- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087452808
感想・レビュー・書評
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文化祭に卒業式、これだけでも青春小説として十分に鉄板なのだが、それに加えて”廃校が決まった学校”というシチュエーションがプラスされ、青春度100%に仕上がっている。
自分が高校生だったのは20年も前のことであるが、やはり自分の高校生活をいろいろと思い出してしまった。
自分自身、生徒会長もやったし文化祭の実行委員長もやった。もちろん人並みに人を好きになり体育館の裏に好きな子を呼び出して告白して見事に撃沈したり…笑
いろいろと後悔することも多かったけれど、もし生まれ変わって自分の思い通りの高校生活を送れるとしても、おそらく同じ道を選ぶんだろうなと思う。
何でもない日常があんなにも新鮮で輝いている時間って、やはり高校生活をおいて他にはないだろう。中学よりも自由だけど、大学ほど自由過ぎない。ほどよく制限されているからこその楽しさが高校時代にはあった。
…って、書評というより思い出話になりそうなのでこの辺で終了する。
映画が来年公開しようと思うのでぜひ見てみたい。ただ、アラフォーのおっさんが一人映画館で見るには厳しい映画だと思うので、見るのはもう少し後になりそうかな。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先日観た映画版が良かったので原作も。
映画はそれぞれのエピソードが結構変わってたんですね。びっくり。
図書室の先生に恋した女の子のお話(エンドロールがはじまる)は、切なくてキュンキュンして、最後ちょっと泣きそうになった。
映画を先に観てしまったからか、それ以外のエピソードは、映画のほうが良かったな〜と思ってしまった。
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廃校となる高校の卒業式の1日を描いた短編集。高校生達の姿が眩しい.....切ない.....
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総じて若い…と思った。
青春いいなぁと思いつつ、朝井さんの表現の巧みさがうかがえた。話の所々で言葉遊びがあり、同じセリフを違う場面で繰り広げながら話が進む。
そして、短編ではあるものの、それぞれの時系列は同じで所々歯車が噛み合っているのも面白いと思った。読み進めるうちにその学校についてわかってくるような、長く居たような、そんな感覚になる。
読者も物語の一員になったかのように楽しめる作品でした。 -
★5.0
「伸ばした小指のつめはきっと、春の先っぽにもうすぐ届く。」
私の一番好きな作家さんは朝井リョウで、その中でもこの作品はトップレベルにお気に入り。
さて、先程の一文、実は冒頭部分なんです。なんですか、初っ端からこの破壊力!
こんな素敵で胸をギュッと締め付けられるような表現が詰まっているんです。
この作品は、7人の卒業を控えた少女達の物語。中でも一番のお気に入りは、「在校生代表」という物語です。
主人公の亜弓が在校生代表として送辞を読むのですが、その送辞の中で生徒会の先輩である田所先輩に告白をするという、それだけでもう胸キュン間違い無し!なのに、途中からは送辞だということを忘れてしまうぐらいに内容に引き込まれていきます。
亜弓が、田所先輩を好きになっていく過程。
先生までもを利用して、どうにかして先輩と近づきたいと奮闘する姿。
それでも恋が叶わないと知ってからも、先輩を想い続ける健気さ、強さ。
そんな亜弓に感情移入して、思わず泣きそうになってしまいました。
ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、そんなことはどうでもいいと思えるほどに、私はこの作品を愛しています。
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「黄色いライトで照らされた、瑞々しいレモンのような彼の頬に線を引くように、涙が一筋伝っていました。そこから光が放たれているはずなのに、私には彼の涙に光が集まっているように見えました。」
「田所先輩に近づきたかったんです。一冊のノートに顔を寄せ合って、たまにおでこをぶつけてしまったりしたかったんです。」
「その頬を撫でるみたいに落ちていく涙の筋が、流れ星の軌跡のようで、とても美しかったからです。」
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他にも、卒業と同時に別れることが決まっている男女がわちゃわちゃとふざけ合うところから別れ話にもっていくまでの流れや、
先生に恋してしまったけれどそれは叶わない恋で、自らの手でその恋を終わらせようとする切ないけれど強い意志が感じられるところなど、
挙げ出したらキリがないほどに、そういう一つ一つがこれでもかっていうぐらい丁寧に、繊細に描かれているんです。
ストーリーを楽しむというよりも、一文一文を噛み締めるように読みたくなる、そんな私の大好きな作品です。 -
卒業式の日に感じることや過ごし方って、卒業生の数だけある。
当たり前のように毎日会って、しゃべって遊んで、高校生の頃、それが永遠に続くような感じがして。
怖いもの知らずで無敵で。
でもわかっていた。当たり前じゃないことも、永遠じゃないことも。だからあんなにキラキラしていたことも。
そんな日々を思い出した。
思い出してクスッてなったり、切なく感じるようになったり、それだけ歳を重ねたんだなぁ。
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楽しい思い出だけじゃない。それぞれ色々な思いを抱いていて、それでも前を向いて新しい道を進む姿が感動的でした。特に、ダンスの道に進むと決めた少年と、少年の背中を見続けた少女のエピソードが素敵でした。
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青春だな~。自分が高校生だったのは遥か昔のことだけど、7人の少女たちそれぞれの視点で語られる高校最後の日は、心を揺さぶられるものがある。もし自分がいま小説を書いたとしても、こういう作品は書けないないだろうな。朝井リョウの才能に嫉妬せずにはいられない(笑)
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映画を観てから読んだので、映画のその感じを想像しながら読みました
個人的に寺田は原作読まないと彼の良さが伝わらないと思った、読んでよかったっす -
ストーリー構想も、各物語の意識的な配置も嫌いじゃない。だけれども、過剰に高校生の口語を意識した文章にわざとらしさや読みにくさを感じてしまい、現在の自分に合う一冊ではなかった。多少技巧に溺れた感はある。
映像化が似合いそうな物語群。