七つの会議 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087454123

感想・レビュー・書評

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  • 長編小説だが、『七つの会議』の名の通り、各章で短編集のように区切られている。中堅メーカー『東京建電』の社員を中心に、各々章で主人公が変わり、また絶妙なところで章が終わる。ごく平凡な会社の、ちょっとした違和感。それに気づく者。調査する者。そして章が進むにつれ、タケノコの皮を剥ぐように真相が明らかになるー。そして作者お得意の銀行節は一切なし、純然たるお仕事ミステリー。最後の章がやや駆け足かな、という印象があったが、総じて面白い内容だった。キリよく読める構成がいい。『コトブキ退社』の章はちょっとした癒し。

  • Amazonオーディブルで聴いた。

    映画は見てない。

    初め、あれっ?短編集??と思い、聴いていくうちに物語の構造が分かった。
    ぐうたら社員と思われていた八角の追い上げっぷりがすごかった。

    ひでぇ会社だった。
    不祥事は、隠蔽するより速やかに公表して謝るのが最善の策ダヨネ。勇気が必要だけど。

  • 古き良きというのが褒め言葉になるかわからないが、定番のエンターテイメント作品であった。

  • 映画を先に見たので、ストーリーは分かっていたけど面白かった。
    中抜きの構造もこんな感じで、質も気付かないうちに悪くなってるんだろうな。

  • 中堅メーカーを舞台に、不可解な人事をきっかけとして、大規模リコール隠しが明らかになっていく群像劇。

    製造部・営業部・経理部・クレーム対応室といった、ものづくり企業内部の仕事の仕組みや社内政治が、いかにもリアルに描かれる。また第2章に登場するねじ六や、登場人物の実家など、零細製造業の経営現場の描写も生々しい。著者の銀行勤務経験に裏付けられているのだろう。経営者の視点は、やはり勤め人よりずっと厳しいと思う。

    厳しさやるせなさに歪められつつも、本作全体としての印象が明るいのは、プロとして仕事するという単純で力強い信念が根底に流れているためだろう。本筋と直接は関係のない第3章「コトブキ退社」のエピソードが、ミクロながらも物を仕入れて売って互いに利益を得るビジネスの基本を象徴しているようだ。だからこそ、作中でドーナツをただで持っていく人は信頼に足らない人物であると印象づけられる。

  • 窮地に立たされたとき、
    企業は、企業として、
    何を守るべきなのか…
    法人の頭脳は、
    経営陣であり、代表取締役。

    労働者という対等の立場に違いはなく、役という立場が違うだけなのだ。

    仕事、とは?
    働く、とは?

  • 思っていたところとどんどん違うところにフォーカスが当てられていく、けど、最後はちゃんと全てが繋がる。
    長編で、何日かかかったけれど、全てのエピソードが薄くなる事なく読み終えられた。

  • T図書館 2012年
    映画視聴 20220703
    クライムノベル
    (犯罪行為やその調査を描く物語)
    ソニック子会社、東京建電の営業1課係長八角は、営業1課課長の坂戸をパワハラで訴えた、その真相は…

    《感想》
    考えさせられる話だった
    7話の連作で7名を深堀し7つの会議がある
    登場人物が多く特徴がない名前で表を見ながら読んだ

    パワハラで訴えた後、多くを語らない
    再三、ネジの話題が出てくるが言わない
    会社の内密さを読者に強調している
    そして爆弾を落とす発言だ
    特殊ネジは列車や航空の椅子に使われているという
    急に自分事として恐くなった

    「空飛ぶタイヤ」ではハブの欠陥
    今回はネジの欠陥(モデルとなっている会社はないそうだ)
    池井戸氏はなぜネジにこだわるのだろうか?
    半沢の実家もネジや、朝ドラでもヒロインがネジやを継承しとても身近だ
    ネジは物作りの原点そのもの
    だからコスト削減だけの理由で大問題が起きてはいけない
    何よりも大切なのは命(八角のセリフ)
    そういうメッセージなのかと考える

    問題はコストだけでない
    親会社から子会社への圧力
    上司から部下へのノルマの圧力
    1つできたらさらに高みを押し付けられる
    その結果データ改ざん
    同じ問題が繰り返されていた
    副社長の村西「なにか知っているんじゃないか。私に教えてくれないか」
    八角「あえていえば、体質かな」
    カッコつけたセリフで意味深だ
    こういう体質が何十年も続いていた
    そこにメスを入れようとしていた
    映画でも「体質が変わらない」と使っていた

    奇しくも2023.12/20、ダイハツが国の認証取得の不正問題で生産停止のニュースがあった
    何があったのか、いつから把握していたのか非常に気になる所だ

  • 短編が折り重なって長編となるシナリオは素晴らしく、読み終えた時に形容し難い気持ちになった。

    一つ一つの章がそれ単体でも成り立つのに繋がっている、辻褄が合うようにしてあるのは尊敬した。

    俺的にはパンを社内に置こうと奮闘するOLの話がとても気に入りました。

  • 製造業に勤める者として身に沁みる内容でした。
    特に登場人物がノルマ、社内政治に藻搔き苦しむ描写は池井戸文学の真骨頂。
    原作版、映画版どちらの内容も面白いと思います。

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著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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