ばけもの好む中将 四 踊る大菩薩寺院 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453560

作品紹介・あらすじ

怪異大好きの変人中将・宣能と、それに振り回される中流貴族の青年・宗孝。様々な奇跡が起こるという寺に参拝に訪れるのだが、まさかの騒動に巻き込まれ……。書き下ろし平安冒険小説、第4弾!

感想・レビュー・書評

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  • 寺で起こる奇跡をめぐって大騒動。いやあ、そのハチャメチャぶりが楽しい。発明好きの五の姉が面白い。いや一二の姉のじゃじゃ馬ぶりも楽しい。おっと、主人公の宗孝も結構頑張ったぞ。初草の姫も屋敷の外で溌溂とできてよかったなあ。勿論中将さんも堂々としてましたぜ。

  • 怪異大好き中将・宣能と彼に付き合わされ振り回される宗孝コンビのシリーズ第四作。
    変なサブタイトルと思っていたら、内容は踊る以上に狂騒といった感じで楽しかった。

    相変わらず怪異譚を仕入れては現場を訪ね歩くも怪異は現れてくれない。しかしまたまたその行き先で宗孝の姉と出会ってしまう。それも学者の妻で自身も発明好きな五の姉と、頭の中将・繁成との密会現場。
    真面目で色事には無縁と思っていた五の姉が不倫とは…と衝撃を受ける宗孝だが、その真相は。

    あいも変わらず弘徽殿の女御の、梨壺の更衣に対する意地悪のすごいこと。江戸の大奥もこんな感じだったのか、いや中には毒殺なんてこともあったくらいだから、これくらい可愛いものか。
    しかしその弘徽殿の女御の意地悪が逆に梨壺の更衣に仕える十一の姉を助けるのだから分からない。

    今回はばけものではなくて仏様による奇蹟。薪を割ると現れた『南無阿弥陀仏』の文字、寺の池から時折浮かんでくる青い蓮、勝手に鳴り出す境内の鐘などなど。
    そこにはどんな秘密が隠されているのか。

    以前少し出てきた十二の姉が意外な個性を発揮する。
    奥ゆかしく浮世離れした如何にもな姫君かと思いきや、木登りはするわ出会ったばかりの高貴そうな若君を足蹴にするわ罵るわ、なかなかのお転婆娘ではないか。
    しかもそんな十二の姉を謎の若君は気に入ったようだし。
    正にボーイミーツガールの世界。

    そして発明マニアの五の姉君。高枝切り鋏や美顔ローラー、ダイエットサンダルまで作ってしまう。
    今で言えば発明主婦といったところだろうか。学者の夫もそんな妻に触発されてさらなる発明をするのだから、エジソン夫婦。

    最終章は寺院を舞台に宣能、宗孝、五の姉君と様々な視点で様々な事件が起こる。いつも一番気の毒な目に遭っている宗孝だが、今回は宣能がそれにも増して大変な目に。しかしそれでもそこを格好良く乗り越える宣能、さすがだ。
    あっちもこっちも大変なことばかりだが読んでいるこちらは楽しい。

    これまで時折見られた宣能の父・右大臣に関わる黒い部分が更にクローズアップ。このまま行けば宣能は父のそんな闇の部分まで引き継ぐことになるのだが宣能と父とは確執がありそうだし。
    そして宣能の妹・初草は未来の東宮妃と決まっているのに何故かそれを強烈に恐れている様子。それは東宮の母で初草の叔母でもある弘徽殿の女御がアレだからというだけではなさそう。

    政治の世界の黒い部分と、無邪気な十二の姉との対比がこれからの展開を期待させる。
    宣能の行く道は暗いのか明るいのか。清濁併せ呑むくらいの覚悟がないと突き進めない政治の道ではあるが、彼のそばに宗孝や宗孝の姉たちや初草がいて、せめて一緒に彼を支えるくらいのことがあって欲しいと思ってしまう。

  • 単純に面白かったです。
    新たに登場した五の姉と十二の姉。2人とも個性的でした。今までに比べてだいぶドタバタしていましたが、宗孝がどんどん前向きになっていて宣能との関係も遠慮なくなっているように思います。

    東宮もようやくの登場なのでこれからも楽しみです。

  • また大変面白い巻でした。12の君のさばけっぷりが素敵です。この後の展開もすごく気になります。一筋縄ではいかない縁の混線も、きっと綺麗に解決してくれる作家さんだと信じてます。もののけでなく今回は仏。お寺の霊異というかさながらテーマパークでのどたばたぶり。存分に笑いました。続巻はいつ出るのかしら。

  • 今回も大笑いさせていただきました。奇跡と怪異。似て非なるものですが、どちらも人がでっちあげることができる。それで救われる人がいてもいいけど、欲にまみれてしまっては、やはり罰が当たるのかもしれないね。

    個人的なつぼは美顔ローラーと高枝切り鋏の平安ネームですかね。さすがに聖霊シリーズを書かれたギャグセンスが健在でうれしいです。あっちもこちらへ移植してくれればいいのにな~。

  • 今回は頭の中将♪これで宗孝は、全ての中将様方とすっかり顔馴染みになったわね(笑) 十二の姉と初草と春若。人間関係が複雑になっていってるけどある意味先が楽しみ。 そして今回もいざという時に男気を見せる宗孝、いいわ~(^-^) 大菩薩寺院のアトラクション(!?)は素晴らしい。五の姉。ホント、バリエーションに富んだ姉様方♪ 次巻がどんな話が飛び出すのか?想像が追い付かなくてワクワクです。

  • 弘徽殿の女御が誰も知らぬうちに人助けをしていたクダリに笑ってしまった。誰かの嫌がらせが人を救うなんて勧善懲悪とは違った小気味よさがある。

    五の姉夫婦の発明に対する熱意もさることながら、政治的なほの暗さも今まで以上に見え隠れしてきた巻でした。やはり踊る大菩薩寺院が好きでした。新登場の姫と懸想する皇子などますますの盛り上がりに期待してしまう。

  • テレホンショッピングが始まったかと思ったら、存外重要なアイテムでびっくりした。姉上たちのキャラが濃い中、東宮が可愛かった。

  • 4巻。五の姉上の高枝切狭(笑)
    というわけで仕掛けからくり満載のドタバタ話。
    ここで十二の姉も登場。春若君が何ともらしい暴君で微笑ましかったり。

  • 洋の東西を問わず、神仏の奇蹟や遺物といったものは人々の注目を集める。この巻ではそんな出来事の裏に前巻から姿を現した謎の集団が存在感を増してくる。そしてそれが右大臣の手先であることが読者に知られる。
    宗孝の家族と右大臣家の関係が複雑に絡み合い、宣能と宗孝が更なるトラブルに巻き込まれそう。
    短編で読みやすいけど、話は繋がっているので一気に読みたい。

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著者プロフィール

1964年生まれ。91年『闇に歌えば』でデビュー。
「ばけもの好む中将」、「暗夜鬼譚」シリーズ(ともに集英社文庫)、『怪奇編集部「トワイライト」』(集英社オレンジ文庫)など著作多数。

「2019年 『百鬼一歌 菊と怨霊』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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