世にも奇妙なマラソン大会 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451818

作品紹介・あらすじ

サハラ砂漠でマラソン!? インターネットで見つけたサハラマラソンに、深夜の酔ったテンションで申し込んだ著者。思いがけずアジア代表となった超初心者ランナーの戦いがいま始まる!(解説/山田静)

感想・レビュー・書評

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  • 私が読む高野秀行氏作品の2冊目。
    本書は購入本。

    もし高野氏(や、探検部の先輩後輩の方々も)が自分の身内だったら、心配のあまりこちらの命がいくつ有っても耐えられないのだけれど、赤の他人なので、無責任にめちゃくちゃ面白く読める。

    他の著書も読みたい。

  • 高野秀行さんの著書、これが4冊目となる。
    相変わらず面白い。経験している出来事が図抜けて破天荒ということは言うまでもないが、やはり伝える力が素晴らしいのだろうといつも感心するばかりである。
    冒頭にあった「私には”間違える力”がある」という言葉。高野さんの本を何冊も読んでいる人であればなるほどなと思う。確かに間違えている、驚くくらいに。
    でも何でも突き抜けてしまうとそう感じないから不思議である。それでいて、間違いに途中気付くことがあっても「私には途中でやめるという機能が備わっていない」と言い放ち、更にやりすぎてしまうというからすごい。。
    表題作である「世にも奇妙なマラソン大会」他、今回もたくさんのおもしろ話が書かれている。表題作もおもしろかったが、個人的には「名前変更物語」が秀逸。
    入国禁止になっているインドになんとかして行くために、自分の名前を変更しようと画策する著者の行動が描かれているのだが、最高に笑ってしまった。
    毎度思うがここまで自分の思いに正直に行動できる著者がうらやましくて仕方がない。また次の本で素敵な話に出会えることを楽しみにしている。

  • すごくおもしろかった。表題作のほか4編。高野さんの長編の冒険モノももちろんおもしろいんだけど、わたしはこういうちょっと地味な雑事っぽいというか、細々した話が大好き。入国審査のブラックリストに載ってしまっていて入国ができないインドになんとか入国ししたくて、名前を変えようと地味な苦労をする話が最高だった。すごくおかしい。奥さんとのやりとりもすごくおもしろいし。
    あと、ブルガリアで岩のような薔薇のようなおっさんに迫られる話も。すごくおかしいんだけど、なんか「女性というものの立場」みたいなことを考えさせられてたりして。

    どうでもいいけど、高野さん、学生時代から危険地域とか秘境とか行ってて、親御さんとか反対しなかったのかなあと思っていたけど、「コンゴなんて死んでも行かせない」と言われたときに「じゃあ、死ねば」って答えたって話がでてきたんだけど、高野さんでもそんなこと言うんだなって、なんか思った。

    ほんとうに、高野さんの本にははずれがないな。

    • たまもひさん
      ブルガリアのおっさんの話には大笑いしました。思い出してもおかしい。
      「こんなにちやほやされるんだ。女っていいなあ」って思った高野さんが、「...
      ブルガリアのおっさんの話には大笑いしました。思い出してもおかしい。
      「こんなにちやほやされるんだ。女っていいなあ」って思った高野さんが、「いややっぱりこんな恐怖を味わってるんだ」と思い直すあたりが、バランス感覚の優れた所で、信用できる人だとあらためて思いました。そういうところが好きだなあ。
      2014/07/27
    • niwatokoさん
      ほんとにおかしかったですよねー。
      そう、女ってちやほやされるんだ、っていうの、わたし自身は経験ないですけど(笑)、一般的にそうだなーと思っ...
      ほんとにおかしかったですよねー。
      そう、女ってちやほやされるんだ、っていうの、わたし自身は経験ないですけど(笑)、一般的にそうだなーと思って目からうろこでした。片言みたいな英語やフランス語でもちゃんときいてもらえる、とかも。
      信用できる人、ってのもよくわかります。高野さんほんと好きです。名前変えようとする話で、あとから手紙でだまそうとしたことを謝ったってのもいいなあと思いました。
      2014/07/28
  • おお、文庫化されるんだ!と我が事のように喜び、予約して購入。単行本を持っていてもやはり買っちゃうのは、ファンとしてはコンプリートしなくては、という気持ちと、高野さんの文庫はいつも解説が面白いからだ。いやほんと、「ムベンベ」の宮部みゆきさんをはじめ、井原美紀さん、蔵前仁一さん、大槻ケンヂさん…、どの人もこの人も熱く高野本の魅力を語っていて、本当に読ませる解説になっている。

    今回の解説は山田静さん。これまた、そうそう!そうなのよ!と頷きまくり。初めて会ったときのことを「印象に残っているのは理路整然とした真面目な語り口だ。もっとバンカラな変わり者(ごめんなさい)と想像していたので、正確に伝わるよう言葉を選んで話す姿勢が素敵だなあ、と思った」「落ち着いた声も素敵で」とあるのにはまったく同感。

    そして、「どれをとっても筋が通っている」「何を読んでもわかりやすいし、何より説得力がある」のだけれど、「彼の知りたいこと、やりたいことはいつもどこか間違っている」。アハハ、これもその通り。その本質を「脳内大人が存在しない」「小学生男子」とも書いていて、笑いながら納得した。

    本当に、いつもながら、結構こみ入った状況をすんなり飲み込めるように書いていく、高野さんの文章力にはほれぼれするし、心の動きにも共感を誘われる。そもそもの出だしは思いっきり「間違ってる」けれど。

  • -何か面白いことはないか
    夜中にネットサーフィンをしていてたどり着いてしまったのが、西サハラの難民キャンプで開催される“砂漠を走る”マラソン大会。
    直前の申し込みにもかかわらず、ゆる~くエントリーされ、詳しい案内もなく「夜9時マドリッド空港集合」だけ。しかも、マラソンなど経験のない著者。不安を残しながら現地へ飛んだ。

    モロッコと対立する西サハラへの援助を求めることがこの大会の趣旨だったようで、ボランティアに慣れている海外の人々に比べ、著者はそんなことには思いが至らない。
    難民キャンプといっても、それなりに物資は揃い、対立しているといっても平和な西サハラ。
    現地の取材を行いつつも、果たして、砂漠を完走できたのか?

    それと、以前インドで強制送還になったことから、再度インドへの入国するために名前を変えよう!という『名前変更物語』など、

    高野さんの作品は面白い!

  • サハラ砂漠を走る、という、とんでもない大会は、実際毎年開催されているらしい。この参加費等がサハラ支援資金にもなっているという仕組みだ。それにしても、過酷な砂漠で過酷なマラソンだ。著者の筆を通して、一度砂漠を走ってみませんか?

  • 間違った方向に来たことを後悔しながらずんずん進んでいく姿勢が読んでて楽しい。マラソン経験ないところからのサハラマラソン。その他、これは怪しいぞって気づくのに引き返さない逸話の集合体。

  • 高野さんという方を存じ上げなくて、普通の会社員が深夜のノリで、サハラ砂漠のマラソン大会に参加してしまったのだと思って読み始めたから、参加しようかしまいか迷ってる割にサクサク飛行機に乗ったり空港に着いたりするので、何だこの話は?と困惑してしまいました。
    でも、実は、フルマラソンを走った事は無いけど、世界のあちこちを移動している、体力も能力もとても高い辺境作家さんだったのです。

  • 個人的には名前変更物語が一番好きです!

    国外ではなにかと振り回される作者が、奥さん達を振り回してるところを見るとなんだか新鮮!って思いました

  • 読友さんにお借りした旅エッセイ。真夜中のラブレターのごとき意味のわからないテンションで申し込んでしまった西サハラのマラソン大会、ブルガリアで岩のようなおじさんから優しくされ女性の気持ちになったこと、インドへの再入国のために改名を目論む話、などなど、全部おもしろかった。こんなに失敗してる話なのに、読むと何だか旅はいいなあ、マラソン大会気になるなあ、とか思ってしまう。

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著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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