マスカレード・イブ (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087452167

感想・レビュー・書評

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  • イブってそういうことだったのね...。
    スピンオフのような4編ってところでしょうか。

    前作の興奮さめやらぬまま、あらすじを把握せず続けてこの本を読み始め、数ページ読んだ所で「あれ?読む順番間違った?」と思うような出来事...違うよ。ちゃんと「出会う前」って書いてあるよ。まあ、説明をよく聞かない人にあるある状況ですなー。うん、気にしない。

    とにかく話が途切れず、ずっとその世界が続いていく長編が好きなんだよー!ちょっと騙された感じー!(違う)さあ次だ!次だ!次の巻だ!

    でもね、最後の話は、2人のプロローグみたいで素敵な雰囲気でしたよ。

  • 「マスカレードホテル」の前の時間軸。
    新田浩介と山岸尚美の新人時代の物語。
    各短編となっていて、それぞれ事件が発生していて。
    最後の「マスカレード・イブ」で面識なくても関りを見せていきましたね。
    各々独立した話だったけど面白く読めました。
    自分的には「仮面と覆面」が特にお気に入り。

  • 「マスカレード・ホテル」の前日譚。
    4つの話からなる短編集で、東野圭吾さんの本は「読むぞっ!」と時間をとって一気に読みたいものが多い中、こちらは少しずつ気負わず読めた。
    新田や尚美がまだ仕事に慣れていない様子が描かれていたり、他にも「マスカレード・ホテル」に出てきた人物が出てきたりして楽しめる。
    新田や尚美が既に洞察力鋭い。

  • 映画化が決まった段階で​「マスカレード・ホテル」​を読んで1年と3ヶ月、映画を観たこの段階が読む時期かなと思い紐解いた。1番知りたかったのは、「イブ」のあらすじではない。マスカレード(シリーズ?)は、刑事の新田とホテルフロントクラークの山岸の2人が「主人公」である。そう私は認識していた。ところが、「イブ」は「2人が出会う前のそれぞれの物語」と「あらすじ」に書いている。それでどうやって「マスカレード」の冠を被せることができるのか?その「からくり」が知りたいだけで、サスペンス部分は上手く創るんだろうな、というぐらいだった。

    なるほど、こういう「からくり」か!

    絶妙!と褒めるわけにはいかない。

    かなりあざとい編集者の思惑が透けて見えるからだ。雑誌「小説すばる」に「イブ」の物語が載り始めたのは2013年からである。一方、「ホテル」の単行本初出は2011年だ。
    「東野圭吾先生、ホテルが好評なんですよ。是非、シリーズ化しましょう」
    「そんな無茶言うなよ。山岸さんは、本来事件と関わりないホテルマンなんですよ。関わりない2人が、相棒になるからこそ、面白かったんじゃないですか」
    「でも、これで終わらすのはもったいないです。せめてあと2冊」
    「じゃあ、後日譚はあと一回無理やりこじつけるとして、前日譚というのは、どうです?」
    「えっ!?でも‥‥」
    「私にアイデアが無いわけじゃないです‥」
    と、まあこんなところだろう。

    こういう「売らんがための小説作り」つて、どうかなあ、と思う。なんやかんや、文句いいながら、買ってしまって、楽しんでしまった私もどうかなあ、と思う。「ナイト」の方も、文庫本が出たらつい買ってしまいそうだ。

    2019年1月読了

  • 『マスカレード・ホテル』が面白く、続けて購入。
    連作短編な感じで、すべてで4編。

    時系列的には全て「ホテル」より前の話ですが、
    舞台に大阪や京都をからめたりと面白くも。

    その表題にもなっている「マスカレード・イブ」もいいですが、
    個人的には「仮面と覆面」がなかなかに興味深く。

    作家の缶詰ってのはよくネタで聞きますが、
    実際にもこんな感じなんですかね~

    様々な“仮面”をどこまで把握しどこまで守るのか、
    その軸については相変わらずにブレない内容でした。

    広義で、人のため≒サービスと見れば意外な共通点も、
    そんなことも考えさせられた一冊です。

  • 新田と山岸直美が出会う前のそれぞれの物語。
    短編で読みやすかった!
    最後の章は読んでいてもトリックが分からず、真犯人も別にいるのでは??!と思ってしまうくらい難しかった。。
    登場人物仮面被りすぎ!!みんな怪しすぎる

  • 面白かった!
    「マスカレード・ホテル」第2弾の本書は、時系列的には「ホテル」の前日譚。
    だから【イブ】なのね(゚∀゚)

    山岸尚美も新田刑事も初々しい頃から、徐々に頭角を表しプロフェッショナルへ昇っていく。
    山岸と新田が交互に登場しながらの短篇仕立てにもなっていて、飽きさせない。
    【マスカレード】の所以もふんだんに折り込んでいる。

    フロントクラークのプロの仕事「お客様の仮面をとってはいけない」なるほど

  • 「マスカレード・ホテル」の前日譚。
    ホテル勤めの山岸尚美と、刑事の新田浩介が出会う前、それぞれの仕事をしている時期の短編集です。

    「それぞれの仮面」
    ホテル・コルテシア東京に勤めて4年の山岸尚美。
    念願のフロントオフィスに配属されたばかり。
    謎めいた客の動きを観察し、お客様に良かれと思う方向へ、ひそかに立ち回ります。
    ホテルではお客様は仮面をかぶっている、ホテルマンはその仮面を守らなくてはならないと。

    「ルーキー登場」
    ホワイトデーの夜の事件の捜査に、アメリカ帰りの新田浩介、登場。
    まだ警察内でもやや浮いている? 頭はいいということだけど~という。
    マスカレード・ホテルとは、ちょっと印象違いますね。

    「仮面と覆面」
    ロビーで不審な動きを見せる五人組の目的は‥?

    「マスカレード・イブ」
    大阪に来ている尚美が出会った事件。
    新田の手伝いに借り出された女性巡査が尚美に面会に来ます。
    山岸と新田がお互いに会うことはないまま、同じ事件に関わっているあたりが面白い。
    どちらも有能ではあるけど、まだ少し青臭い印象になってますね。

    期待通り、軽く読めて、事件のバラエティもあり、それぞれの活躍を楽しめました☆

  • 冒頭───

     午後六時を過ぎた頃から、フロントにやってくる客が増えてきた。殆どがビジネスマン風の男性だ。この時間帯にチェックインする客は概して表情が明るい、というのは上司のフロントオフィス・マネージャーの説だ。商談なり営業なりの仕事が順調に片付いていなければ、こんな時間にホテルに来ている場合ではないはずだから、というのがその理由だった。
     次々にやってくる宿泊客の顔を眺めているうちに、その説はある程度当たっているかもしれないな、と山岸尚美には思えてきた。

    二年ほど前に出版された作品「マスカレード・ホテル」で主役を演じたホテルウーマン山岸尚美と刑事新田浩介が出会う前の、それぞれの物語を描いた短編集。
    最初の三編
    「それぞれの仮面」山岸尚美
    「ルーキー登場」新田啓介
    「仮面と覆面」山岸尚美
    は片方の人物だけが登場するストーリー。
    最後の一篇「マスカレード・イブ」だけは二人とも事件でカギとなる役割を演じており、後の二人の邂逅を予感させる話となっている。
    ここは上手く、次の「マスカレード・ホテル」に繋げる仕立てとなっており、東野圭吾の腕を見せたという作品だ。

    内容全般も、最初の三編は短すぎて推理物としては物足りなさが残るが、「マスカレード・イブ」だけは、そこそこ長さもあって、充分に東野圭吾ミステリーとしての醍醐味を堪能できる。

    実業之日本社の“いきなり文庫シリーズ”と異なり、手抜き度の感じられない、まずまず満足できる文庫本でした。

  • マスカレード・ホテルの前日譚。新田と山岸の過去の部分が描かれている。人間が持つ仮面がテーマの作品となっているため、それを暴く・守るところに焦点が当たっていて人間の恐ろしさや気持ち悪さ(特に女性の仮面)が全面に出ていてとても良かった。エピローグでの場面はマスカレード・ホテルを読んでいるとより楽しめるところだと思うので、マスカレード・ホテルを読んでからこの本を読むほうをおすすめします。

著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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