ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

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  • 集英社
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感想 : 584
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453270

感想・レビュー・書評

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  • マハさんの文章で自分を満たす時間が幸せだと感じた一冊。
    本当だったかもしれないと心が踊るお話、うっとりしてしまう言葉と表現の数々、本を読んでいてこんなにも幸せを感じられるものかと困惑して笑っちゃうくらいに素敵な時間を過ごさせてもらった。
    読み終えてしばらく興奮が収まらなかったのが「うつくしい墓」。好きのど真ん中を貫かれて、この本との出会いに心から感謝をしたくなった。
    南仏の光も風も、マグノリアの香りさえ感じられてしまいそうな鮮やかさと映画のようなお話のテンポ。何度も読み返して自分の中に落とし込みたくなった素敵な表現たち。読み終わるのが本当にもったいなかったし、この衝撃を上書きしたくなくてしばらく次のお話に進めなかったよ。
    お話全体が穏やかな愛と柔らかい光に包まれている気がして、この作品の纏う空気がとても、とても好きです。

  • ふゆイチで紹介されていたのをきっかけに読んだ。美術館にはたまに行くし、原田マハさんのことは知っていたけど、作品を読んだのは初めて。ああそうか、絵画を理解するのにこういう方法があったかと衝撃だった。
    どの話も厳しい現実の中に優しさやあたたかさがあって、また美術館に行くのが楽しみになる。マティス展、これ読んだ後に行きたかったなあ。

    モネの死の床のカミーユと、モネが複雑な家族関係を築いたことも知っていたが、物語として読むとまた違った印象があった。真実なんてわからないけど、色んな想像の余地があると気付かされる。画家やその周りの人が自分と同じただの人間なのだと、激動の時代に苦悩したり、おだやかに過ごしたりしたのだと、そう感じられる。
    解説もかなり良かった。

  • なーんだフィクションかぁ
    と思いながら読んだけど、おもしろかった
    美術館での説明を読んでも
    理解できないまま
    帰ってきてしまう私は、
    この本を読むほうがずっと画家を身近に感じた

    いつかは、と思っていた原田さんの作品。
    やっと初めて手に取った

    「今不幸だと思ってるのだとしたら、
    だからこそ不幸なんだ」
    が好き

    エトワールの話が泣けた

    印象派の作品は光いっぱいに見えるけれど、
    誰もが闘いだった
    どの画家も、周りの人が信じてた
    周りの人に愛されてた
    周りの人たちが画家や作品を守ってきたから、
    彼らの作品がこんなに後世まで愛されているんだと
    時間を超えて思いを馳せた

    時代背景だったり、文献を日本語訳したことで
    文体が古典的なのかな?
    最初は読むのに時間がかかった

    原田さん長編が多いけど、
    他の作品も読んでみたい

  • 「うつくしい墓」と表題作「ジヴェルニーの食卓」がおもしろかった。なんでもこつこつと自分だけを信じて描き続ける人がなにかを成し遂げるんだなあ。花や料理のキラキラした感じ、風が通り過ぎるかんじ、冷たさと爽やかさと陽だまりみたいなあったかさが良かった。

  • 実在した芸術家や絵画について、彼らの周りにいた家族、親しい人々や、生きた時代背景等を物語を通して想像していくことがとてもおもしろかった。どことなく遠いもののように感じる芸術家を、少し身近で現実味あるものとして見ることができました。
    4編の中では、特にドガの話が芸術に打ち込む覚悟や信念に胸を打たれました。

    読んでいると、絵画や歴史についてもっと知りたい思うようになってきます。マハさんの他の作品や、中野京子さんの美術に関する本も読んでみたいです。

  • 今年1冊目はモネ展に向けて久しぶりに小説を…
    原田マハの作品のすごいところは、第三者の目や語りを通して、著名な芸術家の素顔について、読者である私たちも自然と知ることができる、ということ

    まるで芸術家のおうちを覗き見をしているような感覚

    特にモネについて語られた最後の『ジヴェルニーの食卓』は、モネの再婚者アリスの娘でもあり、モネに仕えるブランシュの目線から、モネのちょっとしたこだわりや頑固な人柄がわかる

    一体どこまでが本当でどこからがフィクションなのか、美術史初心者な私には分からなくなるけれど、大筋を捉えていて、でもどこかでじーんと心があったかくなるところがある

    事実と物語の境界を曖昧にしながらも、その芸術家の人となりを伝えられる原田マハ、本当に色々な情報を手に入れて創作に臨んでいるんだろうな…

  • マティス、ピカソ、ドガ、セザンヌ、モネ
    画家達のお話

    自分が悪いんだけど、外国人の名前が全然頭に入ってこない
    相関図書きながら読み返さないとな

    セザンヌのりんごの絵は見てみたくなりました
    ゴッホ曰く、セザンヌの描いたりんごはりんごよりもりんご

  • 2020.10.29

    マティス、ドガ、セザンヌ、モネを間近で支える(見守る)女性たちの短編集。
    全編好きだけど、表題のジヴェルニーの食卓が特に好き。すごく暖かい気持ちになる。
    そしてアリスやブランシュの作る料理のいい香りが読んでいても伝わってくる。笑

    モネの作品を観る目が変わる。
    大変素敵な作品でした。

  • 美しく読むのが楽しい短編集だった。
    描くことに取り憑かれた画家と、その画家を愛し、作品を愛した傍らに居た人達(しかも妻とかではないもう少し離れた関係者)の目から見た物語で感情移入し易かった。
    マティス、ドガ、セザンヌ、モネ。
    特にモネはあの美しい庭でモネがこんなふうに生活したのかも知れないと思うとしみじみと美しい。
    以前から一度行ってみたいとは思っていたけれど、本当に死ぬまでに一回ジヴェルニーを訪れてみたい。
    ブランシェの作る料理もすごく美味しそう!

  • 私はアートに詳しくないので、マハさんの作品から教わることが多い。印象派の画家が変えたのは芸術だけでなく、周りの人たちの人生をも変えてしまった__鮮やかな描写が印象深く、創造ではなくこの世界が存在していて欲しいと願ってしまう。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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