり…」と地で行くように、“己の道”のようなものを真っ直ぐに貫いたような生き様で、幕末から明治という揺れ動いた時代を駆け抜けている。本作では、“飛騨郡代”(幕府直轄地であった飛騨一円の行政事務や軍事を司る役目の旗本)であった父に従って飛騨高山に在った思春期から、江戸に出て撃剣に打ち込んでいた幕末期、かの清河八郎とも親交が在った動乱の時期、戊辰戦争期の混沌とした状況下での捨身の活躍、宮内省に出仕した明治期、多くの友人に惜しまれながら末期を迎える辺りまでの様子が余さず描かれる。かなり夢中になった…

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著者プロフィール

歴史・時代小説作家。1956年京都生まれ。同志社大学文学部を卒業後、出版社勤務を経てフリーのライターとなる。88年「信長を撃つ」で作家デビュー。99年「弾正の鷹」で小説NON短編時代小説賞、2001年『火天の城』で松本清張賞、09年『利休にたずねよ』で第140回直木賞を受賞。

「2022年 『夫婦商売 時代小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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