- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087451139
作品紹介・あらすじ
寂れた商店街の片隅に、「思い出」を修理してくれる時計屋さんがある──。時計師・秀司のもとには、傷を抱いた人たちが今日も訪れる。優しく温かい、癒やしの物語、第2弾!(解説/吉川トリコ)
感想・レビュー・書評
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"思い出のとき修理します"
2作目「明日を動かす歯車」
心の奥に秘められた
どうにかして忘れたい、やり直したい、新しい道をみつけたい...
そんな気持ちの蟠りが優しく解けていく4つのお話。
"僕が直せるのは時計だけです。でも、思い出は直せると思います。
できるのは、当人だけです。"
確かに時計屋さんが直しているのは時計だけ...。
けれど、壊れてしまった時計を直してもらいたいと思う気持ちこそが
必然と、その時計に纏わりついている思い出をもどうにかしたいという
気持ちの表れでもあるんですね。時計屋さんの手によって時計が直されていく間に
心に纏わりついた蟠りは、津雲神社通り商店街の温かい空気で優しく
修復されていく...。
印象深く心に残るよかったお話は
・きみのために鐘は鳴る
姉妹っていいな...♪
そしてミニッツリピーターのあの鐘の音!
なんていい音なの....!
あんなに小さなハンマーで叩かれて音を出す
仕掛けの巧みさにも驚きました。
"時計屋さん"は"時計屋さん"でいてほしかったな..。
私もそう思った一人です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
時計屋さん続編。相変わらず少女マンガちっくでファンタジーなんだけど、時計屋さんあらため秀ちゃんが素敵すぎるので許す。文章もとってもうまいよね。でもやっぱり前作のほうが面白いと感じてしまうのは、恋が始まるまでのほうが恋が始まってからよりも断然ドキドキ感があるからだろうか。ドラマ化されそうだな。向井理くんでぜひ。
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前回は太一をただの神社の親戚の子と思っていたけれど、今回は「コンビニたそがれ堂」の店長が思い出のときを修理するお手伝いをしに出張しているような気が…でもツクモさんの神社だから関係ないか(^^; それはともかく、秀ちゃんと明里ちゃんの仲は着実に進展しておりますなぁ(*^^*)秀ちゃん設計のドレスウォッチを身に付けて喜ぶ明里ちゃんの姿を早く見たい!!
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シリーズ2作目。
恋人となった秀司と明里を軸にして進む短編集。
心残りを抱えながら過ごす人達が、ふと飯田時計店に訪れて。
「おもいでの時 修復します」の言葉のもと、過去を乗り越え未来へ前を向いて進む。そんな姿が綴られています。
最後には心が温まる。いい1冊でした。
個人的には「赤いベリーの約束」が心に響いたかな。 -
なんやろうもう・・・。今、ちょっと乱読気味に読書をしている自覚はある。
時間が限られているのに読みたい本はめちゃめちゃようけあるから、とにかくガーッと読もうとしてる・・・。
・・・んやけど、この本はそうやってガーッと読むのは勿体ないね・・・。
(ガーッと読んでも大丈夫な本っていうたら失礼すぎるな)
(すいません)
いやでも、パパッと気分転換に読んで楽しみたい読書もあるよね。それがいいとか悪いとか、面白いとか面白くないとかではなく!
タイトルどおり、「時」が関係する本だけに、しっとりと読みたいねんなあ。
この本もたくさんの人におすすめしたい! ちょっとファンタジーが好きで、昔、少女小説を愛読していたようなタイプの方に(笑)。
ほんで作中にもあったように、「自分の常識的感覚に自信がなくなる」。
自分が「当たり前」と、信じてきたことがほんまに「当たり前」なのかな? と、思うねん。
私は作中にシンクロする読み方が好きなので、私の「常識的感覚」を揺さぶるこの本はじっくりとシンクロしたいのかも。
太一はたぶん、・・・と、彼の正体を書くのは野暮らしいけれど(笑。解説も面白かった)、そんな、(おそらく普通の人間ではない)太一が普通に(?)暮らしていること、その太一を受け入れてる秀司とか、不思議なことがたくさんある。
もうほんと、正しい意味での「不思議」。
「不思議」といえば、過去は取り戻せないのに、「思い出」は塗り替えることができるっていうところから、不思議。だってそれってどういうこと。
ようは、「思い出」を塗り替えたら過去がまた違う色になり、そうすると未来も変わってくるってことをいいたいようなんやけど・・・。
未来も過去も、変えることは可能なんやって。ええそれってほんまに。そんな簡単な話?
じゃあ私の過去も変えてしまって、よりよい未来をぜひ、って思うんやけど、それはなんちゅうか簡単な話でもない。
難しいわけでもないねんけど。
そのあたりは、言葉で説明するより秀司と明里と、飯田時計店にやってくる人たちとの会話を見ていたらそれがよくわかるねんな。
ああ、そういうことか、未来も過去も変えられるってそういうことか、と、ひどく納得できる。
でも今回はちょっと込み入った話が多かったな。
化石の話なんて、ふたつの偶然が重なってできてるのでほとんど奇跡みたいな話やった。
それが面白いんやけど、時制も含め、結構難しかった。
ベリーの約束が一番わかりやすくて、シンクロしやすかったのは、すっかり私が恋愛脳になってるからかしら。笑
だって著者、思い出したように、秀司と明里のキュンを放り込んでくるからさあ・・・。
すごいよもう・・・。(*´з`)
飯田時計店にやってくるお客よりも、秀司と明里の未来のほうがよほど楽しみなんですけど。笑
前回で彼らの過去が明らかになったんやから、次は彼らの未来をこう、掘り下げていってくれてもいいんちゃうの・・・。
とも、思うんやけど、ほんまに時を刻むようにゆっくり、ゆっくりと、物語も気持ちも動いていっているのが、このお話の一番面白いところやと思う。
・・・ので、我慢する。笑
秀司の包容力はほんま、うらやましいわ・・・。
この二人って同い年なんやっけ、どうなんやっけ。
空想って、すてきやね。
本当のことがわからないからこそ、関わった人たちが幸せになれる空想をするっていうのが、とても、とても、すてき。
昨今は人間関係が(なぜか)ややこしすぎて、いっそ他人のことを考えるなというハウツー本すら多い。
他人は自分が思うほど他人のことを気にかけてやしないんやから、他人の気持ちを推し量りすぎて鬱々とするくらいなら、いっそ考えるな! と、いうもの。
それも確かにそう。無駄に鬱々とするなら考えないほうがよほどいい。
けれど、もっともっと幸せなのは、見えない、わからない部分を、「いい方」に空想できることやね。
他人の好意を信じられたうえで、あの人は(私の知らないところで)ああなのかもなあ、と、すてきな方向で空想できるなら、それはとっても幸せだ。
ちゅうか、想像っていうのは、そういうためにあるのかも。
ほんで、すべてを分かり合えるとか、すべてをさらけ出すような関係でもそうでなくても、他人との間にそのくらいの「空想」をする距離は残すべきだ。
その「空想」が、幸せになるための「空想」で、埋めることができたら、人間関係はもっともっといいものになるんじゃないのかな。
全ての人と分かり合えるなんて無理だもの。
いくら言葉を重ねても不安も誤解も生まれるのなら、「わからない」ことがあってもいい。お互いにそれを「幸せになるための空想」で、補えれば・・・。
そんなことも思った。
私もそうやって「空想」をしながら、人間関係を築いていこう。
非現実的かもしれへんし、おめでたいかもしれへんくても、たぶんその方が幸せやで。
幸せなんやったら、それで、いいのでは。
誰かの何かを待つ間、疑うよりも、信じるほうが、ずっといいよね。ほんまに、そうやわ。
同じ時が流れるなら、疑って疑ってすごす時より、信じてすごす時のほうが幸せやんか。
たどり着く結末が同じなら余計、信じてすごす時のほうが幸せやったという「思い出」になるし、幸せな「思い出」は新たな未来につながるのは、よくわかってる。
「不思議」じゃないのんか。「奇跡」なのか。
秀司と明里の歯車が動き出したのは太一という「奇跡」が気まぐれを起こしたことも、よかったのかな。
奇跡か。そうか。不思議よりも、なんだか、いい言葉やね。
(2017.03.23) -
第二弾。
明里と秀司の関係が羨ましくもあり。
太一は人間なの?と思ったり。
ほのぼのもする1冊。 -
読了後、時計が欲しくなりました。
今やスマフォやケイタイで簡単に時間を知ることができる世の中、「時計という物は所詮、ただの物でしかない」という概念を見事に覆されました。
時計は自分と共に時を刻み込む相棒のような存在。
そう考えを改めました。
物語に流れる優しい雰囲気は、時計屋さんこと秀司さんが纏う不思議な魅力もあるのではないかと思います。
時計をさも人のように丁寧に扱う事ができる彼だからこそ、過去に修理したい思い出を抱える人々を前向きにしてくれます。
秀司さんとはまた違った不思議な魅力を持った、津雲神社の太一は、一体どんな存在なのでしょうか。ますます謎は深まるばかりですが。
そして何より気になるのは、秀司さんと明里さんのほわほわな恋愛もようです。
明里さんは普段はしっかり者で、他人に甘えることが出来ないのに、お酒が入るとあんなにかわいいなんて、反則です。何としても素面で甘えてもらいたいものです。勿論、秀司さんに。
3巻がとても楽しみです。
2014/01/12 読了 -
「町にも老いがあるのだとしたら、ここは若き日を懐かしみつつもゆったりとした幸福に浸っている晩年の町だ。」
あいかわらず、すべてを優しく包み込むような言葉で一作一作丁寧に描かれているのがとても好きです。
過去を抱えて傷つきながらもそれを昇華させていく人々への優しさはもちろん、開発に取り残されて寂れていく商店街やその周辺地域、そこに生活があって愛着を持って暮らし続ける人々のことまでも、優しく、しかも、まるで自分の目で一度実物を見たことがあるかのようにまぶたの裏に舞台である街の風景が想像できるぐらい、的確精密に描写されています。
展開や構成はそんなに珍しいつくりをしている小説ではないかもしれませんが、優しさと的確さの表現バランスがこれほど絶妙で素敵な小説はめったに出会えないんじゃないかと思う連作短編シリーズです。 -
さびれた商店街の時計店と、店主の恋人の明里の周囲の物語。ファンタジー要素はないといってもいいぐらい、ミステリもなく、……なかなか説明しにくいんだけど、現実の中のファンタジー的な秀司さんの存在が、物語に透明感を与えて、どこかにあるさみしさが「人情過ぎない」感じを与えて、なかなか私好みになっています。
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時計の修理屋さん秀司と恋人になった明里の距離が少しずつ縮まってくるシリーズ2作目。
ふしぎくんの太一(ちょっと正体がわかってきたかも?)も絡んで、時計も過去に縛れた依頼者の心も修復されていく。
スマホで時間を見る時代だけど、長年をかけて時を刻み大切にされて時には親から子へと想いを繋ぐ時計って素晴らしいと思う。